『チグリスとユーフラテス』(新井素子 集英社文庫)

チグリスとユーフラテス 上 (集英社文庫)チグリスとユーフラテス 下 (集英社文庫)
新井素子の小説を読んだのは実に20年弱ぶり*1、この人は当時と全然変わってないなあ、つってもなんせブランクがあるから昔と今とでは読む側の受け取り方や能力にも差があるだろうけど、文体であるとか物語の構成であるとかいってみれば「新井素子的なもの」は不変だなあ(良かれ悪しかれ)というのがわしが受けた印象。
でもSFとして見た場合、新井素子の小説はどうなんだろう?つーかわしが年喰って妙に疑り深くなったのか意地悪くなったのか知らんが、どうもね、新井素子の描く世界、人間と人間との関係としての世界ではなく、その背景にある設定部分にリアリティがどうしても感じられないのだ。「フィクション」なんだからいいのかなと思わないでもないのだが、んでも一応「サイエンス」っつー枕詞がある*2わけだからねえ。まあ「女の子の独白文」スタイル*3で状況を説明するっていう時点でリアリティが大幅に減殺されるっていう点はあるにしても、例えば宇宙船で航行中になんらかの異常、故障が起こった際、船長の号令でブリッジにいる者全員が問題箇所に駆けつけるなんていう描写*4なんか、まるでギャグマンガの世界のような印象を受けてしまう。「それが新井素子の描くSFだ!」といわれればそれまでなのだが、一般的なSFファンとしてはどう受け取るんだろう?わしはこのジャンルのものをあんまり読まないのでよくわからんのだが、ミステリーの世界ではやたら厳しい目で設定の不備とかを指摘するサイトとかを見たことがあるのでSFでもそうなんだろうか?と思ったわけ*5。いやまあ別にリアリティが感じられないからこの小説がつまらないとかいっているわけではなくて、充分面白い小説だとは思ったよ。
あと、後書きにあるぬいぐるみの命名*6がなぜかツボにはまって大笑いした。

*1:最後に読んだのが確か『グリーンレクイエム』だったかな?

*2:この小説は第20回日本SF大賞を受賞しているそうなので、少なくともジャンルはSFに分類されるんだろう

*3:これって新井素子の一大特徴だよな

*4:下巻p135

*5:そういった「SF的要素」以外にも「関ヶ原の乱」とか「チグリスとユーフラテスが人類の始まり」(意訳)とかツッコミ所はあるのだが、それは置いておく

*6:例:ぬいぐるみ二つをクリスマスにもらったから「クリス」と「マース」

『水曜どうでしょう』

現在新作が放送されていて*1今週は第7回、来週が最終回だそうだ。前々から楽しみにしていたのだが放送が週の半ばの平日の夜中ということもあってか今まで第2回、第4回、第6回を見逃してしまい、昨日放送された第7回も半分見逃してしまった。せめて最終回ぐらいはしっかり見よう。つーかウチのテレビ、朝日系列の電波だけ異様に入りが悪いんだけどアンテナが悪いんかしらん。

*1:北海道での話、内地ではどうだか知らない