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Something Orange このページをアンテナに追加

2007-09-24(月)

 「初心者に薦めるならこの一作」リスト。


 先日のチャットで、こんな話題が出た。

にけ お勧めエロゲはなに?

海燕 一本だけなら『Fate』かな。やっぱり。

儀狄 とりあえず、エロゲ以外のメディアで好きな作品を聞きますね、私なら>おすすめ

まきがい お薦めエロゲと言われたらもう完全に自分の趣味で薦めちゃっていいんじゃないかって気がしてきました、最近。

 もし、そのジャンルをよく知らない初心者に、一作だけ薦めるとしたら何を選ぶか? マニアが集まるとかならず出る話だ。

 マニアとは、ゾンビに似ている。いつだって仲間を増やしたくてたまらないのだ。だから、たまにチャンスがあると、嬉々としてひとに作品を薦める。

 しかし、往々にしてとんでもなくマニアックな作品を薦めたり、膨大な作品名を挙げたりして顰蹙を買う羽目になる。

 そこで、もしぼくが小説や映画などを薦めるとき、一作だけ選ぶとしたら何を選ぶか? 熟考の末、リストにまとめてみることにした。

 なるべくとっつき易く、しかも病み付きになるほどおもしろいものを選ぶこととし、そして現在入手困難な作品は避けた。

 ジャンルの分類が適当なことは許してほしい。ホラー関連の項目がないのは、ぼくがよく知らないからである。

 それでもあえて薦めるなら、スティーヴン・キングの『IT』とか、ダリオ・アルジェントの『サスペリアPART2』あたりかな。

IT〈1〉 (文春文庫)

IT〈1〉 (文春文庫)

サスペリア PART2 / 紅い深淵 完全版+公開版 [DVD]

サスペリア PART2 / 紅い深淵 完全版+公開版 [DVD]

 エロゲなら上記のように『Fate/stay night』。『SWAN SONG』が定価で買えるようならそっちを薦めますけれど、いまじゃプレミア付きまくりですから……。

Fate/Stay night DVD版

Fate/Stay night DVD版

 ハードボイルドが好きなら『Phantom of Infelno』、とにかく楽しいコメディがお望みなら『らくえん』もお奨め。『らくえん』はダウンロード販売でお安く購入できます。って、一作じゃないじゃん。

ファントム ~integration~ 通常版

ファントム ~integration~ 通常版

らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

らくえん ~あいかわらずなぼく。の場合~

 ま、とにかく、ご照覧あれ。

■映画部門■

・アクション映画 ベニー・チャン『香港国際警察』

 ジャッキー・チェンの新境地を示す傑作。

 いままでのジャッキー映画の特色だったユーモアは姿を消し、ひたすら暗く、悲劇的な物語が続く。次々と仲間を殺され、酒びたりになるジャッキーの姿は衝撃的だ。

 しかし、もちろんそのままでは終わらない。後半では、すべてを失ったジャッキーの逆襲が始まる! 斬新なアイディアがたっぷり盛りこまれたアクションシーンは見物。

・恋愛映画 ジョン・マッデン『恋に落ちたシェイクスピア』

 アカデミー賞七部門獲得の傑作である。

 この映画の見所は、シナリオ。ぼくはこれほどまでに美しく練りこまれた脚本を見たことがない。すべてが緻密に計算され、一切の無駄なくからみ合っている。

 名作『ロミオとジュリエット』製作の裏側に、あったかもしれないシェイクスピアの恋物語に、うっとりと見蕩れること請け合い。もちろん、明るく美しい画面も見所だ。

・サスペンス映画 ジョナサン・デミ『羊たちの沈黙』

 ベタだなあ。しかしまだ見ていないなら、ぜひ。

 いわずと知れた、サイコサスペンスものの最高傑作。この映画は、シャーロック・ホームズ並みの名探偵にして、悪魔のごとく殺人鬼でもあるレクター博士を世に広めた。

 そして、FBI捜査官のクラリスは、博士の推理に従って、もうひとりの殺人鬼を追いつめていく。「不安の時代」を代表する名作である。

・特撮映画 ピーター・ジャクスン『ロード・オブ・ザ・リング』

 これもベタ。トールキンの『指輪物語』の映像化という不可能とも思える冒険を成し遂げた記念碑的名作。この一作で、監督のピーター・ジャクスンは、一躍世界のトップにまで踊り出た。

 3部作で十数時間にもなる超大作だが、十分、それだけの時間を費やす価値がある。はるかなる異郷の地、ミドルアースに心遊ばせられる映画である。

・邦画 黒澤明『椿三十郎』

椿三十郎 [DVD]

椿三十郎 [DVD]

 邦画をまとめてひとつのジャンルのように扱ってしまうこともどうかと思うけれど、ま、ぼくはあまり見ていないので許してください。

 その数少ない経験から一作を選ぶならこの作品。黒澤映画にはほかにもいろいろ名作があるけれど、全体的な完成度の高さでこの作品に決めた。

 美術、脚本、俳優、娯楽性、芸術性、すべてにおいて完璧な大傑作。白黒映画なんて、と思っているあなたも、10分も見れば虜になるはず。

■小説部門■

・海外SF ジャイムズ・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』

 海外SFのなかから一冊を選ぶことは簡単ではないが、初心者向けという条件ならやはりこの一作になるだろうか。

 天才ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの遺作。昔懐かしいスペースオペラのかたちを採りながら、深刻なテーマもそこかしこに感じさせる名作短編集。

 表題作はとにかく抜群に読みやすく、サスペンスもたっぷり。短篇小説のお手本のような作品である。もし入手できるなら、アーサー・C・クラークの『宇宙のランデヴー』もお奨め。

・国内SF 飛浩隆『グラン・ヴァカンス』

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

グラン・ヴァカンス―廃園の天使〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

 寡作のSF作家飛浩隆、実に10年ぶりの新作である。そして、その完成度は、「空白の10年」を埋めるに十分なものだった。

 1000年間だれも訪れなかった仮想現実リゾートを舞台に、人間以上に人間的なAIたちのサバイバルを描く。

 徹底的に研がれ、無駄を殺ぎ落とされた美しい文章で、華麗なる残酷劇が綴られる。続編『ラギッド・ガール』は『グラン・ヴァカンス』を上回る傑作。

・海外ファンタジィ マイケル・ムアコック『エルリック・サーガ』

 10000年続いた〈光の帝国〉メルニボネは、最後の皇帝の時代を迎えていた。そのひとの名はエルリック。ひとの魂を吸い取る〈黒の剣〉ストームブリンガーの主にして、その魔剣の力なくしては生きていくことすら出来ない病身の白子。

 ムアコックはこの個性的なアンチ・ヒーローを主役に、通快かつ退廃的な物語を編み上げていく。現在は『永遠の戦士エルリック』のタイトルで入手可能。

・国内ファンタジィ 小野不由美『十二国記』

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈下〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈下〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

 小野不由美のベストセラー。

 「平凡な女子高生だった少女が、ある日、異世界に召還され、そこで王になる」というありふれた筋書きながらも、その気品と文章力で絶大な支持を集めた。

 一応、少女小説の範疇に属する作品ではあるが、その圧倒的な完成度は大人の読者をも魅了する。唯一の欠点は一向に続編が出ないことだろうか。これほど続刊が待ち望まれる作品も少ない。

・海外推理小説 ジョン・ディクスン・カー『ユダの窓』

ユダの窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-5)

ユダの窓 (ハヤカワ・ミステリ文庫 6-5)

 「密室の帝王」ジョン・ディクスン・カーの、法廷サスペンス小説。ある青年が密室のなかで死体と供に発見され、容疑をかけられるところから物語は始まる。

 名探偵ヘンリー・メリヴェール卿が弁護を引き受けるものの、容疑者自身が「自分が殺した!」と叫びだすなど、裁判は絶望的な方向へ向かう。

 H・M卿はこの裁判で逆転する鍵は「ユダの窓」にあるというのだが、だれもその意味がわからない――。文句なしの名作だ。

・国内推理小説 連城三紀彦『戻り川心中』

戻り川心中 (光文社文庫)

戻り川心中 (光文社文庫)

 「花葬」と題された五つの短篇を収録した超傑作短編集。うつくしい文体によって日本情緒あふれる悲劇的な物語が綴られる。

 何よりすさまじいのはその逆転の構図。いったん物語が終わったかに見えた瞬間、あざやかな逆転劇の幕がひらく。

 読者の目の前で、それまで見えていた光景は崩壊し、まったく違う世界が見えてくる。天才の業というしかない。日本推理小説史上屈指の名作。

・歴史小説 司馬遼太郎『燃えよ剣』


燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)

燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)

燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)

 海外歴小説の項目がないのは、ぼくが詳しくないからです。すいません。とりあず国内歴史小説から一作選ぶなら、ぼくならやっぱり『燃えよ剣』かな。

 『関ケ原』も傑作だし、『国盗り物語』も痛快だが、この『燃えよ剣』の透明な悲劇性はつよく印象にのこる。

 一代で剣客集団新撰組を組織し、幕末をかけぬけ、わずか35歳にして逝った新撰組副長土方歳三のさっそうたる生涯を見よ。

・時代小説 山本周五郎『さぶ』

さぶ (新潮文庫)

さぶ (新潮文庫)

 『赤ひげ診療譚』とどちらが良いか迷ったのですが、ま、やはり『さぶ』かなあ。

 無実の罪で遠島に処せられ、人間を信じられなくなってしまった若者と、愚直なまでにかれを信じ、支えつづける「さぶ」、その葛藤は、人間愛と人間不信のたたかいでもある。

 はたしてさいごに勝利するのはどちらなのか? 山本周五郎が巧みの腕前を見せた、すがすがしい青春小説の金字塔。

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

・恋愛小説 石田衣良『美丘』

美丘

美丘

 『世界の中心で、愛を叫ぶ』が大ヒットを遂げて以来、センチメンタルな恋愛小説が大流行したが、この作品もその系統に属するものだろう。

 病に冒された少女と、次第に彼女に惹かれていく青年という構図は、何も目新しいものがない。しかし、さすがに石田衣良ほどの書き手が描くと、そんなありふれた物語も、本物の作品に仕上がる。「泣ける小説」である。

・大河小説 ジョージ・R・R・マーティン『氷と炎の歌』

 『指輪物語』以来、膨大な数の大長編ファンタジィ小説が生み出されたが、この作品はそのなかでもいちばんおもしろいのではないかと思う。

 というか、世界のあらゆる群像小説、大河小説のなかでも、まず一、二を争う作品なのではないだろうか。マーティンは奇を衒うことをしない。ただひたらすに正攻法で物語を紡いでいく。「王道」の恐るべき力を思い知らされる一作。

・伝奇小説 金庸『秘曲笑傲江湖』

秘曲 笑傲江湖〈1〉殺戮の序曲 金庸武侠小説集 (徳間文庫)

秘曲 笑傲江湖〈1〉殺戮の序曲 金庸武侠小説集 (徳間文庫)

 伝奇小説に分類することは間違えているかもしれない。香港の武侠小説作家、金庸の代表作である。

 中国では数度にわたって映画化、ドラマ化、ゲーム化され、知らないものはいないほどの人気だという。それも当然だろう。日本人のぼくが読んでも、ほとんど異常なほどおもしろい!

 細かい整合性など歯牙にもかけず、ただひたすら突き進んでいく物語のカタルシス! チャンバラ小説の歴史的大傑作だ。

・ライトノベル 乙一『失踪HOLIDAY』

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

失踪HOLIDAY (角川スニーカー文庫)

 この本をライトノベルの代表としてあげることはためらわれるのだけれど、「ライトノベルなんて、たいしたことないのだろう」と思っているひとの目を覚まさせるためには役に立つだろう。

 もう一冊『きみにしか聞こえない』と合わせて、角川スニーカー文庫史上の最高傑作だと思っている。「しあわせは子猫の形」、『CALLING YOY』、『華歌』、いずれも乙一の天才的感性が炸裂した秀作だ。

きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)

きみにしか聞こえない―CALLING YOU (角川スニーカー文庫)

■漫画部門■

・バトル漫画 荒木飛呂彦『スティール・ボール・ラン』

スティール・ボール・ラン (1) ジャンプコミックス

スティール・ボール・ラン (1) ジャンプコミックス

 『HUNTER×HUNTER』とどちらにしようか迷ったけれど、『HUNTER×HUNTER』はいつ終わるかわからないので、こちらにした。

鬼才荒木飛呂彦の代表作『ジョジョの奇妙な冒険』の第7部。しかし、ここから読みはじめても全く問題はない。

 広大なアメリカ大陸を舞台に、命懸けの5000km横断レース「スティール・ボール・ラン」に挑む若者たちを描く。あ、こう書くとバトル漫画には思えないな。

・スポーツ漫画 井上雄彦『SLAM DUNK』

Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)

Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)

 ま、どうせ皆、読んでいることと思いますが――それでも、スポーツ漫画から一作選ぶなら、やはり『SLAM DUNK』しか思いつかなかった。

 ただの不良少年に過ぎなかった桜木花道が、バスケットボールと出逢い、ときに勝利し、ときに敗北しながら人間的に成長していく物語。

 そうまとめてしまうとこぼれ落ちるものが多すぎるが、こればかりは読んでもらうしかない。永遠に語り継がれるべき作品である。

・恋愛漫画 樹なつみ『花咲ける青少年』

花咲ける青少年 (1) (花とゆめCOMICS)

花咲ける青少年 (1) (花とゆめCOMICS)

 世界最大の財閥、バーンズワースの令嬢、花鹿(かじか)は、創業者である父から「夫選び」のゲームを持ちかけられる。

 これから彼女の前に3人の男たちがあらわれる。いずれ劣らぬ才能と美質をかねそなえた者たちだ。そのなかから自分の夫にする人物をひとり選べ、と。

 そして花鹿の夫選びは、ひとつの王国の存亡とも関係していくのだった。とにかく気宇壮大で花やかでイケメン揃い、「ザ・少女漫画」ともいうべき一作。

・サスペンス漫画 大場つぐみ&小畑健『DEATH NOTE』

DEATH NOTE デスノート(1) (ジャンプ・コミックス)

DEATH NOTE デスノート(1) (ジャンプ・コミックス)

 やはりサスペンス漫画といえばこれしかない。『DEATH NOTE』です。

 名前を書くだけでひとを殺せる死神のノートを用い、世界を影から管理しようとする青年夜神月と、かれの野望を阻止するべく立ち上がった名探偵L。かれらの壮絶なる頭脳戦は、世界を巻き込み、無数の犠牲を生み出しながらも続いていく。

 全12巻で完結しているので、未読の方は一気読みしてみてはいかが。

・推理漫画 加藤元浩『Q.E.D −証明終了−』

Q.E.D.証明終了(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

Q.E.D.証明終了(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

 『金田一少年の事件簿』以来、いまや推理漫画はありふれているが、そのなかでも最もアベレージが高い作品であろう。

 数学ネタ、科学ネタ、歴史ネタなど衒学的な要素を散りばめながら、密室殺人をはじめとするあらゆるトリックで読者を魅了する。

 その内容は世界を股にかけたものから、「日常の謎」まで幅広く、既刊28巻を数えたいまも衰える兆しを見せない。

・萌え漫画 あずまきよひこ『あずまんが大王』

あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)

あずまんが大王 (1) (Dengeki comics EX)

 この作品を「萌え漫画」に分類することも問題があるかもしれないが、いわゆる「オタク系」の漫画の代表格ということで選ばせていただく。

 とにかく4コマ漫画として抜群におもしろいので、その手の作品が苦手というひとも読めるはず。じっさい、全4巻で300万部を突破という大ベストセラーでもある。

 まったりゆるゆるした日常空間と、適度にブラックなユーモアをかねそなえた、読みはじめるとやめられない「するめ漫画」である。

■まとめ■

 というわけで、一通り挙げてみたのですが、いかがでしたでしょうか。

 もちろん、各人各様の好みがあり、だれもが楽しめる作品など存在しない道理ですが、とりあえずここに挙げた作品は自信をもって薦められるものばかりです。

 もしこれから読んでみたい、見てみたいと思うジャンルがあったら、ご参考にしていただければ幸いです。でわでわ。