Ximena Sariñana "Mediocre" (2008)


メキシコ旅行で見つけてきたCDの第2弾。予備知識無しのジャケ買いだったのですが、これはなかなかの拾いもの。ヒメナ・サリニャーナという歌手のデビューアルバムです。
彼女は1985年生まれの22歳ながら、映画監督のフェルナンド・サリニャーナを父親に持ち、9歳から女優として活躍してきたキャリアの持ち主。そんな芸歴の長い彼女だからか、一見おとなしそうなジャケット写真とは裏腹に、貫禄のある歌いっぷりで、けだるくジャジーな雰囲気のある曲をたっぷり聴かせてくれます。その豊かな表現力は、とてもこれが22歳の歌手のデビュー盤とは思えないほど。完成度の高いアルバムです。
動画はアルバム1曲目のタイトル曲"Mediocre"です。

myspaceはこちら。
http://www.myspace.com/ximenamusic

Diana Reyes "Insastifecha" (2008)


たいへん長らくのご無沙汰でした。
ブログの更新を停止していた間、実はメキシコへ旅行に行ってました(そんなに長期間ではないですが)。メキシコシティからパレンケ、チチェン・イツァ、カンクンとまわってきたのですが、その途中でふらりと立ち寄ったのが現地のCDショップ。ただ、メキシコの音楽にはあんまり馴染みがないので、どんな歌手がいてどんな曲を歌っているのかなど全然わからない。というわけで、ジャケットだけを頼りに何枚か引き抜いてきた中の一枚が、今回紹介するDiana Reyesのアルバムです。
日本に帰ってから調べたんですが、このDiana Reyes、ドゥランゲンセ(Duranguense)と呼ばれるメキシコ北部発祥の音楽ジャンルの歌手だそうです。
ドゥランゲンセの歌手は、ジャケットをみればわかるとおりテンガロンハットがトレードマーク。楽器はベースギターを使わず、低音部はブラスが担当しています。さらに、スネアドラムを中心としたパーカッションを多用するのが特徴……らしいです。曲を聴いてみると、なるほどぷかぷかと吹き鳴らされる管楽器の音が目立っていて、底抜けににぎやかで脳天気です。いかにもカラッと晴れていて湿度の低いメキシコ北部らしい音楽です。
ただ、あんまり曲ごとの変化がないのでどの曲も同じように聞こえてしまうし、湿り気の全然ないこういう音楽はあんまり日本では受けそうにない気もしますが。
動画はアルバム5曲目の"Me Muero"という曲です。

Adile Yadırgı "Seyr-i Alem" (2005)


Adile Yadırgıは、1977年生まれのトルコのフォークシンガー。経歴はよくわからないんですが、ソロで活動する傍ら、Orient Expressionsというバンドのボーカルも務めているようです。"Seyr-i Alem"は彼女のデビュー・ソロアルバムで、タイトルは「宇宙を見る」といった意味だとか。
このアルバムで歌われているのはトルコの伝統音楽なんですが、エレキギターやシンセを使ったアレンジは、かなり洗練されていて西洋音楽寄り。そこに微妙に音程を揺らしながら延々と伸びていく伝統音楽独特の発声が重なることで、西洋と東洋が入り交じった独特の音楽を創り出しているわけです。中でも1曲目の"Kerkuk Divani"のエキゾチックなかっこよさは絶品です。
いわば、トルコの洗練されたフォークロックといった感じ。なかなか面白いアルバムです。
動画は2曲目の"Ayletme"のビデオクリップ。

http://www.myspace.com/adileyadirgi

Quang Vinh & Bao Thy "Ngoi nha hoa hong" (2008)


世界の女性デュオはそろそろネタ切れなので、今回はベトナムの男女デュオです。人気男性シンガーのQuang Vinh(クアン・ヴィン)が、女性シンガーのBao Thy(バオ・タイ)と組んで出した7曲入りのアルバムです。普段はふたりともソロで活躍している歌手同士なので、たぶんこの組み合わせはこの1枚限りなんでしょう。
聴いてみると、わりと日本の演歌や歌謡曲、香港や台湾あたりの歌謡曲あたりに似たしっとりとしたメロディをスローなテンポで歌い上げた曲が多いんですが、その一方で、R&Bっぽい曲もあったりするのが面白いところ。日本だと演歌は演歌、ポップスはポップスとはっきりわかれてしまっているけれど、東南アジアの音楽を聴いていると、両者が混じり合っているのがたいへん面白く感じられます。そのへんが日本の音楽にはない東南アジア音楽独特の魅力ですね。
アルバム1曲目の"Van Tinh Minh Co Nhau"は、台湾の小鬼 & 卓文萱(ジェニー・チュオ)の「愛的主旋律」という曲のカバー。動画は、アルバムタイトルと同じ"Ngoi nha hoa hong"という曲です。

Pooka "Fools Give Birth To Angels" (2001)


けっこう間が開いてしまいましたが、世界の女性デュオの第3弾。今回はイギリスのグループPookaです。メンバーはシャロン・ルイスとナターシャ・ジョーンズの2人で、プーカというのはアイルランドの伝説に出てくる怖い妖精(という悪鬼)の名前。こうした不吉な妖精の名前を冠しているだけあって、音楽の方も不気味ガーリー・ポップといいたくなるようなダウナー路線です。
"Fools Give Birth To Angels"は、2001年の3rdアルバム。他のアルバムではバンド編成での演奏なんですが、このアルバムだけは全編ストリングスを加えた重厚なアレンジで、クラシカルでグルーミーな独特の世界を作っています。実を言うと、私はバンド編成のほかのアルバムはあんまり好みじゃないのですが、このアルバムだけは気に入って何度も聴いております。
なお、Pookaはこのアルバム発表直後の2002年に解散し、今ではそれぞれソロ活動をしているとか。なんとなく、女性デュオは短命なケースが多いような気がするんですが、やっぱり女性ふたりという編成は安定度が低いんでしょうか。
3rdアルバムの曲で試聴できる作品がないので、動画は2ndアルバム"Spinning"に収められた"Mean girl"。これだけ聴くと普通のロックっぽい感じ。

The Ditty Bops "Summer Rains" (2008)


前回に引き続き世界の女性デュオシリーズその2。アメリカのロス出身の"The Ditty Bops"は、アビー・デウォルド(ギター)とアマンダ・バレット(マンドリンダルシマー)のふたり組で、もちろんふたりとも歌も歌います。フォークやカントリー、ブルースなどなど、アメリカの懐かしいメロディを女の子ふたりでポップに歌うという、きのうの"Alaitz eta Maider"とちょっと似たコンセプトのバンドです。これがなんともかわいくていいんですよ。最近のいちばんのお気に入りのバンドです。公式サイトもレトロでいい雰囲気。
ポップでキュートなサウンドにひょろっとした体つきから、なんとなく体力なさそうに見えていたのだけれど、調べてみるとこのふたり、2006年の5月から9月まで4ヶ月かけて、ロスからNYまでアメリカを自転車で横断しながら40ヶ所でライブをやるという無茶なことをやっているのですね。高知から韓国までマラソンしたソニンよりすごくないか?
まずはツアーの模様の映像から。

動画では車種はよくわからないけど、ツアーのブログをみると、乗っているのはサーリーのクロスチェック。クロモリフレームで丈夫で疲れにくく、ロングライドにはなかなかいい選択なんじゃないかと。
次の動画の曲は、最新のアルバム"Summer Rains"からタイトル曲"Summer Rains"。

http://www.myspace.com/dittybops

Alaitz eta Maider "Alaitz eta Maider" (1997)


アライツ・テレチュアとマイデル・ザバギの女の子ふたり組だからアライツ・エタ・マイデル。アライツとマイデル、というなんというか安易な名前の女性デュオであります。出身はスペインのバスク地方で、全編バスク語で歌ってます。
楽器はアライツがトリキティシャ(アコーディオン)を、マイデルがパンデロア(タンバリン)を演奏。彼女たちの音楽は、バスク地方の伝統音楽をベースに、エレキベースやドラムを加えてポップにしたトリキ・ポップというジャンルなんだそうで、スペインといって思い浮かぶフラメンコやガリシア音楽ともまた全然違った明るく楽しい音楽です。
しかも、トリキティシャの素朴な音色に舌足らずな歌い方も相まって、これが日本のガールズポップを思わせる、実に日本人好みな音楽になっているのです。それでいて演奏の方もしっかりしていて、アライツのトリキティシャの腕前はかなりのものです。
実際、日本の番組のテーマ曲に使われ、日本盤リリース&来日したこともあるようで、日本のWikipediaにも項目があるのには驚き。
"Alaitz eta Maider"は1stアルバムで、動画は3曲目の"Bota bexamela"。Wipipediaの記述によれば、3枚のアルバムを出して2004年に解散したとか。ハッピーでキュートな、素敵な音楽だったので残念。