玉城和美の描き絵空間

琳派の元禄文化「かきえ」を令和へ繋ぐ絵師の活動日誌

楽美術館

今春お気に入りの展覧会ご紹介シリーズ、ラストは御所の西側、堀川近くにある楽美術館(075-414-0304)です。6月26日まで春季特別展「楽歴代 長次郎と14人の吉左衛門」を開催しています。
実は、祖母の嫁入り茶道具を父の形見として母からもらったのですが、その中にこぶりの真っ黒な楽茶碗があります。毎年お正月になると「きっとホンモノ」と夢と浪漫を感じながらお茶をたてて愉しんでいました。
造形大を同期卒業した名古屋のGちゃんと老舗の甘味処を求め街歩きにいったとき、地下鉄今出川駅の地図でみつけ、確かめにいきました。
展示品をガラス越しに見つめながら、私たちの推理の源は、烙印と時代背景と姿形です。「もしもホンモノなら11代目さんのものではないか」と落ち着きました。価値観が変わる時代の流れに翻弄され、経営危機を乗り越えるべく土産物の大津絵とコラボして茶店に出すようなお茶碗もつくったり、始祖のフォルムで大量に作って庶民にも販売したりと色々なチャレンジのおかげで450年間絶えることなく現在に至ると知り、京都のモノづくりは伝統や格式だけにとらわれず、常に世の中のニーズに合わせて新しいものを探求し努力してきた結果なのだと改めて感動しました。
最後に、受付にいらっしゃった上品な男性から「予約制で館長さんが鑑定する場もあるけれど、ご自分が信じて愉しまれるのも立派で素晴らしいことだと思います」と素敵な言葉を頂いて帰りました。

掲載画像の著作権は全て(C)玉城和美にあります。 「玉城和美の描き絵空間」は特許庁認可済(商標登録第5483574号)