小河正岳 『ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章』 (電撃文庫)

ウェスタディアの双星―真逆の英雄登場の章 (電撃文庫)

ウェスタディアの双星―真逆の英雄登場の章 (電撃文庫)

賢王亡きあと多くの家臣に見捨てられたウェスタディアの王位に就いたのは 15 歳の少女だった.ある弱小星間国家の没落と新たな出発を描いたスペオペ
今回はキャラクターの顔見せと,国家間の力関係の紹介といった風情.若き女王と外務卿,書記官と軍人の二組のコンビは魅力的.政治,戦闘など全体的に少し都合よく作戦が進みすぎた気もするけど,弱気を助け悪をくじく構図は痛快.エンターテイメントとして悪くない.
それにしても,王が死んだとたん本来の王位継承者だった王子から大臣から軍人まで,国の要職が揃って亡命.あとの舵を執る(押し付けられる)ことになるのはウェスタディアとは本来関係の無い商人.弱小国家とはいえよくこれで国として成り立っていたなあ.ここからの国の建て直しは比較的あっさりと描かれているのだけど,ここはもっと力を入れてほしかった気もする.
印象としては作者の前シリーズ「お留守バンシー」同様,地味だけど手堅いといった感じ.「お留守バンシー」は残念な結末になってしまったけど,スペオペは継続してこそだと思うので,こちらは長期シリーズになるといいね.