感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-02-27

[]日経新聞に連載をします

『日経新聞』(全国版)の3月2日(日)から5週連続で、読書欄に、「半歩遅れの読書術」という書物コラムを連載します。書物との出会いや、付き合い方を通して、本の魅力に迫る、というような感じのコーナーです。ご興味ありましたら、ぜひ、見てやってください。内容は、見てのお楽しみですが、テーマは「哲学」で一貫しようかなと思ってます。

このコーナー、いままでのものは書籍化されているみたいですね。

2008-02-22

[]大戦間期ポーランドの平和構想

『現代文明学研究』に、新論文、仲津由希子「殺めるなかれ、盗むなかれ、貪るなかれ:大戦間期ポーランドの平和構想」が掲載されました。中世から現代のポーランド史を振り返りながら、国際連盟の「戦争禁止宣言」につながるような、独自の平和運動への貢献が、なぜポーランドから出てきたのかについて、自然法との関係に着目しながら大胆な仮説を提出する意欲論文です。

 当時のポーランドには、自然法的国際法秩序感覚が残存していた。その世界観は、≪人を殺してはならない、貪ってはならない、人から盗んではならない≫のと同じように≪国を殺してはならない、貪ってはならない、盗んではならない≫という哲学によって支えられていた。人が生きる条件である国を奪うことは、その人間の自立と自由をも奪う。ポーランド人は1795年に祖国を失い、その後、約120年ものあいだ、他国支配下にあった。この歴史的実体験を通じて、ポーランド人は、Włodkowicが萌芽的に示した発想を、さらに確固とした規範意識として感得していった。そして大戦間期、ポーランド人はこの規範意識を法源としてふたつの軍縮運動を誕生させた。人と国家の略奪を許さないためには、いかなる具体的抑止政策が必要か。度々、正戦を経験したポーランド人は、人間の認識能力や利他精神が有限であることに自覚的であった。戦争の大義や倫理について、どんなに熟考を重ねたところで、正戦は、誰かにとっては必ずや倫理的に正当化されえないものとなりえる。それゆえ、論理・理由の如何を問わず、とにかく戦争というものを全面的に禁止せよと主張した。

あえて史学の枠組みを超えることで、他領域にインパクトを与えるものになったと思います。ぜひご覧ください。

現代文明学研究』は投稿型・査読付きのウェブジャーナルで、CiNiiデータベースにも論文タイトルが採録されており、キーワード検索できます。日本でもほとんどない完全投稿型でウェブベースの学術誌です。10周年を迎えましたが、今度とも有意義な論文を発信していきますので、ぜひお見知りおきを。

2008-02-21

[]Groningen Protocolとは

Hastings Center Reportの新着が届いた。ぱらぱら見ていたら、オランダの「グローニンゲン・プロトコル」(オランダ語ではフローニンゲンか?)についての論説が載っていた。Hilde Lindemann; Marian Verkerk, "Ending the Life of a Newborn: The Groningen Protocol" HCR 38,no.1(2008):42-51.

このプロトコルは、生まれたばかりで重症の赤ちゃんを安楽死させてよいとするもので、発表直後から賛否両論の反響を呼んでいたものとのこと。成人の安楽死についても寛容なこの国で、新生児についてもその方向で行こうということなのだろうか。

Hastings Center Report論文の冒頭部分は、ウェブで読める。

http://www.medscape.com/viewarticle/569471

このプロトコルが英語圏に紹介されたのは2005年のNEJM誌(ほか)のようである。NEJM誌の論文はウェブで読める。

http://content.nejm.org/cgi/content/full/352/10/959

その論文では、大人は自分の意志で苦痛を表現できるが、新生児はそれができないから、誰かが代わって行なわないといけないのではないかということが書いてある。

Suffering is a subjective feeling that cannot be measured objectively, whether in adults or in infants. But we accept that adults can indicate when their suffering is unbearable. Infants cannot express their feelings through speech, but they do so through different types of crying, movements, and reactions to feeding. Pain scales for newborns, based on changes in vital signs (blood pressure, heart rate, and breathing pattern) and observed behavior, may be used to determine the degree of discomfort and pain. Experienced caregivers and parents are able to evaluate the degree of suffering in a newborn, as well as the degree of relief afforded by medication or other measures. In the Netherlands, euthanasia for competent persons older than 16 years of age has been legally accepted since 1985. The question under consideration now is whether deliberate life-ending procedures are also acceptable for newborns and infants, despite the fact that these patients cannot express their own will. Or must infants with disorders associated with severe and sustained suffering be kept alive when their suffering cannot be adequately reduced?

議論の進展を見ていきたい。