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Something Orange このページをアンテナに追加

2008-02-20(水)

『アイドルマスター』ギョーザ説。


 アイドルマスター×荘子 紙芝居「曳尾於塗中」

アイドルマスター×荘子て。

手書き紙芝居系で漢文とその訳、そして独自解釈したアイマス訳付きの動画です。その訳がキャラのネタを上手く絡ませていて、これがまたなかなか面白い。絵も素朴な感じで内容と合ってていい感じ。

で、この動画のタグを見てみたら……「アイマス教養講座」なんてタグがついてます。ああそういえばこないだ簿記講座も話題になってたしなーとか思って覗いてみました。

タグ - アイマス教養講座

おいおい機能しとるがな。

23件もありますよ? DikePがイベントで百人一首で和歌を学ぼうってのを出してたのは知ってたけど、まさかこんなことになってるとは。日本、欧州の歴史講座とか落語とか経営学講座とか。教養講座のダイジェスト動画まで出来てるし! すげえ、なんだこりゃ。

 なんだこりゃ。

 まきがいさんもおどろいている通り、『アイマス』キャラで荘子! 奇想にも程がある。

 いや、そりゃ、いままでも色々なアイディアがあったけれど、それにしても荘子とはね。本当に何でもありだなあ。

 ここで知らないひとのために解説しておくと、『アイマス』とは『アイドルマスター』というゲームの略称。

アイドルマスター ライブフォーユー! (オリジナルアニメDVD同梱版)

アイドルマスター ライブフォーユー! (オリジナルアニメDVD同梱版)

 もともとはゲーセンから生まれたアイドル育成ゲームらしいんですが、なぜかニコニコ動画でブレイクし、現在、大量のMADムーヴィが製作されています。

 で、荘子とは古代中国の思想家。「老荘」という、その「荘」ですね。

荘子 (中国の思想)

荘子 (中国の思想)

 アイドル。中国。ゲーム。老荘。はい、何の関係性も見出せませんね。しかし、一見まるで関係がなさそうなものがあっさり結びついてしまう辺りがニコニコ動画のおもしろさ。

 いや、それにしても、『アイマス』初心者のぼくとしては目新しい光景で、実に驚きを禁じえない――はずなんだけれど、なぜだかふしぎと既視感があるのは、きっといままでのオタク文化でくり返し行われてきたことの進化形だからでしょう。

 ある設定やキャラが「枠」の役割を果たし、その「枠」のなかで色々なものが繁栄するというパターンは、いままでにも、たとえばエロゲでもあった。

 『Fate/Zero』で有名になった虚渕玄がシナリオを書いたエロゲ『Phantom of Infelono』は、エロゲのくせに銃器の描写にこだわりぬいたハードボイルドな傑作です。

 エロゲとかギャルゲとかいうと連想される「萌え〜」な雰囲気とは170度くらい雰囲気が違う作品で、わが最愛のゲームのひとつ。

 でも、それなら、だからエロゲでなくてもいいのかというと、そうでもないんだよね。この場合、エロゲという「枠」があることが重要なのです。

 作品を見れば、作り手がガンアクションを描きたいことは明らか。しかし、ただガンアクションだけを描いていては需要がないし、自己満足の域を超えない。

 そこで女の子を出して18禁の市場で商売しよう、ということになる(小説版『吸血殲記ヴェドゴニア』巻末対談参照)。そうすることで商業作品として成立するようになる。

 いわば、「ガンアクション」という「中身」と「美少女エロゲ」という「枠」の両方があって初めてひとつの作品として成立しているのです。

 もしわかりづらいなら、ギョーザを連想してもらいましょう。「ガンアクション」はギョーザの中身である。「エロゲ要素」は皮。皮と中身、どちらが欠けていてもギョーザは成立しない。

 初心者だからよく知らないんですけれど、『アイマス』でも同じことがいえるのではないかと思う。いまの『アイマス』とは、どんな中身でもおいしく食べられてしまう万能の「皮」になりつつあるように見える。

 中身が美味ければ皮への愛情も増す、皮が美味しいからこそ奇抜な中身も食べられる、そういう相乗効果でジャンルがどんどん進歩しているんじゃないか。

 オタク文化は、それ自体のなかに閉ざされていて、外部との接触がないから良くないと昔からいわれていた。自己言及的かつ閉鎖的なカルチャーだと。

 しかし、いまの状況(『アイマス』で荘子!)を見ているととてもそれどころではないように思えます。あらゆるものがオタク文化という皮で包み込める。時代はギョーザなのだ!

 もちろん、農薬の話ではない。