まほろば(新国立劇場小劇場) 再見

昨日、7月21日(月・祝)に、新国立劇場小劇場で、「まほろば」(作:蓬莱竜太、演出:栗山民也)を見た。

先週、14日の初日(http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20080715/p2)以来の再見。

この21日が、千秋楽。午後1時開演。


初日は3列目で、楽日は4列目の座席だった。ともに前方の座席なのだが、間に通路がある分、舞台との距離感には思った以上の差があった。


最初のところで、黒沢ともよちゃんのマオが、ポーニョポーニョポニョ・・・とうたっていた。初日は、ポニョポニョいってなかったのに。


PARCO劇場の「SISTERS」を見たあとだったので、セリフとして発せられた「ミドリ」という役名にギョッと反応してしまった。そして、この「まほろば」でもミドリ(秋山菜津子)が妊娠していて、「SISTERS」でも美鳥(=みどり)が妊娠しているのだと、役名をきっかけにふたつの芝居をなんとなく比較することになった。

まほろば」では、代々続く田舎の旧家を舞台に、「産む」という女性性が喜劇調に、しかし肯定的に扱われ、世代の継続が示唆される。「SISTERS」では、ホテルというかりそめの空間で、ねじれた親子関係に産んではならない禁忌の子が宿っている。演劇的なカタルシスは、結末が相対死にで昇華される後者のほうに絶大だ。

まほろば」で演じられる世界は、表面的なセリフ劇の面白さの裏に、いかにも日本らしい善良な旧弊の揺るぎなさが横たわっていて、それを意識すると、見終わったあとの気分は少しく厄介だ。