カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの燻る日記

表現規制反対活動を昔していた。元エロマンガ家。元塾講師。現在は田舎で引きこもりに似た何か。

新興宗教ヤスクニ

http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060102#1136210587 の続き。

小泉純一郎と日本の病理 Koizumi's Zombie Politics (光文社ペーパーバックス)

小泉純一郎と日本の病理 Koizumi's Zombie Politics (光文社ペーパーバックス)

 靖国神社は戦後になって国家の保護から離れて、一宗教法人として独立したが、現在では慰霊施設というより、「反平和憲法」の象徴として、戦後の民主主義に反発する集団にとっては、心の故郷と言うべき存在になっている。〔略〕
 靖国神社を政治的に使った人物としては、1978年に第6代宮司になった松平永芳(1915-2005)がいる。彼は松平恒雄駐英大使(1877-1949)の長男であり、海軍機関学校を出て海軍に任官し、戦後になって自衛隊を一佐で退官して、宮司になるとA級戦犯の合祀を独断で密かに実行した。この合祀強行を知って激怒した昭和天皇(1901-1989)は、それ以降は大祭への参拝を中止してしまい、皇室と靖国の関係は険悪になっている。事実、天皇家靖国神社について一切口をつぐんでいる。
 松平宮司東京裁判(1946-1948)を否定する集団の指導者であり、自衛官時代に皇太子(現天皇)の自衛隊視察を申し入れた。だが、それが実現しなかったことを遺憾に思い、クウェーカー教徒のバイニング夫人に皇太子が学んだので、皇室がキリスト教に寛大だと逆恨みしたと伝えられている。だから、『高松宮日記』が発見されたと知って、それを焼却処分するよう高松宮喜久子さんに圧力をかけ、皇太子が英国に留学する話を聞いたときには、渡航に対し文句を言ったことが語り草になっている。
 それはともかくとして話を先に進めると、このA級戦犯の合祀をした1978年の末は、小泉が師事した福田赳夫の政権末期だった。だから、若き日の小泉純一郎がどのようなかたちで、合祀に関与していたかを調べてみるのは、状況証拠として興味あるテーマではないか。小泉の父の純也は岸信介に繋がる翼賛政治家であり、さらに防衛庁長官を歴任した防衛族である。しかも、小泉純一郎が何度も歴任した厚生大臣は、管轄官庁である厚生省の仕事として、旧軍人の遺族年金の取り扱い業務を含んでいる。(241-242p)

 日本の愛国主義者や民族主義者を相手にして、絶大な支援を集めるために役に立つのは、「愛国」と「殉国」を象徴する靖国神社を使うことだ。しかも、小泉純一郎にとって靖国神社参拝に期待する役割は、福田派の正当な後継者を強調することで、同時に愛国者として人気集めをして、政治ショーを盛り上げることだった。
 なぜならば、小泉自身に愛国の気持ちが存在しないことは、アメリカの利益に奉仕することが優先で、日本を叩き売りしている行為がそれを証明している。〔略〕
 小泉以前に首相として靖国神社を参拝したことで、外交問題を起こしたのは国家主義者の中曽根康弘だった。彼は1985年8月15日に公式参拝をしたことで、中国や韓国からの強い抗議の嵐を浴びた。そのため、当時の後藤田正晴官房長官は公式に、「靖国神社A級戦犯を合祀していることもあり、近隣諸国諸国の国民感情を総合的に考慮して、公式参拝は差し控えることにした」と発表している。また、中曽根自身も当時の胡耀邦総書記(1915-1989)に出した手紙で、「靖国参拝は重大な外交問題である」と書き、それ以降は首相の公式参拝が中断することになった。
 だから、小泉首相や閣僚たちが国外に向けて、批判が内政干渉であると主張することは、彼らがいかに歴史の重みを知らないかを証明している。
 つまり、公式参拝中止は外国に約束したことであり、それを覆して小泉が参拝を強行したことは、日本が外交政策を転換したのだという、メッセージを送ったことを意味している。
 〔略〕靖国神社は、「延喜式」にある由緒ある産土神社ではなく、一種の軍人の新興宗教といえる存在であり、日本の伝統的な神道の系譜からさえも逸脱している。(239-241p)

新興宗教・靖国については以下も参照されたし。
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20060102#1136190632
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050416#1113677443
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050705#1120592418
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050930#1128029241
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20050705#1120592418
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20051018#1129582150
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20051023#1130004284
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20051102#1130904765
http://d.hatena.ne.jp/kamayan/20051226#1135559388
靖国利権・軍人恩給予算について
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050417から

http://www.soumu.go.jp/jinji/onkyu_qa.htm#q5
総務省の情報によれば、平成17年度における恩給費予算の総額は1兆74億円。財政支出全体の割合としてどのぐらいかを調べてみた。
財政の支出−2割は借金関連! - [よくわかる経済]All About
http://allabout.co.jp/career/economyabc/closeup/CU20020729B/
財政支出をわかりやすく分類してあったのでここから引用。全体は81兆円で社会保障費全体は18兆円。総務省のサイトにあるPDF資料によれば平成14年は1兆2000億円ぐらいだった。
社会保障費の内訳。
http://www.nta.go.jp/category/gakusyu/gakusy/02/04.htm
政府の高校生のための租税教室(http://www.nta.go.jp/category/gakusyu/gakusy/03/k0-0.htm)というページより。ここはさすがにわかりやすい。
これは平成16年度のデータだけど、生活保護費は1兆7489億円、社会福祉費は1兆6339億円、失業対策費は5307億円。このグラフだと、恩給は年金扱いで、社会保険費に入っているんだろうなあ。でも、なんか隠されている印象(笑)。
ちょっとわからなかったのが、恩給をもらっている人の中の軍人の割合。
http://www.soumu.go.jp/jinji/onkyu_qa.htm#q5

[一般文官、旧軍人とそれらの遺族]
  恩給を受けられるのは、共済組合制度に移行する前(昭和34年:国家公務員、昭和31年:公共企業体職員、昭和37年:地方公務員)に公務員(教育職員や警察監獄職員等)を退職した人やその遺族、それに旧軍人やその遺族です。

となっていて、全員が軍人という訳ではないらしいので。

戦中に消防団なんかに入っていた家庭にも一種の「口止め料」として軍恩給付金は支払われています。
年間一兆円以上が未だに支払われ続けている、日本予算最大のムダ使い・垂れ流し予算である軍恩給付金についての資料は以下
http://www.mof.go.jp/seifuan17/setumei/h17y_d.pdf

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