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2009-06-17(水)

部活漫画には二種類ある。


 毎度毎度ペトロニウスさんのところからネタをひっぱって来て恐縮ですが、今回は漫画やアニメにおける「部活もの」の話。いいよね、部活もの。ぼくは好きなんですけど。

 でも、ま、部活ものにも二種類あって、ひとつは、『SLAM DUNK』みたいな、『アイシールド21』みたいな、集団のモチベーションがはっきりしているタイプ、「全国制覇めざすぜ!」系。

Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)

Slam dunk―完全版 (#1) (ジャンプ・コミックスデラックス)

アイシールド21 (1) (ジャンプ・コミックス)

アイシールド21 (1) (ジャンプ・コミックス)

 もうひとつは、『放課後ウィンドオーケストラ』のような、『とめはねっ!』のような、特に大きなモチベーションが存在しないタイプ、「まったり皆で楽しもうぜ!」系。

放課後ウインド・オーケストラ 1 (ジャンプコミックス)

放課後ウインド・オーケストラ 1 (ジャンプコミックス)

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

とめはねっ! 鈴里高校書道部 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

 そのいずれが正しくいずれが誤っているというものではありませんが、とにかく大別するとこの二種類に分けられるんじゃないかと。

 ぼくは前者を「きつい部活もの」、後者を「ゆるい部活もの」と呼んでいます。ぼくは見ていないけれど、『けいおん!』はたぶん「ゆるい部活もの」なんでしょうね。

けいおん! (1) (まんがタイムKRコミックス)

けいおん! (1) (まんがタイムKRコミックス)

 もちろん、この二者は明確に分かたれているわけではなくて、じっさいにはグラデーションを描いていると思います。

 で、ペトロニウスさんは良く「ゆるい部活もの」は物足りない、みたいなことを仰いますよね。それもわかる話で、過酷な競争社会でもまれているひとにとっては、そういうモチベーションの低い仲良し集団ものは、いかにも甘ったるく思えてもふしぎじゃない。

 でも、逆にいうと、こういう「ゆるい部活もの」の価値は、その物足りなく感じもするところにあるのであって、その何ともいえないゆるさ、優しい癒しの空間こそが魅力であるわけです。

 現実社会における集団がしばしば排他的かつ暴力的であるこそ、万人を優しく受け入れてくれる空間は魅力的に見える。

 ぼくは昔、そういう系統の作品を「仲良し空間もの」と呼んでいました。好きなんですよね、「仲良し空間」。

 正確には部活ものではありませんが、この系統で最近のヒットは何といっても『ペルソナ4』。男女はもちろん、アイドルやら探偵やら入り乱れる豊かな集団の魅力は、それはもう、すばらしかった。

ペルソナ4

ペルソナ4

 ただ、ぼくでもやはり、そういうゆるい空間には物足りなさを感じることがある。そこで、「きつい部活もの」に憧れたりもするわけです。

 ペトロニウスさんが挙げている『ちはやふる』は、最近の「きつい部活もの」の白眉ですね。

ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)

ちはやふる (1) (Be・Loveコミックス)

 集団でひとつの競技に打ち込む楽しさを維持しながら、なおかつ高いモチベーションを保った集団を描く、というアクロバット。お見事、としかいいようがありません。

 本来、強いモチベーションを抱えることは、ゆるい「仲良し空間」を崩壊させる因子を孕むことでもあるわけです。強いモチベーションできつい練習を行っていくことは、脱落者を生みかねないし、そうでなくても、ゆるい楽しさを殺していく。

 その両者を両立させた「きつくてゆるい部活もの」は、ある種、「部活もの」のひとつの理想であるかもしれない。『ちはやふる』のおもしろさは、その境地を実現させているところにある、といえるかも。

 その系統の傑作として、ぼくはなつかしの柔道漫画『帯をギュッとね!』を挙げたい。あれはねえ、めちゃくちゃおもしろかった。

帯をギュッとね! (1) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

帯をギュッとね! (1) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

 この作品でも、最終的に「きつさ」を選んだ結果、いちど部が崩壊しそうになるんですけれど、結局、それを乗り越えて進んで行くんですね。そこが非常に感動的でした。

 『帯ギュ』に比べると、『とめはねっ!』はどうしてもゆるすぎるように見えます。もちろん、同じ作品を二度くり返しても意味がないから、仕方ないのだけれど。

 「部活もの」には「きつい」ものと、「ゆるい」もの、二種類があるという話でした。『放課後ウィンドオーケストラ』辺りが、今度、どの方向に舵を取るのか、大変楽しみです。

 いや、ぼくは好きなんだよ、あの漫画。