梶ピエールのブログ

はてなダイアリー「梶ピエールの備忘録。」より移行しました。

ルクセンブルグVS.レーニン

国際ローザ・ルクセンブルク学会ウェブサイト開設記念(http://d.hatena.ne.jp/akamac/20090902/1251901228より)

http://neto.blog10.fc2.com/blog-entry-4505.htmlより。

ローザが中国で人気なのは長らくソ連で批判を受けた身であると共に、民族自決を否定していることや、その目指すところが社会民主主義であることと関係あるかと思うが、東京でのシンポも日本人の発表者が二人なのに、5人も発表者を送り込んできたそうな。ローザがポーランドの独立を否定したのは、独立でマジョリティとなった民族は内なるマイノリティを弾圧する側に廻るからということで、後にレーニンと対立したのもレーニンポーランド独立派と通じていたからだという。ユダヤ人であるローザにとって、社会主義の祖国は一つで十分だった様だが、中国が関心を抱いているというローザの民族主義は「中華民族言説」のモデルの一つなのかもしれない。


http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090410より。

曰く、「大ロシア主義的な民族排外主義を強く批判して、少数民族の 「自決権」 を擁護したレーニンに対して、ローザは民族の利害よりもプロレタリアートの利害を優先させるべきだという原則論を主張したわけだが、同時に彼女は、レーニンの言うような 「民族自決権」 は、多数の小民族が狭小な場所にひしめき合っているような地域には現実的に適用不可能であることも指摘している」。

また、局地的には「多数の小民族が狭小な場所にひしめき合っている」にしても、同じ民族が色々な場所に分散して、それを合わせれば大民族になるという場合、「民族自決」はさらに悲惨な結果をもたらした。ナチスチェコポーランドへの侵略は、「民族自決」原則の下に独逸系住民を保護するという口実で行われた。シオニズムは、世界中に分散しているユダヤ人が1箇所に集まって国を作ろうということで、そのとばっちりを受けたのがパレスティナ人だということになる。また、「民族自決」が(19世紀とは違ったかたちでの)殖民地主義を産み出したということもある。例えば、米国のフィリピン支配は、まだ幼い弟がちゃんと「民族自決」できるように兄貴として支援するという名目で行われた。


「はだかのマルクス主義者」松尾匡氏のサイトより。

20世紀に入って帝国主義の時代が始まると、マルクス主義陣営内ではこの新たな状況を反映して、バウアーやルクセンブルクが上記第1の論点の延長線上に、レーニンが上記第2の論点の延長線上に民族理論を展開し、論争を繰り広げることになった。資本主義のもたらす生産力の発展の結果、社会的総労働のまとまりは国民経済の枠組みを超え、いまや大征服国家の領域にまで拡大した。バウアー・ルクセンブルクはこれをふまえ、大征服国家を解体することは資本主義のもたらした生産力を後退させるがゆえに、社会主義的方向からの逆行になるとして、民族自決に反対する論陣を張った。そして、政治的経済的同化の後にも残る民族の文化的その他の差異については、社会主義においても開花すべき個性と考えて、民族自治を主張した。それに対してレーニンは、民族自決権を、マルクス主義陣営でははじめてひとつの権利にまで高めて擁護する一方、民族自治論に対しては、民族主義への譲歩であり日和見主義であるとして激しく反対した。つまりレーニンの主張を一言で言えば、「独立か、さもなくば同化か」ということになる。


塩川伸明民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)』より(63-64ページ)。

オーストリア社会民主党の1899年のブリュン綱領は、オーストリアの民主的他民族連邦国家への天下を目標として掲げた。その前提には、属地主義に基づいた民族別地域の自治という発送があったが、諸民族の混在する地域ではこれだけでは問題に解決にならないことから、地域自治属地主義)と属人主義の組み合わせという考えがオットー・バウアーらによって提起された。属人主義とは、少数民族が地域を越えて形成する公法団体に学校運営などを委ねるという考えであり、「文化的自治論」とも呼ばれる。

レーニン及びスターリンがブンドへの対抗という観点から領土的民族自決論を特に強調したことはよく知られている。もっとも、この論争における対抗は、当事者たちの党派的論争の過熱のせいもあって、実質以上に過大評価されているところがある。オーストリアマルクス主義のうちバウアーは地域自治と文化自治を組み合わせる主張をしていたし、後のソ連も文化的自治の要素を全面的に排除したわけではないから、両者の開きは通常思われているほど大きかったわけではない。(中略)指導的な政治家・理論家の言説と、彼らに象徴される国の現実の政策とは必ずしも全面的に対応するわけではないということも押さえておく必要がある。

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