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2011-09-27(火)

ライトノベルじゃないライトノベル32作。


 世間では何だかライトノベル32選なるものが流行っているらしいですね。32選ってどう考えても多すぎるだろう、と思わなくもありませんが、既にその数幾千冊にもふくれあがったライトノベルのなかの32作ですから、まあ、意味があるといえなくもないかもしれません。

 で、この手の企画が大好きなぼくとしてはいそいそと羅列しようかと思ったのですが、既に後塵を拝した身としてはいまさらに作品を並べ上げることもためらわれます。そもそも最近のライトノベル、全然読んでいないしね。

 というわけで、ライトノベル32作を並べるのはあきらめて、「ライトノベルじゃないライトノベル」を並べることにしました。つまり、ライトノベルと一般小説の境界線にあって、何かの拍子に定義論が盛り上がるとき、「これはライトノベルだ」「いや、違う」と話題になるような作品だけをまとめてみたわけです。

 本当のことをいうと『たったひとつの冴えたやりかた』とか『ドラゴンランス戦記』、『エルリック・サーガ』といった日本でラノベ的に売られている海外小説まで含めたいところだったのですが、さすがにやめました。サラ・ウォーターズの『荊の城』は百合だからラノベだよね、とか大人気ないことをいうのもやめました。

 作品選考条件は狭い意味でのライトノベルの定義(ライトノベルレーベルから出ている文庫)に属さないこと、それにもかかわらず何らかの意味でラノベ的であること、つまりラノベに影響を与えたか、ラノベに影響を受けた作品であること、です。

 ではでは、行きますよ。

・西尾維新『化物語』

鬼物語 (講談社BOX)

鬼物語 (講談社BOX)

 『戯言シリーズ』でも『きみとぼくの壊れた世界』でも良かったのですが、まあ、順当なところで『化物語』。ラノベ読みなら皆読んでいるので説明は不要かと。

・奈須きのこ『空の境界』

空の境界(上) (講談社文庫)

空の境界(上) (講談社文庫)

 ご存知奈須きのこ。『月姫』や『Fate』の並行世界で「直死の魔眼」を持つ少女を主人公にくり広げられる物語です。恐ろしく読みづらいものの、強烈な個性に満ちています。

・今野緒雪『マリア様がみてる』

マリア様がみてる (コバルト文庫)

マリア様がみてる (コバルト文庫)

 百合ブームの端緒となった傑作。何十冊も出ていますが、最初の十冊くらいは読んでおく価値があると思う。久美沙織『丘の家のミッキー』とは近くて遠い関係にあるといえるかと。

・久美沙織『MOTHER』

MOTHER(マザー)―The Original Story (新潮文庫)

MOTHER(マザー)―The Original Story (新潮文庫)

 同名ゲームのノベライズ。でも、ただのノベライズとは違います。ジュヴナイル的に読みやすく、しかも内容は凝りに凝っているので、ラノベ読みというより小説読み一般にオススメ。

・小野不由美『十二国記』

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

月の影 影の海〈上〉 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)

 いわずとしれた傑作。続刊が止まってもうすぐ十年になりますが、主上、何とかしてください。まあ、色々事情があるんでしょう。とにかくめちゃくちゃ面白いのでオススメ。

・冲方丁『マルドゥック・スクランブル』

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

マルドゥック・スクランブル The 1st Compression 〔完全版〕 (ハヤカワ文庫JA)

 いわずとしれ(略)。これもけっこうな歴史的名作だなあ。ハードボイルドでサイバーパンクな世界を舞台に、少女とネズミのサバイバルを描き切った壮絶無比な物語。冲方さんはそのうち直木賞取るかも。

・上遠野耕平『ナイトウォッチ』

ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫)

ぼくらは虚空に夜を視る (徳間デュアル文庫)

 この世界のすべては、ただの幻想かもしれない。サイエンス・フィクションとしては使い古されたアイディアを、圧倒的にスタイリッシュなスタイルで描ききった三部作。『恥知らずのパープルヘイズ』でもおけ。

・米澤穂信『春季限定いちごタルト事件』

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

 古典部シリーズでも可。古典部シリーズのほうが主人公たちに好感がもてるかもしれない。全四部作で完結するはずなので、『冬季』を早く出してください米澤先生。

・乙一『GOTH』

GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件

 ライトノベル作家といえなくもない天才作家乙一の傑作猟奇ミステリ。もともとは『ザ・スニーカー』に掲載されたシリーズなので、ライトノベルといってもそう問題はないはず。

・新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー』

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

 表紙を漫画家が書いているからライトノベルっぽく見えなくもないシリーズ。内容的にはきわめて正統派の時間SFです。このセンチメンタルさがたまらないお年ごろのぼくなのであった。

・田中芳樹『銀河英雄伝説』

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

 日本スペースオペラの金字塔。超大傑作。日本で書かれたキャラクター小説で、人物の個性の豊かさ、魅力という点でこれに匹敵するのは京極夏彦の妖怪シリーズくらいなのでは。

・荻原規子『西の善き魔女』

西の善き魔女〈1〉セラフィールドの少女 (中公文庫)

西の善き魔女〈1〉セラフィールドの少女 (中公文庫)

 『勾玉シリーズ』でも可。ファンタジーの定石をパロディ化したシリーズ。話が進むごとにヒロインたちがどんどん腐女子化していくあたりが笑える。かなりの傑作だとぼくは思う。

・虚淵玄『Fate/Zero』

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

Fate/Zero(1) 第四次聖杯戦争秘話 (星海社文庫)

 これも大傑作ですねえ。ある意味で『Fate』本編より面白い『Fate』のスピンオフ。血と慟哭に彩られた暗黒の第四次聖杯戦争を描く。虚淵の最高傑作は紛れもなくこれだ!

・瀬戸口廉也『CARNIVAL』

CARNIVAL (二次元ドリームノベルズ)

CARNIVAL (二次元ドリームノベルズ)

 傑作の名も高い同名エロゲの続編。わずか三作をのこし引退した天才瀬戸口廉也の作品のひとつだけあって、現在、高価取り引きされています。ちなみに唐辺葉介とは同一人物。

・有川浩『シアター!』

シアター! (メディアワークス文庫)

シアター! (メディアワークス文庫)

 個人的には『図書館戦争』よりこっちですねえ。有川浩の良い面が出ている佳作。ライトノベルというにはきついが、キャラクター小説であることは間違いない。主人公の兄がかっこいい。

・桜庭一樹『荒野』

荒野―12歳ぼくの小さな黒猫ちゃん (文春文庫)

荒野―12歳ぼくの小さな黒猫ちゃん (文春文庫)

 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』ハードカバー版でもいいけれど、ここはこのキュートな恋愛小説で。個人的には桜庭一樹の作品のなかでこれがいちばん好きだったりします。

・森岡浩之『星界の紋章』

星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)

星界の紋章〈1〉帝国の王女 (ハヤカワ文庫JA)

 90年代、「冬の時代」といわれたSF業界でヒットしたシリーズ。続編は未完。こうなるくらいならいっそ全三巻で完結させておけば傑作とした名がのこったような気がしなくもない。

・橋本紡『半分の月がのぼる空』

半分の月がのぼる空〈上〉

半分の月がのぼる空〈上〉

 同名のライトノベルを全面改稿したハードカバー長編。一読してみるとライトノベル版とは印象が全く違います。そして小説技術的には圧倒的に進歩している。まあ、傑作。

・時雨沢恵一『お茶が運ばれてくるまでに』

 詩というか掌編小説というか、まあ、そういうもの。ぼくは『キノの旅』のシリーズをほとんど読んでいないんだけれど、これを読んでみたらでたらめにうまいので驚いたのであった。

・幾原邦彦『シェルブリット』

シェルブリット (2)

シェルブリット (2)

 『少女革命ウテナ』の幾原邦彦と『ファイブスター物語』の永野護が組んだ二冊の長編小説。いまとなっては憶えているひとも少ないかもしれませんが、ぼくは大好きです。はい。

・山本弘『地球移動作戦』

地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)

地球移動作戦 (上) (ハヤカワ文庫JA)

 長編ハードSFでわりと傑作。ほとんどあらゆる意味でライトノベルではないけれど、主人公たちは山本さんがライトノベル時代に書いていた作品のキャラクターたちと同名同人格です。つまり手塚のスターシステム。


・古橋秀之『ブラックロッド』

ブラックロッド

ブラックロッド

 暗黒と背徳の都市ケイオスヘキサを舞台にした長編。『Fate/Zero』にも比肩し、あるいは上回るダークファンタジーの大傑作。いわゆるライトノベルのなかで個人的にはベスト。

・高畑京一郎『タイム・リープ』

 日本の時間SFの歴史に燦然と輝く傑作。上の『ブラックロッド』と同じく電撃文庫でも出ているので「いわゆるライトノベル」といえなくもないが、まあ、ハードカバー版も出ているのでここにいれてもいいでしょう。

・岩本隆雄『星虫シリーズ』

 昔、新潮文庫から出ていたシリーズ。ジュヴナイルSFの雰囲気を濃厚にただよわせる「いい話」です。でも最近のディープなライトノベルのファンには物足りないかもなあ。

・菅浩江『そばかすのフィギュア』

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)

 『メルサスの少年』にしようかとも思いましたが、Amazonに表紙絵がないので、こっちで。菅浩江がその昔ライトノベル作家だったということも、だんだん忘れられていくのでしょうね。

・笹本祐一『星のパイロット』

 ハードSFの佳作。考証的には色々ツッコミどころがあるらしいが、まあ、そこはどうでもいい。個人的には非常におもしろかったです。マリオとスーの天才カップルが萌え。

・村山由佳『おいしいコーヒーのいれ方』

おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)

おいしいコーヒーのいれ方 (1) キスまでの距離 (集英社文庫)

 いまや直木賞作家となってエロエロ情念系の作品を発表している村山由佳が出し続けている恋愛小説シリーズ。ここだけの話、キスしてからセックスするまで十巻かかっています。

・池上永一『シャングリ・ラ』

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

シャングリ・ラ 上 (角川文庫)

 『テンペスト』の作家の、荒唐無稽を極めるSF巨編。いやあ、おもしろい! およそ設定の面白さという意味ではこれに比肩するものはめったにないのでは、というくらいの作品。

・菊地秀行『吸血鬼ハンター』

 一万年後の世界を舞台に吸血鬼「貴族」と、かれらを狩る美貌の「ハンター」Dの孤独な戦いを描く。最初の十作くらいは文句なしの面白さなので、とにかく読むべし。

・栗本薫『グイン・サーガ』

豹頭の仮面―グイン・サーガ(1) (ハヤカワ文庫JA)

豹頭の仮面―グイン・サーガ(1) (ハヤカワ文庫JA)

 故栗本薫の傑作ヒロイック・ファンタジーシリーズ。最初の三十巻は神が書いたように面白いです。そのあとは好きなひとだけ読み続ければいいかな、という気も。いや、面白いのですが、面白さの質がわかりづらくなっている。

・新井素子『二分割幽霊綺譚』

二分割幽霊綺譚

二分割幽霊綺譚

 新井素子からどれを選ぼうか迷いましたが、これにしました。よくもまあこういうわけのわからない話を考えるよな、と。そういえば火浦功を入れるの忘れていたなあ。ま、いっか。

・古川日出男『アラビアの夜の種族』

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

 さすがにこれを入れるのはどうかと思わなくもないが、元ネタは『Wizardly』のノベライズなので、まあ、ライトノベルの親戚といえなくもないかと。もちろん傑作ですです。