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2007-09-13(木)

 永野護暴言録。


 先日の記事を書くときに引用した『ファイブスター物語アウトライン』を読みかえしていたら、いろいろとおもしろい発言が見つかったので、ご紹介(強調部分は筆者)。

ファイブスター物語アウトライン―永野護

ファイブスター物語アウトライン―永野護

 自身がデザインを担当した『重戦機エルガイム』が『ニュータイプ』誌でリメイク希望作品1位に選ばれたとき。

 NT誌のアンケートで「リメークしてほしい1アニメ」ですって……でもね、ぼくひとりのものじゃないんですけど、それって、やっと仕事終わってゆっくりしている彼らを墓掘り起こしてゾンビみたく再生して「さあ働け!」ってなものでしょ? 何でそんなもの見たいの君たちっ! そーゆーのって「ゴミ箱の中から、まだ食えそうな半腐りの生ゴミを再調理して爐気⊃え瓠廚辰童世錣譴襪里汎韻だよ。

 若き日、とあるアニメ製作会社(たぶんサンライズ)にとつとめていた頃の話。

 永野護というキャラクターデザイナーを起用するときに求められるのはただひとつ。簡単なひと言で済む。
「いままでに誰も見たことのないような、すっごい奴をつくってくれ」
 これは僕がかつてとあるアニメ製作会社にいたとき、当時の上司、山浦氏から言われたことばです。
 それに対して僕は
あ、そういうのなら簡単です。いちばん得意ですから

 幾原邦彦との共同企画『シェルブリット』の主役ロボット「シェル」のデザインコンセプトを延々と語ったあとに。

 で、いちばん重要なこと。いままで言ってきたことはまったく無視してもいい肝心なこと。
「かっこいいか?」
 ロボットにとって最も大切で、ロボットの存在価値はこれしかない、と言い切れるものだ。「かっこよくないロボットがいいのだ」とおっしゃる方が思っているロボットはロボットじゃない、と、ぼくは言い切る

 『ファイブスター物語』をSFにしなかった理由。

――SF業界はたしかに厳しいですが、その理由はどこにありますか?
永野:SFを取り巻く環境が老朽化というか墓場のミイラみたいになっちゃっていますよね。当時は全盛期だったんですけど、僕の感覚ではすごく古くさいものになっちゃっていて、だからSFではないものにしたいと思った。

 『アウトライン』収録の記事だけでこの暴言。このひと、この性格だと敵を作るだろうなあ。遠くから見ているぶんには実におもしろいんですけど。

 でも、

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 やっぱりすごい。天才。頭おかしい。

 さいごに、『重戦機エルガイム』以来の関係である富野監督との対談より。

永野 監督はサンライズの中に弟子や子供はつくらなかったけど、監督が思ってもいないところで子供が大勢生まれているんです。僕は鬼子だけどいちばんの子供で「ブレンパワード」のときもけんかしたけど、あれは親子げんかなんだから、そういうレベルでけんかできる子供がいることを誇りに思いなさいよ。僕は富野さんをボロクソに言うけど、でも富野さんをバカにするヤツがいたら、僕はマジギレしますよ。そういう子供たちを集めて次の作品を作ったらどうですか、と僕は言いたい。

永野 (中略)僕にとって「ガンダム」は富野監督がつくったものが「ガンダム」であって、それ以外の人間がつくったものは、どんなによくできていてもパチモンだっていう大前提があるわけ。そんなふうに思っている子供がたくさんいるんだから、いろんな業界にいる富野の子供たちに向けてニュータイプで「興味のある人は連絡してくれ」って告知すりゃいいじゃん。そうすればゲーム業界からも人が来るし、優秀な原画マンだって集まってくる。原画マンが15人いれば1本映画をつくれるでしょ。

富野 できるけど、そういうことをよく平気で言えるなあ(笑)。

 クールな天才肌に見えて、案外、熱い男なのかもしれぬ。