岩沢藍 『キラプリおじさんと幼女先輩』 (電撃文庫)

キラプリおじさんと幼女先輩 (電撃文庫)

キラプリおじさんと幼女先輩 (電撃文庫)

「本当に、心配なんだよ……翔吾のこと。おとといの、あの屋上のあと、あたしも色々考えたんだけど……やっぱりわかんないよ……なんで、高校生で、男の子の翔吾が、女の子がやるゲームに夢中になってるの? ……おかしいよ」

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山口県下関市.この町で高校生の翔吾は女児向けアイドルゲーム「キラプリ」に情熱を燃やしていた.寂れた地方都市ゆえ他にプレイする人間も少なく,常にランキングでトップを走っていた翔吾だったが,ある日とつぜん現れた小学生,千鶴によってトップの座を奪われてしまう.
クラスメイトも幼なじみも顧みず,剣道を捨て女児向けゲームに没頭する高校生と,都会から越してきた少女の出会い.第23回電撃小説大賞銀賞.ストーリーの大枠はそれなりによく見るもの.この手の小説にはよくあることだけど,女児向けゲームを説明するのに,けっこうな地の文を使っていて,これがかなりテンポを損ねている.リアリティレベルがガタガタなのは意図的だろうからまだいい(北九州のひとは怒っていい)として,いちばん気になったのは主人公の情熱の源がいまいちわからないこと.これというポイントもないし,ちとつらいかなあ.