初春花形歌舞伎 石川五右衛門(新橋演舞場)


1月14日(水)は、新橋演舞場 初春花形歌舞伎を見た。

新春の新橋演舞場は、昼・夜同演目で、市川海老蔵の「石川五右衛門」である。

昼の部で、11時30分開演。

4幕仕立てで、序幕と二幕の間に5分、二幕のあとに35分の幕間、三幕と大詰の間にも5分と、トータル45分の休憩を含めて、上演時間は、3時間30分。

前・後半の幕切れで、「絶景かな、絶景かな」の山門が2度出る他、すっぽんを含めた迫りが多用されている。あっという間に大海原の船上シーンに変わる転換の鮮やかさや、石川五右衛門が空から登場する宙乗り、のたうつ悪龍を退治し、舞台を回しながらの海老蔵獅童の一騎討ち、龍踊りでの役者たちの客席下りなど、見せ場の多さとテンポのよさ、そして適度な笑わせどころもあって、娯楽劇としておもしろい。

前半は、大泥棒の石川五右衛門豊臣秀吉の愛妾・茶々を寝取って子まで成すが、じつは五右衛門は秀吉の落とし胤で、茶々に宿った子は秀吉にとっては孫なのだと判明。ところが、無事に生まれた鶴松は殺され、茶々はその美貌を聞きつけた暴君・ワンハンの手によって、大陸へと攫われてしまう。後半は、五右衛門が中国大陸へと渡り、義兄弟の契りを結んだヌルハチは落命するが、ワンハンを倒して茶々を救い出した五右衛門が皇帝になっちゃうという、奇想天外なストーリーである。

筋立てを深読みするといいことはなさそうだし、劇画の原作を手掛けるひとが原案を担っているから、荒唐無稽な冒険活劇として、鷹揚に楽しむのが心得なのかも知れないが、このご時世に、どんなに鈍感になろうとしても、単純に楽しむにはいささかキナ臭い内容を含んでいるといわざるを得ない。石川五右衛門は、もとから歌舞伎では大明国の臣の子という設定になっていて、大陸にもゆかりがあるとはいえ、今回は秀吉と親子になっていて、果ては秀吉までもが大陸へ乗り込んで行くとなると、さてさて・・・。これをいま上演するということに、たとえば、歌舞伎というジャンルの懐の深さ、幅の広さを見るべきなのだろうか。

女将軍櫻嵐女(笑三郎)の襲撃に遭い、海中に消えた五右衛門(海老蔵)を、その後、ヌルハチ(九團次)が釣り上げるところがおもしろい。すっぽんから五右衛門が釣れるまでに、なかなか気を持たせるのだ。

福太郎くんの「女武将 梅陽」は、子役ではなくて大人の役(ABKAIの「SOU〜創〜」でも大人の役で女形を演っていたが、今回もしかり)。女武将とあって、立ち回りもある。2009年8月の「石川五右衛門」には子役で出ていたが、今回の舞台は子役は登場せず、2009年の「石川五右衛門」から秀吉、お茶々との関係に絞った部分が前半に置かれている。

14日には、すでに舞台写真が販売されていたが、福太郎くんのは見当たらなかった。