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Something Orange このページをアンテナに追加

2008-01-13(日)

 ネット書評は作家の「営業妨害」になるか。


 「ラノ漫」の記事について、もう一つ書いておく。

 あの記事で、最も「書評サイト」側の反発をそそったのは、「問答無用にダメ」なサイトとして、「商売の邪魔になることが書かれた書評サイト」が挙げられていたことではないか。

 プロフェッショナルな編集者から、「商売の邪魔」といい切られた書評サイト側が憤慨することはよくわかる。

 何しろ(アフィリエイトなどの収入を除けば)、書評サイト管理人は一銭の金も得ていない。そこにプロから「商売」を持ち出されては、反発も必至というものだろう。

 しかし、この意見の成否は別として考えてみよう。書評サイトが現実に「商売の邪魔」になることがありえるだろうか。

 ありえないことはないと思う。読者を一人二人減らすという次元では。

 しかし、いまのところ、大勢を決する与えるほどの影響力はない。その証拠に、多くのベストセラーは、ネットでは貶されているではないか?

 書評サイトの管理人とは、しばしば、筋金入りの活字マニアである。自然、一般読者とは嗜好が合わないこともある。

 また、その読者数も多くて数千人程度、徒党を組んでいるわけでなし、意見が分かれることも多い。それほど大きな影響力はないはずである。

 唯一現実的な効果があるとすれば、Amazonのレビューくらいではないだろうか。

 時々考えるのだが、数十、数百のアカウントを取って徹底的に貶しまくれば、十分、「営業妨害」することが可能なのではないだろうか。

 Amazonでは、すべての作品が一つ星から五つ星で評価されている。ひとりふたり一つ星を付けるものがいれば、その作品の平均評価は一気に下落する。それが数十ともなれば、Amazonでの売上が下降してもおかしくないと思う。

 そこまで行かなくても、たとえば、沙村広明『ブラッドハーレーの馬車』のレビューにかんするこういう意見がある。

ちなみに、余談。作品自体には文句はないのだが、憤慨に堪えないことがひとつ。

この作品のamazonのレビューがひどいことになっている件。

「作者の意図を疑うような、出版社の品性を疑うような本でした。

「次回作は女子高生でやりたいと書かれていたのを見た時点で私は左手を額に当て慟哭しました。これが・・・ あの沙村氏なのか? この人を私は尊敬していたのか・・・ 」

で、評価1をつける人が続出し、現在この作品のカスタマレビューは、☆3。この傑作が。

流石にこれは、駄目だこいつら……早くなんとかしないと……と、ライトの顔AAになるほど思った。

女子高生うんぬんは笑うところだし。

自分の感性と合わなかっただけで作品の評価を貶めるな。

 この意見はわかる。その作品が自分にとっておもしろくなかったからといって、「出版社の品性を疑う」なんて、むしろレビュアーの品性を疑うような言い草だ。

 こういうレビューをAmazonに載せることは、セールスに悪影響を与えるという意味で「営業妨害」になりえるのではないか、と思いもする。

 しかし、ぼくは思うのだが、こういうレビューが、かえって作品のセールスを高めることも考えられるのではないだろうか。

 この作品は読んでいないけれど、このレビューを見ただけでも、非情で、スリリングで、ショッキングな作品であることがわかる。こんなにもひとを反発させる作品とはどんなものだろうと興味を惹かれる。

 結局のところ、レビューの読者もばかではない。批判意見が書かれていたからといって、即座にそれを信じ込むことはないだろう。だから、批判意見が常に「営業妨害」になるとは限らない、と思うのだ。

 ただ、最前書いたように、数十、数百の単位で書かれた場合は別である。そういうレビューは「営業妨害」となって、作品のセールスを数%単位で減らすこともなくはないかもしれない。

 ただし、もし作品の評価が高ければ、そういう意見は「参考になった」ものとは看做されないだろう。たぶん、そのページを訪れた一般読者も「何かおかしい」と思う。

 結局のところ、作家は読者と、そして作品を信頼しても良いのではないかと思う。少々のことでは書評は作品の「営業妨害」になったりしないはずである。

 感情的にむかつく、ということはあるかもしれませんが。

ブラッドハーレーの馬車 (Fx COMICS)

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