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2012-10-04 『おおかみこどもの雪と雨』の微妙さ危うさ

kamayan2012-10-04

[][]『おおかみこどもの雪と雨』の微妙さ危うさ 23:55 『おおかみこどもの雪と雨』の微妙さ危うさを含むブックマーク 『おおかみこどもの雪と雨』の微妙さ危うさのブックマークコメント

『おおかみこどもの雪と雨』がヒットしているらしいね、と嫁が言った。今週で上映が終わるので嫁と見に行った。

見終えた後、別に嫌悪感はなかったが、深みも感じなかった。金返せとも思わなかったがこれ以上金出す気もならなかった。

映像は良い。とくに水の描写が。

「我ながら野暮だなあ、こんなところ気にしなきゃいいのに」と思いながら上映中から気になった点は以下。

1;金に関する事柄を、この映画はごまかしている。一般に良いストーリーというのは肝の部分に大嘘があるものであるから、ここがそこであるのは文学的には普通のことだ。「花」の夫が残した貯金は仕事の内容と期間から考えて500万円程度が限界だろうから、人が生きていくうえで年200万くらいはかかるもので、さらに子供二人を育てるとなったら年300万くらいはかかるものであるから、子供二人が小学校に行くまで無収入というのはありえない。

2;1の派生なのだが、小児科と犬猫病院のどちらに行こうか悩むシーン、このシーンはギャグではあるのだけど、保険の効く小児科と保険の効かない獣医で悩むわけがない。同じ治療内容で獣医なら何倍も金がかかる。

3;田舎の家の補修を映像では「花」一人でなしとげたが、プロがやって数百万かかる仕事だよなあ、とか思ったり。

4;ラスト近く、雨に打たれた「花」は低体温症で死ぬよなあ、とか、それをコンクリの床に移動させてもやはり低体温症で死ぬよなあ、とか。

5;獣人であろうが狼であろうが、保健所の指定する予防接種を受けなきゃ病気にかかるだろ、とか。それもけっこう重病に。

6;自然出産って、トンデモで危険だろ、とか。

7;小学生の「雨」が失踪したら、その後、刑事事件になるだろ、とか。

8;全寮制中学校に入れてそれで子育て終了であるわけないだろ、とか。

見ている間に感心した点は、上記水の描写のほか、姉「雪」と男の子との関係性。「思春期の女の子の描写が良かった」、と俺が嫁に言ったら、嫁は、「うーん、どうかなあ、あれは男の目から見た思春期の女の子だから」、との返答。ああ、そうなのか。あの「雪」の行動は実は少女の仮面をつけた男の思春期なのか。

繰り返すけど、この映画に嫌悪感は感じなかった。なので、そこそこヒットしたのは、嫌悪感を感じさせなかったからだろうなあ、そういう描写力を監督が持っているからだよなあ、とは思う。

家に戻って、他の人の感想を検索してみた。「子供を障害児の暗喩だと読んでしまったら」「作者はそうではないと言っている」「狼男を外国人の暗喩だと読んでしまったら」「作者はそう読まないでくれと言っている」まあ監督が描こうとしているのはそういうのではないだろうなあ、とは思うけど、そう読まれても耐える力強さはないよな。逆に監督が伝えたかったものって何なんだろう。その夜は答えが出なかった。

一晩寝て、思った。

この映画で描かれているのは「男の目から見た理想の母親、理想の嫁」だ。

「花」は疲労することもストレス死することも子供をいびることもない、理想の母親だ。

「花」は一人で子育てをして決して文句を言わない、理想の嫁だ。

「男の目から見た、理想のシングルマザー」を描いたのが、『おおかみこどもの雪と雨』だ。

ストーリー後半の「田舎」は、「都会人が考える、『リアルファンタジー』として理想化され漂白された田舎」だ。

「田舎」というファンタジー空間を舞台に、「理想のシングルマザー」というファンタジーの主人公が、「理想の育児(ただしかなり閉鎖的)」を行うというのがこのストーリーだ。メタ視するとかなりトホホな内容。それを嫌悪感を感じさせずに描写しているのは才能だ。「理想化され漂白された『リアルファンタジー』としての田舎」はけっこう説得力ある描写がなされている。その描写力で何を語っているかというと、さて何を語っているんだろうなあ、という雰囲気系だけど。

微妙な才能だよなあ。危ういよなあ。断崖絶壁のギリギリを渡っていることに本人はあまり気づかないでスイスイ渡っている類の才能で。ムカデがどう自分が歩いているのか意識しない間は歩いていられるのと同じ意味で、自覚しない間は視聴者とファンを増やせるとかそういうタイプの才能かなあ。

悪く言っているつもりはないのだけど、自省的論理的な監督ではないんだろうね。論理的な監督でないのなら、監督業は長く続けられないかもしれないね。自省したら潰れてしまいそうに思うしなあ。

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画像は http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=30422174 から、戦国武将 大谷吉継

   555 555 2012/10/05 00:46 『おおかみこどもの雨と雪』について言うとKAMAYANさんとほぼ同感。何故なら細田守監督は
 社会派の描き方をする事がないので、宮崎駿に近付けても彼を超える事はありえないと思う。
  だからこそ、この作品の始めに「おとぎ話のような…」のナレーションを入れたのだろう。
   ちなみに私は映画館のアンケートに答えた時の招待券を二枚ともつかって堪能させていただいた。

劇場版『魔法少女まどか☆マギカ』の初日の座席取りに行ってきた。この日は仕事でアフター5に。
 上映期間がどのくらいになるのか気になり、たずねたら「当分の間上映します」と回答。
  一安心で10月21日(日)を予定した友人たちに話すと「先日観たタイバニの5倍は面白いと思われる作品が
   わずか2週間で上映終了になるとは考えらにくい」「もしものときは、その時考えよう」。
    ちなみに「始まりの物語が」10月21日(日)で、「永遠の物語」が11月の4日or11日(日)の予定でいる。

   555 555 2012/10/05 00:56 言い忘れたけど私の場合、姉「雪」の男の子との関係性が弟「雨」の成長性と絡めて見ると
 少女漫画の感覚地理や事実の文脈と違いがありすぎて、ここにも監督の理想化された空想があるのだと感じられた。

     555     555 2012/10/06 18:05 先日の東京新聞で復興予算についての追求記事があったが、本日のしんぶん赤旗では『復興予算で空自訓練』の記事が掲載されていた。