森の魔獣に花束を
「ねぇ、人間ってみんなこんなにすごいの? それともクレヲがとってもすごいの?」
- 作者: 小木君人,そと
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/04/18
- メディア: 文庫
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まさに、それだけの物語です。そして、それだけの物語に泣いてしまいました。この物語凄いなぁ……。
少し残酷で、とても優しく綺麗な物語だったと思います。磨いて無駄なモノを取り除いた結晶みたいに透き通った感じかな。
一族の後継者争いに巻き込まれて、魔獣が住む森にある青い薔薇を取ってこなくてはならなくなったクレヲが出会った魔獣の少女。
彼女との生活は本当に驚くことばかり。そもそもの切っ掛けが、クレヲは彼女の「餌」として捕獲された事から推して知るべし。
魔獣の彼女が本当に無垢で純粋なんですよね。クレヲからロザリーヌと名前を貰ったときの弾けるような感動・喜び。そして、クレヲを失いたくないと思う気持ち。どれも裏とか駆け引き無い素直なもので、すとんとこちらの胸に響いてくる。シンプルなのに、いやだからこそ、なのかも。
ロザリーヌとクレヲ。二人は誰からも必要とされていない存在でした。けれど二人が出会うことでお互いが不可欠で切り離せない唯一のモノとなって求め合うようになるまでを、二人の生活が丁寧に描かれていたのが良かった。
冒頭に挙げた台詞をロザリーヌから貰ったクレヲの気持ちが、もうね。ここで、涙腺が一回目の決壊。
こうくるのか、と。そこからは完全に物語に惹きこまれてましたね。
そしてラストシーンがとても綺麗で、余韻の残る素敵な話になっていると感じます。
魔獣の少女は少年と出会って愛を知った。
そして、二人は幸せに暮らしたとさ。
僕はこういう話が好きでたまらない。
実は最初書店で見かけたときにスルーしてしまったですが、てりあさんの感想を見て手に取って……。ホント読んで良かったと思います。感謝を。