Miles Davis / Big Fun
- アーティスト: Miles Davis
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2000/08/03
- メディア: CD
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- CD1-(1) …… 1969年11月19日録音。Miles Davis (tp), Steve Grossman (ss), Bennie Maupin (b-cl), John McLaughlin (g), Khalil Balakrishna, Bihari Sharma (electric sitar, tambura), Herbie Hancock, Chick Corea (el-p), Ron Carter (b), Harvey Brooks (el-b), Billy Cobham (ds), Airto Moreira (perc)
- CD1-(2) …… 1972年7月12日録音。Miles Davis (tp), Sonny Fortune (ss, fl), Bennie Maupin (cl, fl), Carlos Garnett (ss), Lonnie Smith, Harold I. Williams (el-p), Michael Henderson (el-b), Al Fosterm, Billy Hart (ds), Badal Roy (tabla), James "Mtume" Forman (perc)
- CD2-(1) …… 1970年3月3日録音。Miles Davis (tp), Steve Grossman (ss), John McLaughlin (g), DaveHolland (el-b), Jack DeJohnette (ds)
- CD2-(2) …… 1969年11月28日録音。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss), Bennie Maupin (b-cl), Airto Moreira, Khalil Balakrishna (indian instruments), Chick Corea, Joe Zawinul (el-p), Dave Holland (b), Harvey Brooks (el-b), Jack DeJohnette, Billy Cobham (ds), Airto Moreira (perc)
1969〜1972年のスタジオ録音曲を集めた2枚組アルバム。1974年に発売された当初から「未発表曲集」と銘打たれていた。
オリジナル LP は全4曲入り。1曲21〜28分という長い曲がレコードの片面に1曲ずつ収録された。
2000年に発売されたリマスター盤*1 は、"The Complete Bitches Brew Sessions" 収録の未発表曲を4曲追加収録している。(追加曲の参加メンバーは省略。)
僕が本アルバムを初めて聴いたのは80年代だったと思うけれども、74年の発売当時、FM雑誌の新譜紹介コーナーで取り上げられていたのを記憶している。で、その頃から本作は残り物、余りもの扱いだったのである。というのはマイルスのバンドのメンバー*2 がすでにかなり入れ替わっており、このアルバムに聴かれる演奏が最新のサウンドではなくなっていたからだと思う。その後、長年にわたって軽い評価に甘んじてきた作品なのだが、僕はこのアルバムが大好きだ。関連作品である "Jack Johnson" や "On The Corner" よりも頻繁に聴いているかもしれないくらいである。
CD1-(1) "Great Expectations" の前半はマイルス作曲。ハーヴェイ・ブルックスのベースの重低音が印象的な7/4拍子の曲である。後半は、ジョー・ザヴィヌル作曲の "Orange Lady" という別の曲(ザヴィヌルは演奏には不参加)。この曲はウェザー・リポートでも演奏されていた。
CD1-(2) "Ife" は、"On The Corner" セッションで録音された曲。マイケル・ヘンダーソンのベースのリフを中心にしたファンク・ナンバーである。参加ミュージシャンのクレジットはでたらめで、イントロからオルガンの音が鳴っているのに、誰が弾いているのかわからない。マイルスのトランペットはワウワウ使用で目立たず、その代りにバンド演奏が耳に残る。なお、"Ife" というタイトルの曲は後のライヴ盤に何度か収録されているが、本作とは共通点がほとんどなくて、別の曲といってよいと思う。
CD2-(1) "Go Ahead John" は、"Jack Johnson" の1ヶ月前に録音された曲。複数のテイクを編集でつなぎ合わせているようだ。 ドラムの音が左右にパチパチとスイッチされる変なミキシングは、テオ・マセロによるものだろうか。*3 一方、デイヴ・ホランドのエレクトリック・ベースは高音域をカットし、低音をブーストした物凄い音圧である。ボーーン、ボーーンと同じ音を弾いているだけなのに、この曲の完全に中心になっていて素晴らしいサウンドだ。それから、中盤のマイルスのソロは多重録音になっていて、左右からトランペットの音がダブって聞こえる。これも変だ。変だけど悪くない。
CD2-(2) "Lonely Fire" は、1970年1月27日録音という説もあってよくわからない。極端に遅いテンポの演奏が延々と続き、そのあとアップ・テンポになるのだが、14分を過ぎたあたりから全体のピッチが下がってしまう。マスター・テープの状態が悪いのだろうか。こればかりは、サザエさんのエンディング曲みたいで気持ち悪い。
*1:"Bitches Brew" と違ってリミックスとは記載されていないのだが詳細不明。
*2:マイルスは73年と75年に来日している。
*3:この変なミキシングが施されていないヴァージョンは、"The Complete Jack Johnson Sessions" に収録されている。