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十七段雑記 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2012.2.10 (Fri)

[]渡島健康 『魔王様げ〜む! 2回戦』 メガミ文庫 22:08 渡島健康 『魔王様げ〜む! 2回戦』 (メガミ文庫)を含むブックマーク

魔王様げーむ!2回戦 (メガミ文庫)

魔王様げーむ!2回戦 (メガミ文庫)

涙交じりに俺への嫉妬の眼差しを向けるキャンベル。

おいおい俺は違うぞ。元男なんだから。……って、そういえばキャンベルも元男だったっけ。んでジェナスさんは女のコ……でもやっぱり元男……あれっ? 何なんだこれは一体……?

みんな元男の三角関係? 秘密の花園に咲いているのは、百合か? 薔薇か?

Amazon.co.jp: 魔王様げーむ!2回戦 (メガミ文庫): 渡島 健康, 濱元 隆輔: 本

魔王ディンゴの返り討ちによって,女の子になってしまった元勇者レイモンドことメイドのレモン.ご奉仕の日々は続く.

第 1 回メガミノベル大賞銀賞受賞作の続編.肉体が女性化しただけなのなら「男の娘」(帯より)とは言わないんではないかしら.肉体の変化(男→女)が精神(男のまま)にもたらす影響をもうちと仔細に書いてくれれば良かったと思う.続きで書くつもりだったのかもしれないけど,すごく中途半端なんだよなー.ほかはまあ他愛無い感じで,仲良くケンカしなー,ってなまったり風味でした.

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2012.2.9 (Thu)

[]大泉貴ランジーン×コード tale.4 パラダイス・ロスト 1st』 (このライトノベルがすごい!文庫) 21:02 大泉貴 『ランジーン×コード tale.4 パラダイス・ロスト 1st』 (このライトノベルがすごい!文庫)を含むブックマーク

『そもそも日本に限らず世界中の、あるいは有史以来のあらゆる共同体において、構成員は皆、同じ人間であるという大前提が存在していました。

ファンタジーや SF のなかでしたら、人間以外の異種族の共生というものは幾度も描かれてきましたら、現実の問題として司法や政治の場で検討されたことは一度としてないのです。歴史上初めて、人間が異なる種族と隣同士で生きる世界に立ち会うことになった現在においても』

『それはつまり……』キャスターが慎重に言葉を選びながら問いかけた。『コトモノは、私たちの社会が想定していなかった異種族、つまり同じ人間からは外れた存在、ということでしょうか?』

Amazon.co.jp: ランジーン×コード tale.4 パラダイス・ロスト 1st (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫 お 1-5): 大泉 貴, しばの 番茶: 本

帰国したロゴの母親,武藤凛子は,コトモノだけが暮らす楽園をつくる“ノアの方舟”プロジェクトを発表する.コトモノによる事件が頻発していたこともあり,この発表に世論は大いに揺らぐ.人間とコトモノの摩擦が日々強くなっていく中,コトモノ反対デモの最中,ついに事件が発生する.

前後編の前編にあたるシリーズ四巻は,人間とコトモノが共存することについて,根本から問いかけている.数十年の時間をかけることで,ぎこちないながらうまくいくようになったはずの共存が実は表面だけのものでしかなく,薄皮一枚はがすとまったく別の姿が隠れていた,というショックや,コトモノと人間が隣り合って暮らしている社会の事情,それぞれの心情といった背景を,非常に真摯に,かつ出来る限りシビアに描き出している.キャラクターの描写も良くて,ひとりで抱え込むことの多い主人公・ロゴを支える大人たちの存在にほっとさせられてしまった.

巻が進むごとに,テーマがだんだんと明確に絞りこまれているのが読んでてすごく心地いいのですよね.前もつぶやいたりしたのだけど,SF としてもライトノベルとしてももっと評価されていい作品だと思うのですよ.

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2012.2.6 (Mon)

[]天原聖海 『翼姫 ─closed summer closed sky─』 講談社BOX 22:20 天原聖海 『翼姫 ─closed summer closed sky─』 (講談社BOX)を含むブックマーク

翼姫 ?closed summer closed sky? (講談社BOX)

翼姫 ?closed summer closed sky? (講談社BOX)

「で、その羽衣伝説の系統の中でもちょっと珍しいものが比良賀町にあるんだね」

促されて馨が本のページをめくる。

「『天津人』──っていうそうなんだけど」

その天津人なる天女は羽衣ではなく、背中に白い翼が生えていたというのである。

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脚を故障し,かつて嘱望されていたバスケットボール選手の夢を絶たれた堤裕司.幼馴染みに誘われて入った民俗学研究会のフィールドワークで,羽の生えた天女伝説と「羽焚き祭」という風習を残す田舎町,静岡県中部の比良賀町を訪れる.その祭りの夜,裕司は天津人の少女,妃沙子に出会う.

ひとの願いを叶える力を持つがゆえに,力を奪われ縛られてきた天津人の少女の伝説.「羽焚き祭」の真実,願いを叶え続けてきた代償…….外箱曰く「講談社BOX史上最恐伝奇ホラー」というものの,それほど怖がらせる意図はなさそう.トラディショナルな舞台設定を,現代風に良い意味ですっきりまとめていると思う.適度におさえたグロ描写しかり,いくつかの悲劇を経ながらもほのかな希望を見せるラストしかり.逆に言うとあっさりしていて少し食い足りないところもあるかなと.キャラクターがちと弱いのは特に気になるところ.バランスの取れた良いホラーだと思うけど,評価は分かれるかもな,という気がしました.

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2012.2.5 (Sun)

[]木立嶺 『次女っ娘たちの空』 講談社BOX 20:56 木立嶺 『次女っ娘たちの空』 (講談社BOX)を含むブックマーク

次女っ娘たちの空 (講談社BOX)

次女っ娘たちの空 (講談社BOX)

「ひとつ訊いていいか?」

「かまわない」

「何で男湯が二つに?」

「この世界は、創世者である私の世界観を反映したものである。人間の世界観は、家族の中で育まれる。温泉宿という、性別が強調される場所で瞑想異常が発生したため、私の抱く家族と相続の観念が反映されたのだと思われる。

二つの男湯は、『長男』と『次男』、より適切な言い方をすれば、『後継者』と『非後継者』を象徴している。世界が元に戻ることは、跡継ぎが決定されることと同義である」

Amazon.co.jp: 次女っ娘たちの空 (講談社BOX): 木立 嶺, しめ子: 本

高校入学の初日.新入生の桐岬透夜は,隣の女子高の同じく新入生・真夜中美朝に捕まり,長男であることを言えないまま,「次女っ娘クラブ」に無理やり入部させられてしまう.

次男次女はステータスだ! 希少価値だ! という第 7 回日本SF新人賞*1佳作受賞者初の長篇小説.基本的には部活ものというか,ハルヒオマージュの色がかなり強いかなあ.各々のキャラクターも似ているんだけど,ストーリーラインもかなり似ている.重要なキーワードを避けようとするあまり,設定がいびつになってしまっている感まである.タイトルにある通り,「次女」がキーだとは思うんだけど,嫡子や後継者がどうとかいう話が後付けにしか見えないのも辛いなぁ.

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2012.2.4 (Sat)

[]ジョン・ハート/東野さやか訳 『アイアン・ハウス』 (ハヤカワ・ミステリ) 22:40 ジョン・ハート/東野さやか訳 『アイアン・ハウス』 (ハヤカワ・ミステリ)を含むブックマーク

マイケルははじかれたように立ちあがった。ここはただの場所なんかじゃない。彼ら兄弟を吐き出した世界の、非常でごつごつした口だ。ジュリアンは壊され、マイケルは……

なにになった?

Amazon.co.jp: アイアン・ハウス (ハヤカワ・ポケット・ミステリ): ジョン ハート, John Hart, 東野 さやか: 本

殺し屋のマイケルは,恋人エレナの妊娠を機に組織を抜けることを決心した.病床にあるボスはマイケルに理解を示したものの,組織の人間たちは彼を許そうとしない.ボスの息子ステヴァンはエレナに,そして孤児院「アイアン・ハウス」で共に育ち,生き別れになっていた弟のジュリアンに刺客を送る.

殺し屋になった兄と,画家になった弟の人生が再び交わるとき.壮絶なクライムミステリ.時間が経って変化する人間もおり,変わらないものごともある.交差する過去と現在の出来事が,恐ろしく執拗に,それでいてスマートに描かれてゆく.完全に引き込まれてしまった.読みやすさもあって,暴力のにおいが漂う物語から目が離せなくなる.素晴らしいエンターテイメントだと思う.気になったのは,たたみかけるようなテンポですっきり収まっていくクライマックス.きれいすぎて逆にすっきりしないというか.作品の価値を損ねるものではないんだけど,そこだけ気になった.いずれにしても,読んで損のない作品だと思います.

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