遊園地再生事業団プロデュース『ヒネミの商人』 @座・高円寺1

作・演出・美術:宮沢章夫
出演:中村ゆうじ宮川賢片岡礼子、ノゾエ征爾、笠木泉、上村聡、佐々木幸子、牛尾千聖、山村麻由美
日程:2014年3月20日(木)〜30日(日)
会場:座・高円寺1

宮沢章夫の芝居は、『モーターサイクル・ドン・キホーテ』『鵺/NUE』『ニュータウン入口』に続いて4作目。脱力系のエッセイから宮沢章夫に入った私としては、やっと宮沢章夫らしい芝居を観た気がする。
とにかくダメな人が大勢出てくる。靴が片方無くなっちゃった銀行員、何度聞いても目的地に辿りつけない旅行者、やたらに暇そうな写真屋の主人などなど。
今回、『ヒネミの商人』とのコラボということで、「好物」というフリーペーパーが公演チラシとともに座席に置いてあった。この「好物」に宮沢章夫の文章も載っていて、これが往年のエッセイを彷彿とさせる素晴らしい文章だった。私は、喫茶店が焼きうどんを出すようになったらダメだ、という話が大好きだったのだが、それの続編のようなダメな喫茶店の話だった。
芝居はもちろんダメな人の話だけではなく、シェークスピアあり、貨幣の話ありと、色々な要素が含まれている。ただ、やっぱり良かったのは芝居の「間」だよな。長すぎず短すぎずの間が随所に挟み込まれていて、これが絶妙だった。あとは、ノゾエ征爾の声、佐々木幸子の視線、笠木泉の背中を掻く手なんかも良かったね。
終演後は、なぜかその場に留まれとのアナウンス。ほどなくして、マイクを持った宮沢章夫が登場。アフタートークあったっけ?と思ったら、何と「座・高円寺」の入場者数がこの公演の観客で100万人に達したという。ということで、抽選で1名にゆるキャラのぬいぐるみと非売品のTシャツと「なみちけ」(4枚つづりのチケット引き換え回数券)をプレゼントするという。座席番号での抽選で、宮沢章夫が引いて、当たったのは静岡から来たという男性でした。