かじいたかし 『僕の妹は漢字が読める2』 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める2 (HJ文庫)

僕の妹は漢字が読める2 (HJ文庫)

「『おにあか』の頃ならまだしも、現代の正統派文学では、ストーリー性が強いことは大きなマイナスです。ストーリーよりも、大切なのはシチュエーションです。人間性よりキャラクター性です。メッセージ性は読者が自由に感じ取るもので、それがあからさまに出ていちゃ駄目なんです。文章は、これはもう時代が違うとしか言いようがありません」

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『おにあか』の盗難事件によって,23世紀の世界から“正統派文学”の存在が消し去られてしまった.歴史の書き換えを防ぐため,再び21世紀の世界へ舞い戻ったものの手がかりのないイモセ・ギンたちの前に,23世紀の文体で書かれた手紙が届く.
未来の文学を模索する時間SFのシリーズ第二巻.出落ちだのなんだのと言われてたけどちゃんと面白いじゃないか.テンポが良くて楽しいし,よくあるタイプの鈍感な主人公の描き方もなんか説得力がある≒不快でないバカの描き方が上手い.“正統派文学”こと23世紀の文体にもどうやらルールがあるらしいのがわかったのも良かったな.なぜ文体が変化していったか,その違いはどこにあるのか.さらにちょっとだけ引用される38世紀の文学.あれもこれもと,親切に細かく書きすぎではないかと思ったけど,それでもテンポが損なわれてないし.期待以上に良いシリーズっぽいことがわかったので,とりあえず続きをポチりましたよ.