シグナリングとホテル代

<要約>
普段は勘定をほぼ割り勘しているカップルでも、「ホテル代だけは男性に出してほしい」という意見を持つ女性がいる。その理由は、女性がそんなにエッチしたくないから、というわけでは必ずしもない(´・ω・)<本文>
諸君はデートの会計をどのように行っているだろうか。大学生同士であったり、社会人でも年齢や立場が近いカップルだと、デートの勘定は割り勘、もしくはそれに近い形(「ご飯代は私が払うから映画はあなたが払ってね」というような場合も含む)で行っていることが多いと考えられる。しかしそうした場合でも、「ホテル代だけは必ず男性に全額払ってほしい」という意見が例えばネットであるとか、筆者が書きこんだmixi日記等で散見される(´・ω・)


筆者が彼女からそう言われた経験はないのだが、実際に言われたら「あー…このコは俺とのエッチがあんまり好きじゃないのかしら(´・ω・)」とプチ凹むだろうなぁ、と、かつては思っていた。しかし違う可能性、しかもより有力な可能性もあることに最近気づいた。女性はあなたとのエッチが好きでないわけではなく、エッチが好きでないと思われたい(特に女友達など、彼氏以外の人間に)だけかもしれないのだ。その場合は、女性の気持ちを理解してホテル代は男が全額払い、他で勘定を調整することがお互いにとって有益だろう(´・ω・)


上のように考える理由を説明する前に、根拠となる理論について簡単に解説しよう。私達が何か行動を取ると、その行動を観察した他者は、私達について何かしらの情報を得る。これを経済学ではシグナリングという。例えば、A君がBさんに「あなたが好きです」ということは、Bさんに「A君が自分を好いている」という情報を与えるという意味でシグナリングであるし、高い婚約指輪を贈ることも相手と結婚する固い意志が自分にあることのシグナリングと解釈できる(´・ω・)


上の2例は送り手が意図的にシグナルを送っているケースだが、意図的でない場合もたくさんある。新型インフルエンザが弱毒であると繰り返し強調する自治体を見て我々は、彼らに感染拡大を防止する具体的手段や自信がないことを知る。また我々は、血液型占いを頻繁に話題にする男女の知能を推し測ることができる。部室で一人スーファミに向かってボンバーマンの練習をする筆者を見て、部員は筆者が非常に魅力的な男性か、あるいは筋金入りのアホであることを知る。おおよそ我々が行う全ての行動は、他者に対して何らかの情報(望ましいものもあれば、望ましくないものもある)を伝えてしまうのだ(´・ω・)


本題に戻る。「ホテル代を男性に払ってほしい」というのは、単純に解釈すれば「自分はエッチにそんな乗り気でないから、乗り気な方(男)が全部払うべきだと思う」というシグナリングでありうる。しかし重要なのは、そのシグナルが彼氏向けのものではないかもしれないことだ。女性が数人のグループで酒を飲み、話が少し深い方に行った場合を想像してほしい。デートの会計どうしてるのー?と聞かれて、自分達はホテル代を割り勘している、と軽く酔いの回った彼女らに言えば、「エッチが好き」と解釈される可能性がある。そして一部の女性は、それが事実かどうかとは関係なく、そう思われることを恥ずかしがるだろう。つまり、ホテル代を男に払わせるのは、自分はそんなエッチに乗り気でないけど彼氏がしたがるから一応…、と「友人たちに」思われたいからであり、別にエッチが嫌いだからではないかもしれないのだ。この場合、男が凹む必要はまったくない(´・ω・)


だから、いつもは割り勘してる相手にホテル代だけは払ってほしいと言われたら、我々は凹んだり男女平等を説いたりせず、さっと全額払って帳尻は他で合わせればよい。相手の事情は可能な限り鑑みてあげよう。女性については、自分の言い分が「エッチしたくない」というシグナルを意図せず送っている可能性についても考慮してみよう(´・ω・)