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Something Orange このページをアンテナに追加

2008-11-24(月)

熱き男たちの友情劇――『Tears to Tiara』。


Tears to Tiara 初回限定版

Tears to Tiara 初回限定版

 クリア。

 Leafのシミュレーション&アドベンチャーゲーム。正味2日間でクリアしてしまった。

 『空の軌跡』は2年かかったのに、この差は何なんだ。ま、ボリュームが違うこともたしかなんだけれど、それにしてもライトでプレイしやすい作品であった。

 物語は「青銅の時代」の終焉から一二○○年、辺境の蛮族ゲール族の娘リアンノンが「帝国」の司祭に浚われるところから始まる。伝説の妖精王プィルの血をひく彼女は魔王復活の生贄として選ばれたのだ。

 彼女の兄にしてゲール族一の戦士であるアルサルが救いに駆けつけるものの、間一髪間に合わず、世界を亡ぼすと言い伝えられる魔王アロウンは復活してしまう。

 しかし、かれは予想外の人柄で――と、最初の20分はひたすらシリアスな展開が続く。ほとんど始まった瞬間からクライマックスというべき展開で、いったいどうなるのかと思わせる。

 しかし、それもリアンノンが「わたし、アロウンさまのお嫁さんになります!」と言い出すまで。そこから先はひたすらコメディ&ほのぼのなハーレムラブコメが展開する。

 ところが、中盤を過ぎる辺りから、物語はふたたびシリアスに盛り上がりはじめる。さまざまな謎と伏線、そして、主人公アロウン(そう、魔王さまが主人公なのですよ)の秘密を巡り、カタルシスあふれる展開が繰りひろげられる。いや、王道って素晴らしいね。

 ただ、全体として見るとひどく薄味で、印象にのこらない場面が多い気がする。ハーレムラブコメの部分は楽しくないこともないんだけれど、しょせん普通のエロゲの水準だしなあ。同じLeafの『うたわれるもの』と比べると全体的に1レベル落ちる。

 『うたわれるもの』のキャラクタはいまでも憶えているけれど、この作品のそれは半年もすると忘れてしまうだろう。

 じゃ、それならおもしろくなかったのかというとそうでもなくて、2日間休まずプレイするくらいおもしろかったわけである。

 先述したように全体としては薄味なんだけれど、場面場面では熱く盛り上がるところがいくつかあり、それが物語全体をつよく牽引している。名作とか傑作というほどのものではないにしろ、なかなかに良く出来た佳作といえるだろう。

 先に書いたようにキャラクタの印象は薄いんだけれど、例外があって、それはアロウンさまを初めとする男性陣なんですね。

 じっさいにプレイしないと想像しづらいだろうと思うが、この作品の主役は完全に男性陣である。男と男の熱い友情こそテーマといいきってもかまわない。

 アロウンの莫逆の友アルサル、かつてアロウンと供にたたかった妖精王プィル、死を運命付けられた吟遊詩人のタリシエンなど、男性陣に限るなら実に魅力的な人物がそろっている。物語を動かしていくのは彼らだ。女性キャラなんて、おまけですね、おまけ。

 そういうわけでエロゲとして正しいかどうかは微妙に疑問がのこる作品ではあるのだけれど、とにかく楽しくプレイできた。全体としては★★★だが、部分的には★★★☆、あるいは★★★★付けても良いと思う。

 やっぱり問題はエロシーンが多すぎることなんじゃないか(笑)。エロシーンを半分にして、そのぶんを物語の厚みを増す方向に使っていたら、『うたわれるもの』に比肩する作品になっていたかもしれない。そしたらただでさえ少ない女性陣の見せ場がさらに減っちゃうけれど……。

 プレイし終わったあと、男たちのかっこよさばかりが印象にのこるという、ある意味、異色のエロゲである。

 ぼくはわりと好き。