アーチ型石橋、木製模型に 小松「鞍掛山を愛する会」

 完成したアーチ型石橋の木製模型=小松市本折町



 完成したアーチ型石橋の木製模型=小松市本折町

 小松市の滝ケ原町鞍掛山を愛する会は、同町に現存するアーチ型石橋の木製模型を作製
した。九州以外ではほとんど見ることのできない貴重なアーチ型石橋群の価値を見直し、
文化財の指定を目指すため、模型を利用して市内の小学校や福祉施設で講演活動も始め
た。同会は「生活に根付いた歴史遺産を後世に残していきたい」としている。
 木製模型は高さ五十センチ、幅九十センチ、奥行き二十センチで、重さ約二十キロ。同
会が加賀市の大工に製作を依頼し、昨年十月に完成した。個々の石が押し合う圧縮力など
で橋を支えるアーチ型石橋の構造を再現した。
 同会は、これまでも滝ケ原町を訪れる観光客らを対象に、地元の中谷篁さん(77)が
石で作製した重さ約二百五十キロの模型を利用し、アーチ型石橋の構造を説明してきた。
その価値をより広く伝えるため、説明に出向く際も容易に持ち運びができるよう木製模型
を製作した。
 アーチ型石橋は明治時代後期の洪水を受け、木製の橋から掛け替えられたとされる。石
産地である滝ケ原町の良質凝解石を利用し、地元の優秀な石工が洪水に耐えられるよう工
夫を凝らした。
 滝ケ原町にはかつて、十以上のアーチ型石橋が存在したが、現在は宇谷川などに五橋が
残り、今でも生活道路として利用されている。大分県を中心とする九州以外では、一地域
にまとまって存在するアーチ型石橋が少ないことから、滝ケ原町鞍掛山を愛する会が保存
活動に取り組んでいる。
 山下豊会長は「親しみやすい模型で、高度な技術を幅広く伝えたい」と話している。