インドからアメリカに渡り、ささやかな幸福を築いてきた移民一家の日常が、ある夏のプールの事故で暗転する。意識が戻らない兄、介護の毎日に疲弊する両親、そして悲しみの中で成長していく弟。痛切な愛情と祈りにあふれる自伝的長篇。フォリオ賞、国際IMPACダブリン文学賞受賞作。
プールでの事故で脳に損傷を負い寝たきりになってしまった兄、アルコール依存症になってしまった父、そして、介護の毎日に疲弊する母。傍から見ればかなり辛い「ファミリー・ライフ」を送ることになる主人公の少年アジェ。さらに、家庭内の辛さだけではなく、アメリカに移住してきたインド人たちに対する差別的な扱いもある。内容的にはかなり重いのだが、主人公のアジェがたくましいので、そこまでの暗さはない。文章を書くということは、色々なことを救済する力があるのだなと思わされる。
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