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2018-03-08 『日本軍兵士』と2つのマンガ

『日本軍兵士』と2つのマンガ


日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 (中公新書) 『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』(中公新書)を書いた吉田裕一橋大学教授)が、「前衛2018年4月号で同著について語っている。

吉田裕『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』 - 紙屋研究所 吉田裕『日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実』 - 紙屋研究所


 その中に、マンガへの言及が2ヶ所ある。

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─ 4 (ヤングアニマルコミックス) 一つは、武田一義『ペリリュー 楽園ゲルニカ――』(白泉社)である。

……武田一義さんという漫画家が描いた『ペリリュー 楽園ゲルニカ――』(白泉社)がヒットしています。二月末に四巻が発売されるとのことですが、私も面白く読みました。……

 この作品は、平塚征緒さんが協力されています。たしかに読んでいると、平塚さんがいろいろ指導されているのがわかります。平塚さんは、一九三七年生まれのベテランの戦史研究者で、『知られざる証言者たち 兵士の告白』(新人物往来社)など貴重なお仕事をされています。『ペリリュー 楽園ゲルニカ――』は戦争体験世代と、完全戦後世代のコラボのような作品になっているのです。それが内容がしっかりしていることの理由の一つだと思います。

 いまでは、学校で歴史を教える教員も当然ながら戦後世代です。そのために戦場の基礎的な事実を知らない人が多くなっています。学生と話していても、私からすれば「えっ?」と思ってしまうときがあります。そういう意味で、基礎的な事実をしっかり明らかにする本をつくって、若い世代につないでいきたいと思ったのです。(吉田・「前衛」p.221)

 吉田が武田の同作に注目したのは、井上和彦日本軍礼賛本の粗末さに呆れ、戦争における「無残な死」をリアルに伝えたいという考えと、若い世代にどうやったら届くのかという問題意識ミックスされたためのようだ。ゆえにベテランの研究者とのコラボに注目しているのである。

 上記の引用箇所には書いていないけども、『ペリリュー』の頭身サイズに見られるような「非リアル」と戦場のリアルについても吉田は言及していて、なかなか的確な注目をしているなと思った。


 吉田は別の箇所で、

全体として、若者を意識し身近な問題から戦争をとらえ直すというアプローチをとりました。(同前p.228)

あるいは、

若い人に届く言葉をどのように自分自身で磨くのかということをかなり重視しました。(同前p.230)


と述べているように、若い世代にどう伝えるかということを強い問題意識としている。


この世界の片隅に コミック (上)(中)(下)セット そして、その角度から、もう一つ、マンガへの言及を行なっている。

 それが、こうの史代この世界の片隅に』(双葉社)である。

ここでは、「この世界の片隅に」など漫画家こうの史代さんの作品が、生活の細部にこだわりながら、戦争の悲劇を描くというところに影響を受けたと思います。アニメ映画のほうを学生といっしょに見て、その後解説したのですが、みんな考えさせられるところが多かったようで、ああいう身近な日常から描くということをやってみる必要があると思いました。(吉田p.229)

 「生活の細部」というのを「身体への注目」ということに置き換えて、吉田は『日本軍兵士』の中で詳しく書いている。装備の重さ、装備の劣悪さ、そこからくる身体への負担、例えば水虫、例えば歯の状態の悪さ、などである。

 戦争の史実継承という問題意識、特に若い世代への継承というポイントはこのインタビューで強烈に伝わってきた。しかし、『日本軍兵士』がそのままそれを果たしているかどうかはよく考えねばなるまい。むしろ『日本軍兵士』を素材にして新たなマンガが必要になるだろう。


 「身体」ではないが「食事」という点では、日露戦争を描いた清澄炯一・軍事法規研究会『めしあげ!! 〜明治陸軍糧食物語』(KADOKAWA)は、吉田の問題意識に近い。ただし、中身は吉田の訴えたいようなものになっているかどうかはまた別であるが。

めしあげ!! 〜明治陸軍糧食物語〜(2) (角川コミックス・エース)

あ 2018/03/09 00:22 草の根の平和運動の側面を「社会をどう変えるか」という見地から吉田裕という教授には詳細にレポートしてほしいですね。戦争のえげつない事実とか肌感覚とかも歴史の事実としては、確かに重要でしょうが、それ以上にどんな社会であっても「社会をどう変えるか」という見地から草の根で運動してきた人民たちの真実が決定的だと思いますよ。合わせて、そういう草の根の人民の平和運動と学者・知識人たちの思想と理論がどのように結合し、どのような関係にあったのか?さらには、現代の日本での学者・知識人と平和運動のみならず人民の運動との関係はどうなっているのか?

こういう現時点の現状なんて、生きている学者・知識人、現役の人がたくさんいるんだから、マンガでも新書でもレポートし活写してはどうか、と。

えげつない戦争の草の根のレポートをこれでもかこれでもかと叩きつけるというのは、ま、窮乏化論、平均利潤の一般的低下法則が激化して「さあ、どうなんだ」と客観的な情勢を突き付けても、「ほんで?ほんでどうする?どう変える?」という革命論、革命には結合しないというのが科学的であると思うのです。

むしろ、こういう歴史学者には、日本政府の戦争責任を裁判所や行政に認めさせて、被害者である国民、遺族をどう救済するかという実践的な見地で、歴史の事実を探索し、掘り起こし、戦争被害者が存命中に、裁判などで戦争責任を明確に立証する歴史の事実をコンプリートしてほしい、と。

あ 2018/03/10 20:58 歴史学の大学教授が、若者へ向けて書物を書いたり、講義をしたりするんだし、右翼の雑誌とか著作の一つ一つを取り上げながら、その事実認定の資料について、解説していけばいいのではないでしょうか。荒唐無稽、出鱈目を言うだけなら歴史学の教授じゃなくてもできますし、歴史学の教授なら、なぜ、荒唐無稽か?では、正しい資料は何か?なぜ、正しいか?など一つ一つの歴史の事実認定の基礎になる資料について、右翼雑誌とか書物を挙げながら批判的に検討し、その検討過程、思考過程などを詳細に若者にわかるように解説していけばいいのではないでしょうか。

そのこと自体が、右翼雑誌などのイデオロギーを歴史学で正す具体的な方法論の過程を実践的に教えることになると思います。

「前衛」の著者へのインタビューの答えを見て、そう思いました。それが足りていないな、と。

あ 2018/03/10 21:38 ちなみに、南京大虐殺があったかなかったか、沖縄集団自決があったかなかったか、従軍慰安婦があったかなかったか、731部隊があったかなかったか、など事実のあるなしが問題となっている場合は、学校の検定教科書、準拠の用語集、歴史の辞典などで掲載しているかしていないかで判断しています。わたくしは。

なぜなら、右翼の人々がごちゃごちゃ言っても、そういう事実があったかなかったかは、歴史の専門家が決めるわけだからです。検定教科書、準拠の用語集、歴史の辞典などは、歴史の専門家が責任監修して事実認定したものだからです。右翼の歴史専門家が一人二人で単行本やら雑誌で騒いで、右翼の若者とかがスピーカーになって拡大して、ボリュームをあげてプロパガンダしたところで、事実があったかなかったは、検定教科書、準拠の用語集、歴史の辞典などに掲載しているかいないかで終わりだと思います。

問題は、右翼の若者たちが、なぜ、事実と断定できるんだ、検定教科書などがと言ってくれば、歴史の専門家集団が決定したから、と答えますが、納得しないでしょうね。普通は。納得など必要ないとは思いますが、事実は事実なんで。

しかし、そういう右翼の若者へ向けては、先にコメントしたようなきちんとした歴史学者とかその集団による資料批判というか、資料の精査に関しての検証過程、思考過程などを右翼雑誌とか単行本を一つ一つあげて、ていねいに解説したマンガなり、新書があればいいじゃないか、と。

それを書けるのは、やっぱり、歴史の専門家、大学教授とかだろう、と。

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