ちっぽけなタイヨウ (d-倉庫)


11月14日(金)に、日暮里のd-倉庫で、

陽なたpresents「ちっぽけなタイヨウ」

を見た。

過去ログのこの(→http://d.hatena.ne.jp/kamuro/20140816/p3)公演。

午後1時開演。上演時間は、80分。

この回の出演は、松村曜生(男)、坂口湧久(男の息子)、鈴木知憲(少年)、磯貝レイナ(男の妻)、吉川恭子(少年の母親)、一谷伸江(男の義母)、金子大介(死神2)、岡幸二郎(死神1)


カンフェティ席(割引チケット)だったが、自由席なので、ふつうに最前列に座れた。所見の回は少し空席もあった。

d-倉庫へは、はじめて行った。JRの駅から、スマホで地図を見ながら歩いた。途中には、日暮里繊維街というのがあって、生地屋などが軒を並べている。

会場は、外階段を上がった2階が入口、ロビーになっていて、そこからまた降りて、客席と舞台は1階にある、というつくりのようだ。キャパシティからするとロビーのスペースがけっこうあるし、客席は階段状になっているから、後方からでも見やすそうだった。

座席の様子は、この(吉川恭子さんの)ブログに出ている写真を見ると分かりやすい。
http://ameblo.jp/kiyoko2529/entry-11953552982.html


交通事故で妻と息子(これが坂口湧久くん)を亡くした男=「おじさん」は、絶望して死にたがっているのだけれど、その都度、「死神」に追い返されている。扱いに困った死神は、この死にたがりのおじさんを、もうすぐ死ぬ運命にある少年(こっちが鈴木知憲くんね)と出会わせることにする。

母親とふたり暮らしで、学校ではいじめられている少年が、おじさんとの交流のなかで変わって行き、おじさんのほうも生きる意欲を取り戻して・・・・みたいな話かな?と思って見ていたら、そういうありがちなことにはならなかった。おじさんの死ぬ気はなくなったものの、少年は死んでしまって、結局、最初から決まっていたとおりで、運命が変わることはない。この舞台の死神さんは、生死を操作してはくれないのだ。苦い終わり方だし、ミュージカルにしては割りと淡々と進んで行くが、昨今よくある予定調和で感動の押し売りみたいなステージとは、ひと味ちがう余韻があった。

何よりも、おじさんが、少年にも少年の母にも、自分の身の上を語らないのが、よかった。抑制が効いている、と思った。少年の心情もまた直裁には表現されない。少年とおじさんのやりとりはユーモラスでもあるのだが、だからこそ、死という結末を知ったときに、あの少年の言動の裏側にあった真実(気持ち)を想像しないわけにはいかない。この作品での少年のえがかれ方は、ある意味とてもリアルで、深いものがある。

妻、息子との回想シーンの入れ方や、息子と少年の共演場面も、演劇らしさがあって効果的だった。鈴木知憲くんと坂口湧久くんは、同じ役で交互出演することが多かったから、共演そのものが新鮮でもあったし。キャッチボールって、けっこうおもしろいシーンを創れるものだね。

9月の「PERSONA3 the Weird Masquerade 〜群青の迷宮〜」のときもそうだったが、鈴木知憲くんはまだ変声期ではないみたい。