日日日 『図書館パラセクト』 (講談社BOX)

図書館パラセクト (講談社BOX)

図書館パラセクト (講談社BOX)

「温めますか?」
コンビニのお仕事はいつも大変。
何が大変って仕事の内容を覚えるのがまず大変。アルバイトだからたいした内容じゃないんだけどほらわたし脳みそが腐っているから。記憶とかシナプスとかそのあたりどうなってるのか自分ではよくわからないのだけど、覚えたことがほんとに呆気なく蒸発して消えていく。
あまりお客がこない辺鄙なコンビニだし、仕事の内容をまとめたファイルをたまに見直したりしてるから深刻な失敗はないけど、脳みそだけじゃなく身体もあちこちアレなので気が抜けない。ゾンビだし。

こんびにぞんび

猫は地球を救う。
この場合、『猫』は『愛』に置き換えられる。
それは、現代の常識。

耳猫少女

もろもろの同人誌と『ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール』(感想)から五篇を収録した短篇集.元がファミ通文庫「詰めこみ教育の弊害と教室の片隅に彼女」以外はへんてこな奇想と,残酷さを前面に出した悲劇が中心.広告や看板をペンキで白く塗りつぶす「妖怪レインコート女」の正体とは,「こなゆきデマゴギー.凹状に中央が崩壊したアパートでは,怨霊にとり憑かれた『家族』が生活を繰り返し再現していた,「青い鳥おちるおちる」.コンビニ店長にゾンビにされてしまったバイト女子高生の悲しい恋愛,「こんびにぞんび」.地球外から訪れた猫そっくりの寄生生命体,耳猫(えいりにゃん).寄生(頭にひっつき頭蓋骨に穴を空けるらしい)と引き換えに圧倒的な多幸感をもたらす生物はどのように世界に平和と愛をもたらしたか,という「耳猫少女」.各短篇のアイデアはいいし,ビジュアル面でもそれぞれに特徴がしっかりあってすごく面白いと思う.アイデアよりも悲劇性をより強く押し出している印象があるので,もう少しアイデアを理屈でこねてくれたほうが良かったなあ.