ウルトラマラソン/ゼオン鉄人会/マレーシア編

 マレーシアでのマラソンと旅の日々を記しています。

2010-04-25 第12回 奥熊野いだ天ウルトラマラソン

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第12回 奥熊野いだ天ウルトラマラソンに出走してきました。タフなコースでした。

大会詳細は以下のリンクよりどうぞ(たぶん貼っても問題ないかと)。

http://okukumano.com/

毎年この時期は「チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン」にゼオン鉄人会の面々と出走していたのですが、一つには新しい大会に出てみたいこと(裏返せば、富士五湖ウルトラに飽きてしまったこと)、それともう一つ、交流のあるウルトラランナー kakokiさんのHPにあったこの大会への参加レポートも大いにワタシの興味をひいてくれました。要約すると「どこを走っているのかわからない、とにかく不思議な大会」だそうで、そんな大会に一度出てみたいと思って走ったわけですが、走った後の感想としては、「kakokiさんの表現は全くもって適切」でした。

レース前日の朝にマレーシアから関空に夜行便で帰国。やはりよく眠れませんでした。家族の実家に一度寄って出張荷物とマラソン荷物を交換、シャワーを浴びて食事して少し仮眠してから出発。和歌山から特急で遠路2時間半、風光明媚な路線で飽きることなく紀伊勝浦駅に到着。しかし駅周辺はほとんど人気がなく、閑散とした街中を徒歩で予約済みのビジネスホテルへ。電車ではなく、関西から自家用車で来ている人が多いのかもしれません。疲れがピークに達しているので前夜祭に出ることなく、近所の銭湯に行っただけですぐ就寝。

当日は午前3時50分頃にホテル前に迎えのバスが到着。そのままスタート地点の那智の滝前へ。そういえば5年ほど前にツーリングで来たなあ、と真っ暗ながらも景色を覚えていた。とにかく寒い。あと30分以上、どうやって時間をつぶせばよいのだろうか。途方に暮れているうちにランナーを乗せた後続のバスがどんどんやってきて現場が混み合う。詳しい説明がバス車内で何もなかったので、何をどうすればよいのかよくわからない。スタッフが懸命にいろんなことを言っているが騒然としていてよくわからない。そのうちどうやら以下のことが把握出来た。「とりあえず受付をすること」「ゴール地点に送る荷物は○○○番のバスに預けること」「途中の着替え地点に送る荷物はトラックの荷台に乗せること」「現場が混んでしまったのでとにかく滝の前に移動すること、その際に事前に郵送されてきた護摩木を持っていくこと」

総じてすごくいい大会だっただけに、スタート地点の混雑具合は残念でした。来年改善されることを願います。

とにかく寒いので本当はスタート直前まで厚着していたかったが、「荷物を預けて石段を下りて滝の前に集合!」と言われたので意を決して上着を脱ぐ。「ただいまの気温は4℃です」そりゃ寒いはずだよ。おまけに日本一の滝から飛んでくるマイナスイオンが肌に染みる。皆さん「完走祈願」の護摩木をくべた火に群がって暖をとっている。早くスタートしたい!

スタート地点はどこかな?と思っていたらどうやらこの滝の目の前らしい。ということはまずこの石段を上って車道に戻るわけで、まさかそうは思っていないランナーが結構石段を上り始めていた。スタッフが慌てて「スタート地点はここです!」と叫んでいる。「一言事前に説明してくれればいいのに...」とここでも思った。

そしてやっとのことでスタート。足元が暗いうえに石段を上るため、とにかくゆっくり歩いた。いきなり3分くらいロスった。道路に出てからやっと走り始めたが見ればいつのまにか一番後ろ。100kmの出走者は事前連絡によれば190名くらい。事前にもらった冊子を見るとほとんどが関西ランナーなので、渡されたゼッケンのコメント欄には「東京から来ました!」と書き込んだ。

この大会の特徴はいくらでも挙げられるのだが、特筆すべきはエイド数が多いこと!延べ31ヶ所。おそらく日本のウルトラマラソンの中で一番エイド数が多いと思う。コース上、2回訪れるエイドもあるのだが、とにかくエイドが多くて単純計算しても約3kmに1ヶ所、ちょっと走ったらすぐまたエイドなので携帯食や飲み物などまったく不要。スタッフが遠くから大声で呼んでくれるので、歩いていて急にエイドが現れるとビックリ&カッコ悪くて走らざるを得ない、という特典もある。

第1エイドの見晴台まで上ると眼下に広い太平洋が見渡せる、感動! 海の見える山中を走るのは気持ちがいい。少しずつ自分のペースまで上げて走る、ランナーが少ないのである程度まで行くと周りがいなくなる。そのうち147番の方と二人でしばらく併走となる。聞けばウルトラ初参加、フルもまだ2回のみとのこと。それなのにこのペースで飄々と走っている。ツワモノなのかウルトラの洗礼をこれから受けるのか。第4エイドからは林道に近い細い山道を下るが結構長い。これが複雑なコースのラストの上りになるとは、この時点では理解していなかった。まだ完治していない足をくじかないように慎重に下っていたら、すぐ頭上を大きな鳥が飛んでいった。見上げたらなんとフクロウだった、目が合った気がした。野生のフクロウなんて初めて見た、また感動!

天気は雲ひとつない快晴だったが気温は低めで走りやすい。山中の日陰はむしろ肌寒い。第6エイドでやっと平地に下りる。ここで豆腐を頂いてまたいいペースで走りだす。順位は「ちょうど20位です」とのこと。いつのまにか結構前の方に来たようだ。147番さんと併走が続いたが後ろから79番:闘魂ランナーさんがやってくる。少しペースが速かったがおしゃべりしながらしばらく併走、聞けばサブ10ランナーで「今回はサブ9を狙ってるけど風邪をひいてしまいました」とのこと。第9エイドの着替え地点まで行く。いつのまにか147番さんが見えなくなって何度か振り返ったのだが、その後会うことはなかった。皆さん着替えにいったが自分はそのまま走り続ける。ここから2時間近く100kmランナーと会うことはなかった。きれいな川沿いの道をひた走る。すこぶる気持ちいい。

とにかくエイドのメニューは豊富だった。水、コーラ、スポーツドリンク、飲み物すべてに氷が入っていた。オレンジ、バナナ、チョコレート、飴、イチゴ(美味しかった!)、梅干し、水羊羹、菓子パン、おにぎり、そうめん、豆腐、茶がゆ(地元名物)、味噌汁。3kmごとにいろいろ飲み食いしていたらすぐにお腹が膨れてきた。これじゃマラソンじゃなくて大食い大会だ...本当は遠慮したいところもあったがどのエイドでも皆さん熱心に勧めて下さるので前半は「来るもの拒まず」で食べ続けた。違う意味で苦しかった。

どのエイドでも結構おしゃべりして時間を費やしたが、第12エイドでは「このあとは長い上り」とのことで、茶がゆを頂いて少しのんびりした。そして、確かにその上りは長かった。意地になって歩かずに走り通したが、長い!あぜ道のような細い道をひたすら上り、歩いているランナーを追い越す。ゼッケンを見ると75kmランナーが多い。頑張って20分ほど歩かずに走り続けたが「もうダメ...」と、このレース初めての歩きを入れた途端にエイドに着いた。ここでも86歳のおばあさんから茶がゆを勧められたが「もう食べられません」と泣く泣くお断りさせていただいた。「おばあちゃん、走るの代わって!」とお願いしたが、周りの皆さんから「頑張れ!」と見送られてまた走りだす。ここで一気に消耗した。第15、第16エイドでまた長い上りが続く。また歩いてしまう。上りのギアを前半戦で使い切ってしまったようだ、うーむ、まずい。やはり無理すると後で応える。

とにかくこの奇々怪々なコースは分岐点が多い。詳しく覚えていないが、第17、18エイド周辺でコースアウトしかけたが、後ろから来たランナーに声を掛けてもらって助かった。ランナーの数は少ないし、分岐点には大きな看板がちゃんとあるが、ぼーっとしているとすぐ道を間違えそうだ。そして第19エイドは第3エイドと同じ場所だった。「あれ?ただいま!」というかんじ。ここから第20エイド(=第12エイド)まで下って、前半の時計廻り部分を逆走していく。ここまで結構順調に来たが、70kmを目前にして急に足にきた、一言でいえばバテた。「参ったな」と第21エイドで座り込んでいたら「やっと追いついた」と闘魂ランナーさんがやって来た。とうとう追いつかれた。しばらく併走させてもらうが、とてもじゃないけどついていけず先に行っていただく。平坦な道にも関わらず、前半なかった向かい風が吹くと走りが止まってしまう。そしてスピードが落ちると懸念していた眠気が襲ってくる。とにかく眠くて頭がぼーっとする。目覚ましにコーヒーが飲みたいが自販機も無いし、そもそもお金が無い。前後に人がいない孤独な状態が続く苦しい魔の時間帯。やっとのことで辿り着いた第22エイドで飲み物ガブ飲み。事前配布された冊子のワタシのコメントを見たスタッフの方より「絶対完走しますよね、だってそう書いてありますもん」と有難いお言葉。こちらは弱り切っており「完歩でもいいですかね...」と返すのがやっと。ノロノロ走り&歩きが続いたがすでに1回走った場所なので少し気持ち的には楽だった。各エイドでひたすらガブ飲み、空腹感は無いので食べ物はパス。被り水は毎回しっかりかけていただく。第25エイドで温かいお茶、コーラ、絞りたてのオレンジジュース×2杯、スポーツドリンクをいただいた。胃がやられる覚悟でガブ飲みしたが、オレンジジュースは目が覚めるほど美味しかった。

前を走る75kmランナーのゼッケン737番さんに追いついて話しかける。彼の背中のゼッケンコメント欄には「ボーイング」と書いてある。シャレを理解したうえで「飛行機のボーイングって737でしたっけ?747なら知ってるけど」と聞いたら「747もありますけど、ちゃんと737もあるんですよ」とのこと。「でも誰もこのコメントの意味を分かってくれません」、だろうねえ、ちょっと高尚でしょ。そういえば他にも面白いコメントのランナーが結構いた。追い抜くたびにコメントを見て、面白い場合はこちらから話しかけた。ゼッケン26番の人は「26才 ではありません」と書いていた。「嫁さん募集」と書いてある人もいた。ある女性は「くるしゅうない。追い抜いてよし」(だったか)、と書いていたので追い抜く際に「くるしゅうございませんか?」と尋ねたら笑っていた。このコメント欄のアイデアはとっても良かったと思います。

第27エイドでとうとう力尽きた。ガブ飲みしてパイプ椅子に座りこむ。眠い、ちょっと横になりたい。その間に100kmランナー3名くらいに抜かれてしまった。悔しいけど、歩いてたら追い抜かれるのはしょうがない。と、ふと脇を見るとベッドがある。「急患用かな?」と思っていたらマッサージをしてくれるとのことで、「どうせサブ10も自己ベストも無理だから」と思って5分ほどマッサージをしていただいた。幾分楽になったような気がして再スタート。ここから最後の上りが蜿蜒と続くらしい。斜度はあまり無いので歩き走りをしていたら737番さんに追いついた。「頂上まであと4km」という親切な看板が嬉しい。そのあとも数名のランナーを抜いていたら前方コーナーに2名ほど立っている。「ゼッケンも付けてないし、こんなさびしいところで何だろう」と思っていたら応援のためにここまで上ってきた人たちだった。派手な鳴り物で応援してもらったら本当に元気が出た。おかげで走ったまま第29エイドに到着、ここで上りは完全に終了、後は下りだけらしい。「やった!」と叫ぶ。そして結構きつい下りをスピードを上げて下り始める。気持ちいいぞ!

このコース、だらだら上って、最後は一気に下る。そして平地からまっすぐゴールへ向かう。「奥武蔵ウルトラマラソン」のラストととっても似ている。下りをかっ飛ばせたので先行ランナーを結構追い抜いた。「ファイトです」と一人一人に声をかけたが、半数以上が反応なし。ラストとなる第31エイドで飲み物一口もらって5分/km(のつもり)で走る。と、前方に闘魂ランナーさんを発見、結構距離があったので追いつくかどうかわからなかったが全速力で追う。「あと1km」地点直前で追い越した。「おお!」と驚かれたが、なんとスピードを上げて後ろから追いかけてくる。そしてラスト500mくらいで抜き返される、「は、速い!」そのまま差をつけられてゴールの補陀洛山寺へ。車道を左折すると狭い小道。ゴールテープはお参りふうの格好をした美女2人が握っていた。

ゴールタイム:10時間17分05秒(総合15位)

自己ベストには5秒届かなかった! (記憶違いしてたけど)

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距離5kmラップ10kmラップ累計
0:30:17 0:30:17
10km 0:28:250:58:420:58:42
0:26:46 1:25:28
20km 0:27:410:54:271:53:09
0:24:51 2:18:00
30km 0:28:390:53:302:46:39
0:28:02 3:14:41
40km 0:27:110:55:133:41:52
0:29:24 4:11:16
50km 0:33:481:03:124:45:04
0:30:36 5:15:40
60km 0:30:101:00:465:45:50
0:28:52 6:14:42
70km 0:29:350:58:276:44:17
0:36:28 7:20:45
80km 0:36:021:12:307:56:47
0:43:15 8:40:02
90km 0:38:011:21:169:18:03
0:32:39 9:50:42
100km 0:26:230:59:0210:17:05

ゴール後は闘魂ランナーさんとしばし談笑。飲み物と食べ物をいただいて寛いだ。ゴールしたランナーが一人ずつ演壇に上がってインタビューアーからマイクを借りて喋るいきな計らい。ワタシは「マラソンに来たと思ったら大食い大会でした!」とコメントした。その後、出走者は入浴無料となるJR那智駅隣接の温泉で汗を流し、これまた無料の送迎ワゴンで特急の止まるJR紀伊勝浦駅まで送っていただいた。感想を申し上げれば、至れり尽くせりの気持ちのいい大会でした(最初はどうなることかと思いましたが)。

自分の走りとしてはかなり悔いが残りました。「意地をはらず上りで歩いていれば」「各エイドであんなに止まっていなければ」もしかしたら大目標であるサブ10を達成していたかもしれません。しかし闘魂ランナーさんから「エイドに寄るからこそ、また走りだせるんですよ」と言われて思い直しました。確かに今回は大会を楽しみに来たわけで、そういう意味ではスタッフの皆さんは誰もが非常に温かくもてなして下さり、心底楽しむことが出来ました、その点では目標達成。闘魂ランナーさんよりもう一言「時間の貯金は体の借金。無理すればあとで必ずツケが回ってきます」という言葉も非常に記憶に残りました。無理せずサブ10達成出来るよう、理想としては大会を十分楽しみながらも、かつサブ10達成出来るくらいの実力をつけたいと思います。

とにかく素晴らしい大会でした。今まで出走したウルトラの中でも一番かもしれません。開催場所はかなり遠いですが、「また走りたい」と思わせてくれるものがありました。いつの日かまた必ず参加したいと思います。ありがとうございました。

フッキーフッキー 2010/04/27 22:50 初めて書き込みさせて頂きます。
奥熊野でお会いした故障中のフッキーです。
ブログはジョグノートよりも濃い内容なんですね。
参戦日記しっかり読ませて頂きました。
お会いした後、力強い後姿を見送った時は後半の様子が全く想像できないです。
温泉の前で会った時もスッカリ回復されていたし…(笑)
今回は歩いての参加だったので、次は走って参加したいと思っています!
私は横浜在住なので遠いのがネックです。

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