このような調査は信頼できない

いじめ、家庭教育に問題…本社世論調査

 まず、

 読売新聞社が11、12日に実施した全国世論調査(面接方式)で、いじめが原因とみられる子どもの自殺が相次ぎ、いじめが大きな問題となっている背景を八つの選択肢の中から選んでもらったところ(複数回答)、「親が社会のルールを教えていない」が65%で最も多かった。

という部分を読んだだけでこの調査が信頼できないことが分かる。
 なぜなら、いじめの背景を八つの選択肢から選択させるという調査方法が妥当ではないからだ。読売新聞はいじめの背景を八つの選択肢だけに限定してしまっている。複数回答であったとしても、それ以外の要因はこの調査結果には反映されない。
 読売新聞はいじめの背景をどうやって分析し、八つの選択肢を導き出したのだろうか。読売新聞のこの調査は、読売新聞の描き出した「いじめ」というのはこんなものだという決めつけのイメージが結果として表れたものであり、本当の要因が何かは全く明らかにできていない。このような調査は、単に親や教員などを批判するための道具として使われるだけであり、いじめの解決に貢献するものではない。
 これは、単に社会学的な視点を欠いているとか、素人だからしかたないというだけで済むようなものではない。マスコミは教育問題を扱う場合、最初からあるイメージを持っていて、そこに現象を当てはめてしまおうとする。いじめの問題に限らず教育の問題は、要因が複雑に絡み合っているものがほとんどだ。まずは、それらを一つ一つ丁寧に見ていかなければ問題は解決に向かわない。