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Something Orange このページをアンテナに追加

2010-02-24(水)

「好き」に境界線を引かない。


 先日の記事にこのようなコメントをいただいた。

オタクの特性に対しつっこまれて、海燕さんがそれは自分と違うと思うのは正しい感覚なんですよ。
何故なら、海燕さんはもう世間の観るオタクの域を超えているからです。

あなたの器がもうオタクをはみでているので、世間が責めるオタクに、あなたが当てはまらないだけでしょう。
ですから、あなたがまた下に降りてオタク擁護するより、もう自分の成長を素直に認めればいいだけのこと。

海燕さんは過去の自分が属していたまだ未熟だった頃のオタクイメージ。
その中に未だ固執し、捉われているのでしょう。

そこから出ているので、岡田さんと同じように、オタクに括れない新しい名前なき集団。
オタクから出て、進化したオタクとして、自分たちのグループを意識し、そこから発言すればいいのでは?

 べつだん、じぶんが「オタク」を超えているとは思わないが、しかし、ちょっと考えさせられるコメントではあった。じぶんを「オタク」と定義することに違和を感じ続けていることは事実だからだ。

 ま、「じぶんはオタクだと認めたがらないのがオタク」という定義もあるくらいで、それじたいは特別めずらしいことじゃないかもしれない。しかし、あえていうなら、ぼくが感じている感覚は「じぶんはオタクなんかじゃない」というより、「オタクっていわれても困る」というものなのだ。

 漫画もアニメもエロゲも好きだけれど、それだけで人生ができあがっているわけじゃないからなあ。たとえば、ぼくが映画ネタだけでブログを作ったとする。その場合、ぼくは「オタク」とはいわれないだろう。しかし、映画が好きであることも、アニメが好きであることも、ぼくのなかでは等価なのだ。

 もっというなら、立川談春を好きなことも、アルフォンソ・キュアロンを好きなことも、美水かがみを好きなことも、等価である。ぼくのなかでは、「オタク的なもの」と「非オタク的なもの」のあいだに境界線は存在しない。

 ただ、おもしろいもの、すばらしいもの、奇妙だったり奇抜だったりするものを求めていった結果、たどり着いたところにそれらの文化が存在したというだけのことなのだ。

 だから、あるひとつの趣味で人格全体を判定されることには違和を感じる。たとえば、よくアニメを見るということを告げると、しばしばぼくは「アニメファン」だと見なされることになる。あるいは、落語。たまに落語を聴きに行くと話すと、「落語好き」のカテゴリに放り込まれる可能性がある。

 これは、ある意味で当然のことだし、べつに間違えているというつもりはない。ただ、ぼく個人としては、どうもこの種のカテゴライズに違和感を禁じえない。

 というのも、ぼくはべつに「アニメ」とか「落語」が好きなわけではなく、ただ「おもしろいもの」が好きなだけだと思っているからだ。だから、おもしろくないアニメや落語はべつに好きじゃない。

 先日、某アニメ映画について、「こんなの見ているのキモオタだけだろww」と語っている記事を見た。心の底からくだらなあ、と思う。だれが見ていようが、見ていまいが、映画の価値には何の関わりもないことじゃないか。

 重要なのはその映画がおもしろいかどうか、よくできているかどうかであって、観客の中身じゃないだろう。

 結局、こういうことをいうひとたちは映画そのものよりも、その映画が社会的にどういう位置づけにあるものかに興味があるのだと思う。もっというなら、その映画そのものより「その映画を好きな自分」を周囲に誇れるかどうかということが重要なのではないか。

 むろん、ぼくのなかにも、そういう一面があることは否定しない。しかし、それでもなお、なるべく純粋に「好き」に殉じたいという思いもある。

 だから、ぼくは「好き」に境界線を引かない。その作品が世間でどう評価されているか、どこのジャンルに所属しているかはどこまでも副次的な問題である。

 だれがなんといおうが、好きなものは好きだし、そうじゃないものはそうじゃない。それが世間で高尚といわれていようと、低俗とみなされていようと、知ったことじゃない。じぶんの「好き」だけが唯一の信用できる羅針盤なのだ。

 芸術作品だから偉いとも思わないし、萌えエロゲだからくだらないとも思わない。逆に、子供向けアニメだからすごいとも感じないし、クラシック映画だからお高く止まっているとも考えない。作品の外にある概念で作品を判断したくないのだ。

 そういう態度は「オタク的」であるかもしれないし、そうでないかもしれない。どちらでもいい。ただ、ぼくはより広く、より深く、世界と人間の秘密を探求したい。一々、作品を差別したりしている余裕はないのである。