日本人は全然コミュニケーションできないけど、それは仕方ない

一般的に、日本人はすごくコミュニケーションが下手ですけど、それって国際的に見て情けないことだと思っていました。でも最近、それは文化的な背景による一種の個性みたいなもので、あまり恥じる必要はない気がしてきました。

例として、買い物をするときの店員との会話を海外と日本で比べると、

英語の場合

店員 "Hi. How are you?"
客 "Fine." (A)
清算
客 "Thank you." (B)
店員 "You're welcome. Have a nice day."

日本語の場合

店員 「いらっしゃいませ」
客 「……」 (A')
清算
客 「……」 (B')
店員 「ありがとうございました。またお越しくださいませ」

こうなります。

海外だと、客が(A)と(B)で(店員の目を見ながら)言葉を発するのが当たり前で、沈黙していると確実に変な客だと思われます。向こうの文化では基本的に他者を信用していないので、積極的に言葉を発することで「私は敵じゃないですよ。正当な購買意欲を持った客ですよ」とアピールする必要があります。

これが日本だと、店員も客も互いに警戒心が無いので、客が黙っていても特に不審には思わない。というか、(A')(B')にしっくりはまる日本語がそもそも存在しないです。(B')は「どうも」とか「ありがとう」と言えなくもないけど、大げさで照れ臭いです。もっと気軽に言える言葉があれば良いんだけど、それが無い。(A')に至っては、適切な言葉が全く見つからないです。

それから思うのが、職場での午後の挨拶。昼過ぎに出勤してきても、日本語だと「おはようございます」と言うしかない。「こんにちは」という言葉は職場の緊張感に全然マッチしないから、締まりの良い「おはようございます」で代用するしかないんですよね。

日本人は皆がゆるい連帯感でつながってきたので、改まったコミュニケーションが必要とされず、そのための言葉も発達しなかったんだと思います。

これは文化であって、海外と比べて優れているとか劣っているということはないはずです。だから、日本人はコミュニケーション能力が足りないからといって別に卑屈になったりせずに、堂々と訓練していけば良いんだと思います。