初めに

本項は、戦略からは少し離れ、『戦略書』の正しい読み方、姿勢に関してを述べたいと思う。


現在、麻雀に関する『戦略書』はかなりの数に上る。
文字通り一冊の書になっているものから、ネット上で公開されているもの、または雑誌、漫画など、媒体も様々だ。


これらは先人の知識、経験の結晶。
我々はこれを読むことにより、少ない労力で多くのことを学ぶことが出来る。


これは大変ありがたい、恵まれた環境と言えるだろう。

注意すべき点

但し、これらの『戦略書』を読む上で、以下2つの注意点がある。

  • 頭から否定するべからず
  • 鵜呑みにするべからず

頭から否定しない事

戦略書とは、言うなれば先人が私達に残してくれた遺産である。
それを頭から否定するのは非礼であるし、危険なことだ。


例えば、デジタル系雀士のパイオニア、長村大氏の著書「真・デジタル」には、以下のような一節がある。


「よく「歳をとって引きが弱くなった」という人がいるが、
 さすがにこれは…、と思う。
 ただ、歳を重ねることで判断力が低下し、その結果、
 牌効率が落ちている、とは考えられるかもしれない」


ざっとまとめるとこんな感じだ。


デジタル系雀士にとって、「歳をとると引きが弱くなる」という理論(?)は論外だ。
しかし、長村大氏は(冗談混じりながらも)頭から否定せず、考えた上でこの理論を自らの戦略から排している。


大変立派な姿勢であり、正しい姿勢と言えるだろう。


上記例はいささか極端だが、どんな戦略でも、そこに1片の真実を含んでいる可能性がある。


頭からの否定は、その真実を見逃す事に成りかねないのだ。

鵜呑みにしない事

私の好きな教えに、以下のようなものがある。


経書を読むの第一義は、聖賢に阿らぬこと要なり。
 もし少しにても阿る所あれば、道明らかならず。
 学ぶとも益なくして害あり」


             吉田松陰「講孟余話」


要約すれば「書を読む際は疑ってかかれ」という事と、私は捉えている。


麻雀において、絶対に正しい戦略というものは存在しない。


時間、場所、相手、ルール。
いや、時代によってさえ適した戦略というものは変化するからだ。


どんなに尊敬する人が書いた『戦略書』でも、鵜呑みにしてはいけない。
自分が打つ環境に適う戦略か?
それを常に考えながら、取捨選択するべきだ。


それは決して非礼な事ではない。
むしろ、鵜呑みにしてしまう事こそ非礼に当たる、と私は考えている。

総括

最近「ブログ見ましたよ」という声を少なからず頂いている。
中には「お陰様でレート上がりました」と言ってくれる方もいる。


瑣末ながらも戦略を掲げる者にとって、これ程嬉しい言葉は無い。
身に余る光栄である。


しかし、当然ながら私の戦略も完璧足りえない。
もし本戦略をお読み頂けるならば、大いに疑って頂きたい。


そして、その中から適した戦略を汲み取り、それを活かして頂ければ幸いである。