窯猫通信覚書

絵描き・銅版画で本の挿画等描いている市川曜子の銅版画日記です。

無事退院


ちびっ子の方は、手術を終えて1週間前に退院した。今回もさかいさんとMさんに一緒に来てもらって,車で。
ちびっ子だけど、両足ギブスをしているから、身体がくの字にしか曲がらない。籠には容易に入らなさそうだったので抱いて運ばなくてはならず、本当に助かった。
ギブスに巻かれている包帯もエリザベスカラーもピンク。包帯なんて蛍光ピンクだぞ!でも、ちょっとうんちがついてしまった。
「性格もいいし。おとなしい。」と先生に言われて、ちょっと嬉しい。


だがしかし。連れて帰ったらやはり病院でのようにおとなしくはしてくれない。籠のの準備をしていると,バタンバタンとギブスの足をフリフリ這い回ろうとする。自分で、エリザベスカラーを取ってしまう。あまりに動いたせいか、手術した後のピンの辺りから血がにじんでいた。
とにかく籠に押し込んで,しばらくすると大人しくなった。覗くとか細い声で「アン・・アン・・」と鳴いている。
食欲もおう盛だし,トイレもそんなんで上手く出来ないから、大変だけれど出ないよりはよっぽどいい。
家の子は、おそるおそる覗き込んでは走り去って行く。カラーをしているから顔が大きく思えるのかもしれない。
チャームポイントは,鼻の穴のようにみえるテンテン。

少女漫画顔。

*仔猫の話をしたら同じ年頃の仔猫をもつジョリと古書店のKさんがカンパをしてくれた。この場を借りて御礼します。仔猫はこんな子です。また写真を撮ったら観てねー。


午前中にギイヤンを迎えに行った。
水曜辺りから急に野生化してきて,先生達にも攻撃してくるようになったそうで、本当に申し訳ないことだ。きっと、足が痛くなくなったから元気になったのだろう。
病院のケージを覗き込むと,私の顔を見てもうなり声をあげては叫んでいて完全にノラ化している。
先生にケージから私の持って行った籠に移動させてもらって,ガムテープで入り口を固定して帰ってきた。
病院を出て歩いているうちにうなり声はおさまり、家に近づくと普通の鳴き声になった。家に入って籠から出してやると、いつものギイヤンに戻った。
入院前に剥けていた膝や甲の傷も殆どなくなり,足も普通に歩ける。まるで魔法のようだ。それなのに、先生達に襲いかかろうとするとは,なんというふとどきもの。
ワーワーギーギーと騒ぎながら、ものすごい勢いでご飯を食べる。食べながら喋るのでカリカリのかけらが飛んだり、大はしゃぎをして私の膝に上ってきたり、部屋中をウロウロしたり、窓によじ上って、またご飯を食べて、走ったり。あいかわらずの情緒不安定。家の猫も、ケージの中のチビ猫も眼を丸くして見ている。
そうしてさんざん騒ぎまくった後、おそるおそる縁側に出て行き、騒ぎを聞きつけてやってきたアーニャの顔を舐めてあげてから、一緒に何処かへ行ってしまった。

ギイヤンは室内飼いするしかないか。と思ってトイレを用意したりもしていたのだけれど、先生のおかげで傷もすっかり治ってノラに戻って行ったのだった。