感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-03-31

[]柳原和子さんが亡くなった

ノンフィクション作家の柳原和子さんが3月2日に亡くなったことを、つい最近知った。ご冥福をお祈りします。

柳原さんと最初にお会いしたのは、たしか、20年ほど前の印刷所の校正室だった。当時私は「中央公論」誌でたまに書かせてもらっていて、そのときも、原稿のぎりぎりの手直しをするために、市ヶ谷の大日本印刷まで夜中に行って校正していたのだった。そのときに、校正室で椅子の上に正座していたのが柳原さんだった。そのことは、なにか印象的でよく覚えている。

2度目にお会いしたのは、たしか大阪の朝日新聞社ではないかと思う。がんについての対談で、その内容は、柳原さん編集の『がん患者学』に収められている。彼女自身、がんだということで、けっこう真剣な対談になったように記憶している。その後も、『がん患者学』関連のことで何度かお手紙をいただいた。

『朝日新聞』の訃報欄に、写真が掲載されていた。よい表情で、なにかこちらまで安堵した。

がん患者学〈1〉長期生存患者たちに学ぶ (中公文庫)

がん患者学〈1〉長期生存患者たちに学ぶ (中公文庫)

がん患者学〈2〉専門家との対話・闘病の記録 (中公文庫)

がん患者学〈2〉専門家との対話・闘病の記録 (中公文庫)

2008-03-30

[]玉城康四郎、出会いと別れ、形なきいのち(半歩遅れの読書術・4)

ダンマの顕現―仏道に学ぶ

ダンマの顕現―仏道に学ぶ

2008年3月23日日経新聞掲載

 本との出会いが、人との別れにつながることもある。

 大学院生のときに、授業でもっとも熱心に読んだのは、道元の『正法眼蔵』であった。私は中村元先生の『仏教語大辞典』(東京書籍)と、玉城康四郎先生による正法眼蔵の現代語訳(中央公論社・日本の名著)を左右に置きながら、道元の魔物のような文章を読み進めていった。

 とりわけ、玉城先生の現代語訳はきわめてクリアーで、ぐいぐいと引き込まれるものを感じた。

 私が入学したときには、すでに玉城先生は退官されていたので、学生時代にお目にかかることはできなかった。その後、テレビで先生のお顔を拝見することがあった。なにか憑かれたように「地獄」の話をするその姿は、異様な雰囲気に包まれていた。

 それから歳月が経ち、私は研究者となり、あるときテレビの宗教番組に出演して、生命倫理についてしゃべった。それからしばらくして、知り合いの編集者のN氏が、「玉城先生が森岡をテレビで見て興味をもっておられるようだ」と知らせてきた。私が驚愕したことは、言うまでもない。

 私はN氏の仲介で、玉城先生のご自宅を訪問することにした。N氏は、先生の近著である『ダンマの顕現』(大蔵出版)を送ってくれた。私は、さっそく読んだ。

 一読して心臓を貫かれる思いがした。玉城先生が仏道に目覚めてから七十九歳に至るまでの、自身の座禅体験が、あからさまに綴られていたのである。悟りの大爆発があったかと思えば、それはすぐに暗黒の世界に後戻りして、へどろの海に沈む。

 座禅によって明らかになるものは、「限りない過去から、あらゆるものと交わりつつ、生まれかわり死にかわりしながら、いま、ここに現われる宇宙共同体の結び目であり、しかもその根底は、暗黒であり、あくたもくた、へどろもどろである」と先生は書く。そして七十八歳の一二月、形なきいのちが私の全人格体に充満し、大瀑流となって吹き抜けていった、と。

 私はN氏とともに、玉城先生を訪ねた。先生は非常に柔和な方だった。私は先生としゃべりながら、しかし自分がいかに先生の本から決定的な影響を受けたかを言い出せずに終わった。

 その後しばらくして、先生の大往生の報が届いた。私の思いを伝える機会は失われた。どうしてあのとき言えなかったのかという後悔の念が湧き起こるとともに、形なきいのちはもうすでに先生をとおして私にまで伝ってきているとも感じたのだった。


評者:森岡正博 (http://www.lifestudies.org/jp/)



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◆森岡正博の書評ページ(森岡執筆の書評一覧があります)

http://www.lifestudies.org/jp/shinano01.htm

◆LIFESTUDIES.ORG/JP

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2008-03-25

[]「生命の哲学」プロジェクト始動!

2007年からひそかに始動していた「生命の哲学」プロジェクトの最初の成果が刊行されました。

> 森岡正博・居永正宏・吉本陵「生命の哲学の構築に向けて(1)」

その論文より、冒頭部分を引用。

 我々が「生命の哲学」の必要性を痛感したひとつのきっかけは、現代の生命倫理の諸問題を検討しているときであった。脳死臓器移植問題や、ヒトクローン問題などの生命倫理の問題を考えていくと、その議論はどうしても、「そもそも生命とは何なのか」「人間が生きること死ぬことの意味は何なのか」という根本問題にぶつかってしまう。しかしそれらの問題は、米国で発展した「生命倫理学bioethics」の枠組みではほとんど答えられないようになっているのである。生命倫理学は、むしろ、それらの泥沼のような問題から距離を取って、現実の諸問題をプラグマティックに解決していくことを目指して構築されてきたという経緯がある。「そもそも生命とは何なのか」という問題を生命倫理学に求めるのは、お門違いだというわけである。(ただし最近の展開については後述する)。

 あるいは社会福祉学の世界でも同じである。高齢者介護の問題や、障害者福祉の問題などが、人々の日常生活の現場で大きな課題となってきた。それに対処するために社会福祉学の領域でも様々な理論的・実践的な試みがなされているが、現場の人々の声をすくい上げて問題解決を探ろうとするときに、やはり同じような根本問題、すなわち「老いていくとはどういうことか」「病んでいくこと、障害をもつことの意味はなにか」といった哲学的問題にぶつかってしまうのである。社会福祉学もまた、現実の社会問題を解決するための専門家を養成しなくてはならないし、その意味でプラグマティックな思考を必要とされるから、ここでもまた生命をめぐる哲学的問題が深められる余裕はないのである。

 あるいは議論喧しい環境問題についても似たような状況にある。地球温暖化問題への取り組みはまさに急を要する課題であるが、その裏には、なぜそもそも我々は環境を守らなければならないのかという環境哲学の根本問題が横たわっている。これは長年にわたって専門家たちによって議論され続けてきたテーマであるが、いまだに確たる答えは導かれていない。環境哲学・環境倫理学の分野では、「人間もまた生物種のひとつであり、人間を取り巻く大きな生態系のネットワークによって生かされている」という視野から、何かの答えが導けるのではないかと考えられてきた。このような思索を進めていけば、それは必然的に、人間の生命と人間以外の生命との関わりのあり方を考える哲学の営みに行き着くことになるはずである。

 これらのことからも分かるように、現代世界の様々な問題を突き詰めて考えていくと、その先には、「生命とは何か」という根本問題が見えてくるという構造になっているのだ。

生命の哲学プロジェクト概要については、

> http://www.lifestudies.org/jp/seimei-tetsugaku01.htm

でわかるようになっています。

そこより一部引用。

2007年より、大阪府立大学を中心に、「生命の哲学プロジェクト」を開始しました。これは、古今東西の「生命の哲学」を比較研究するとともに、現代社会が直面している「生命の哲学」の諸問題を哲学的に解明していこうという試みです。

生命倫理、老いの問題、社会福祉や障害、環境保全などの現代的な諸問題を、「生命の哲学」の問題として捉え直し、それをどのように解明していくのかを考えていくのですが、そのときに、古今東西の「生命の哲学」の遺産を幅広く研究しながら、それらの解明に役立てようというわけです。現代における学際的な哲学の実践と、文献研究を、両立させることを目指しています。

というわけで、今後の展開にご注目ください。ただし、ゆっくりとした進行になると思います・・。

[]英語冠詞の世界

英語冠詞の世界―英語の「もの」の見方と示し方

英語冠詞の世界―英語の「もの」の見方と示し方

語学の勉強というのは、進めば進むほど、わからない点が増えてくる。図書館をうろうろとしていたら、面白そうな本だったので借りて読んでみたら、これはなかなかの名著だった。

日本語ネイティブにとっては謎の世界である、a the 無冠詞の使い分けが、どういう論理でなされているのかについて、言語学の観点からできるかぎりの仮説を出してみた本だ。とくに、theについての記述は目から鱗が落ちる思いがした。詳しくは本をじっくり読んでいただくしかないが、たとえば、

in summer

in the summer

の違いというのは、上は単に、ぽっと「夏に・・・」と言ってるだけだが、下は「四季には春夏秋冬とございますが、春でも秋でも冬でもない、夏には・・」というニュアンスが漂っているという。

同様に、

Japanese are

The Japanese are

上は、単に「日本人は・・・」と言っているのだが、下は、「中国人でもない、韓国人でもない、日本人というものは・・」という感じがあるという。

このあたりから始まって、だんだんと奥深く入っていく様はなかなか興奮する。単なる英語学習書とは一線を画する研究書だ。著者は元関西大学教授とのこと。言語学の世界も、なかなか面白いですね。

最近、本を書くときの日本語の手入れにすごく時間をかけるようになっていて、そのたびに、「なんで日本語ではこう書いた方がわかりやすいのだろう?」という言語学的な疑問を日々感じているのです。日本語をきれいに直す大きな秘訣は、「省略」にあるということを、実証的にわかってきています、校正作業を通じて。その話はまたいつか書こう。(私の論文や書評やブログの日本語はかなりテキトーです)

2008-03-24

[]9条世界会議

こういう会合があります。

[転送・転載歓迎]

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9 条 世 界 会 議 (5月4〜6日、幕張メッセ)

Global Article 9 Conference to Abolish War

チケット好評発売中!

http://whynot9.jp

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9条世界会議のご案内 2008.3.20

<1> チケット好評発売中です (4/1からは全国のローソンで!)

<2> 会議プログラムの最新状況

    ◆「9ALIVE」 UA、加藤登紀子、FUNKIST、原田真二

    ◆ノーベル平和賞受賞者、ほか海外ゲスト100名以上

    ◆オープニング特別試写会 「火垂るの墓」(実写版)ご招待

<3> 当日ボランティアを大募集しています

<4> 賛同金をお願いします

<5> 9条世界会議とは?

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<1> チケット好評発売中です

        (4/1からは全国のローソンで!)

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5月4日(日)全体会・音楽ライブ(イベントホール)

    前売り券1,000円/当日券1,500円(中学生以下無料)

    ※音楽ライブもこのチケットで見られます

5月5日(月) 分科会(国際会議場)

    前売り券1,000円/当日券1,500円(中学生以下無料)

★チケットのお求めは、郵便振替でお申し込み下さい。

  http://www.whynot9.jp/action/ticket.html

★4月1日からは、全国のローソンでお求めになれます。

  ローソン(店内Loppi)にて発売 <Lコード33580>

  0570-084-003 (24時間予約受付・Lコード必要 ※関東・甲信越専用)

  http://l-tike.com/(インターネット予約・有料会員登録必要)


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<2> 会議プログラムの概要

  2008.3.20現在

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◆◇◆◇

オープニング特別試写会

「火垂るの墓」 (実写版)にご招待

原作:野坂昭如

監督:日向寺太郎

出演者:吉武怜朗、畠山彩奈、松坂慶子、松田聖子 ほか

(2008年日本映画/1時間40分)

不朽の名作、初の実写映画化

7月5日より東京・岩波ホールほか全国でロードショー

5月4日(日)

10:30 開場/11:00開映(午後1:00 終了予定)

場所:幕張メッセ 国際会議場

終映後舞台挨拶あり、日向寺太郎監督ほか出演者に交渉中

 オープニング特別上映 「火垂るの墓」(実写版)に、抽選でペア100組

(200名様)をご招待いたします。往復ハガキで下記のとおりにお申し込み下

さい。結果は抽選の上、ハガキで4月下旬に通知いたします。

  宛先 169-0075 東京都新宿区高田馬場3−14−3八達ビル2階

     9条世界会議 「火垂るの墓」係 御中

  記載事項  「火垂るの墓」特別試写会に申し込みます。

         参加希望者(お二人)のお名前、年齢

  往復ハガキの返信面にも郵便番号、ご住所、お名前を明記してください。

  申込締切: 2008年4月18日(金)当日必着

  (注)この申込によって得た個人情報は、「9条世界会議」日本実行委員会

     が管理し、「火垂るの墓」9条世界会議オープニング特別試写会の開

     催以外の目的には使いません。

  お問い合わせ先:03−3363−7967

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◆◇◆◇

5月4日(日)

9条を考える

全体会

開場 午後12時30分

開演 午後1時30分 (午後9時終了予定)

幕張メッセ・イベントホール 定員7000名

■9ALIVE

UA

加藤登紀子

FUNKIST

原田真二

亀淵友香

高橋竹山

ナターシャ・グジー

普天間かおり

AINU REBELS

■基調講演

マイレッド・マグワイア

(北アイルランド/1976年ノーベル平和賞受賞)

     「紛争を暴力ではなく、対話によって解決する。

     日本の9条は、そのような世界のモデルになります」

コーラ・ワイス

(アメリカ/ハーグ平和アピール代表)

    「すべての国の憲法が9条をもつべきです。

    今こそ戦争を廃絶するときです」

ビデオメッセージ

  ワンガリ・マータイ ケニア/2004年ノーベル平和賞受賞

  ほかデズモンド・ツツ、ジョディ・ウィリアムズら(交渉中)

■日本から

吉岡達也 「9条世界会議」共同代表/ピースボート

池田香代子 「9条世界会議」共同代表/翻訳家

元日弁連会長 (交渉中)  ほか

■世界から 「世界は9条をえらび始めた」

ベアテ・シロタ・ゴードン アメリカ/元GHQ日本国憲法起草者

ハンス・フォン・シュポネク ドイツ/元国連事務次官補・イラク人道調整官

エマニュエル・ボンバンデ ガーナ/西アフリカ平和構築ネットワーク

カルロス・バルガス コスタリカ/国際反核法律家協会副会長

イ・ソクテ 韓国/弁護士

■国際ゲスト登壇

武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)

国際民主法律家協会(IADL) ほか

■トーク「イラク、アメリカ、日本」

アン・ライト アメリカ/元陸軍大佐・外交官

カーシム・トゥルキ イラク/人道支援ワーカー

エイダン・デルガド アメリカ/イラク帰還兵

雨宮処凜 日本/作家

高遠菜穂子 日本/イラク支援ボランティア

■合唱・パフォーマンス

市民と弁護士が歌うベートーベン第九交響曲・合唱付き

世界の子どもたちと歌う「ねがい」

ピースボート・ダンスパフォーマンス    ほか

ピースウォーク到着  (2月24日広島出発、全国を歩いて幕張へ)

http://homepage3.nifty.com/peace_walk/Welcome.html

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◆◇◆◇

5月5日(月)

9条を生かす

分科会

開場 午前9時

開演 午前10時(午後7時終了予定)

幕張メッセ・国際会議場 定員3000名

■シンポジウム

1「世界の紛争と非暴力」

谷山博史 日本/日本国際ボランティアセンター

伊勢崎賢治 日本/東京外国語大学

ワリッド・サレム パレスチナ/パレスチナ民主化・地域発展センター

フローレンス・ンパエイ ケニア/ナイロビ平和イニシアティブ ほか

2「アジアのなかの9条」

権 赫泰(コン・ヒョッテ) 韓国/聖公会大学

ジョセフ・ガーソン アメリカ/フレンズ奉仕委員会

高里鈴代 沖縄/基地・軍隊を許さない行動する女たちの会

班 忠義 中国/映画監督

ガス・ミクラット フィリピン/国際対話イニシアティブ ほか

3「女性のシンポジウム」

エレン・ウッズワース カナダ/バンクーバー元市議会議員

丁 京蘭(チョン・ギョンラン) 韓国/平和を創る女性の会

フローレンス・ンパエイ ケニア/ナイロビ平和イニシアティブ

アン・ライト アメリカ/元陸軍大佐・外交官 ほか

4「環境と平和をつなぐ」

辻 信一 日本/ナマケモノ倶楽部

星川 淳 日本/グリーンピース・ジャパン

アウキ・ティトゥアニャ(交渉中) エクアドル/コカタチ郡知事(先住民族) ほか

5「核時代と9条 ヒロシマ・ナガサキから21世紀へ」

浅井基文 日本/広島平和研究所

クリストファー・ウィラマントリー スリランカ/元国際司法裁判所判事

アリス・スレーター アメリカ/核時代平和財団

キャスリン・サリバン アメリカ/軍縮教育家

ヒルダ・リニ バヌアツ

中村桂子 日本/ピースデポ ほか

6「日本の9条の今」

品川正治 経済同友会終身幹事

香山リカ 精神科医

湯川れい子 作詞家

水島朝穂 早稲田大学教授

伊藤真 伊藤塾塾長

ロニー・アレキサンダー 神戸大学大学院教授

吉岡達也 ピースボート ほか

■特別フォーラム

1「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)」

 アジア太平洋フォーラム

韓国、中国、香港、台湾、モンゴル、ロシア、フィリピン、太平洋から約20名

2「国際法律家パネル」

 国際民主法律家協会、米ナショナル・ロイヤーズギルド、韓国民弁など約30名

■国際企画

1「グローバリゼーションと戦争」

 ポール・サオケ(ケニア)、弘田しずえ(カトリック正義と平和協議会)ほか

2「軍隊のない世界へ」

 クリストフ・バーベイ(スイス)、カルロス・バルガス(コスタリカ)、韓国

良心的兵役拒否者、前田朗(東京造形大学)

3「平和教育」

 ベティ・リアドン(アメリカ)、松井ケティ(清泉女子大学

4「世界に広がる9条の会」

 バンクーバー、ジュネーブから。ドイツからも交渉中

5「歴史和解」

6「メディアと9条」

ほか

■ワークショップ

約20の自主企画:イラク、米軍基地、核、非暴力平和隊、法律家の役割など。

■ライブハウス

9条落語、アーティストがみる9条、インドの子どもたち、和太鼓、獅子舞など。

■シネマ

戦争と平和を考える日本と世界の映画

■ブース・展示・販売コーナー

(以上、タイトルはいずれも仮題。日英通訳付き。5月4日は手話通訳あり。)


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◆◇◆◇

5月6日(火)

 まとめの総会

 最終文書採択

   9条世界宣言(仮)

   9条を世界化するための行動計画

   国際社会での次のステップを討議

 記者会見

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◆◇◆◇

各地の開催

5月5日(月)広島 アステールプラザ

 マイレッド・マグワイア

 http://www.hiroshima9net.jpn.org/9sekai.html

5月6日(火)仙台 サンプラザ

 マイレッド・マグワイア

 tel:022-222-6900(東陽写場気付)

5月6日(火)大阪 舞洲アリーナ

 アン・ライト

 ハンス・フォン・シュポネク

 ベアテ・シロタ・ゴートン

 ほか

 http://www.geocities.jp/article9kansai

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<3> 当日ボランティアを大募集しています

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 事前キャンペーンのための広報ボランティア、グッズ頒布ボランティアに加え

て、5月の当日ボランティアを大募集しています。著名アーティストの大舞台を

お手伝いし、世界5大陸100人以上の海外ゲストと近づけるチャンス!

 積極的な応募・登録をお待ちしています。4月からは毎週ボランティア説明会

を開催します。▼

http://www.whynot9.jp/action/volunteer.html


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<4> 賛同金をお願いします

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 チケットを多くの皆さんにお買い求めいただきたいのはもちろんのこと、この

歴史的会議を成功させるために、まだまだ、お金が足りません。賛同人・賛同団

体を大募集しています。私たちの手で、「9条世界会議」を成功させましょう。

賛同金 個人 1口2000円

    団体 1口10000円

オンラインで賛同できます▼

http://www.whynot9.jp/action/form.html

◆メルマガ"Cafe9"(隔週刊)を出しています。ご購読下さい。申込はオンライ

ンで、ウェブのトップページから↓

http://www.whynot9.jp/

◆オリジナルグッズ販売中!

宮沢りえさん推薦・公式絵本『イマジン9』ほか

http://shop.whynot9.jp/

◆応援してください!参加しましょう!9条ピースウォーク

http://homepage3.nifty.com/peace_walk/Welcome.html


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<5> 9条世界会議とは?

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 世界中で紛争が絶えず、武器が次々と作られるなか、地球環境の変化が人々の

生存を脅かしています。そんな世界でいま人々が注目し始めているのが、日本の

憲法9条です。

 「武力によらない平和」という9条の考え方を、世界共通のものにしたい。

「9条世界会議」は、ノーベル平和賞受賞者や、戦禍のイラク、アフリカなどか

らゲストを招き、音楽ライブやパネル展も多彩な平和の祭典です。戦争のない未

来への扉を開きます。

◆なぜ9条世界会議なの?(趣旨)

http://www.whynot9.jp/first/

◆呼びかけ文・呼びかけ人一覧↓

http://www.whynot9.jp/first/call.html

◆国際賛同人・賛同団体一覧↓

http://www.whynot9.jp/first/approval.html

◆国内賛同人一覧↓

http://www.whynot9.jp/first/approval02.html


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問い合わせは

「9条世界会議」日本実行委員会

  (事務局・ピースボート気付)

 Tel 03-3363-7967 Fax 03-3363-7562

info@whynot9.jp http://whynot9.jp

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[以上、転送・転載歓迎]

2008-03-19

[]カス、ハーバーマス・生命倫理の哲学(半歩遅れの読書術・3)

〈個〉からはじめる生命論 (NHKブックス)

〈個〉からはじめる生命論 (NHKブックス)

2008年3月16日日経新聞掲載

 インターネット時代になって、本との出会い方も徐々に変わってきた。その一例が、これから紹介する、レオン・カス編『治療を超えて』(青木書店)である。

 この本は、米国の生命倫理評議会が二〇〇三年にブッシュ大統領に提出したレポートを、全訳したものだ。オリジナルの英語版は、米国政府のサイトから無料で全文がダウンロードできる。と同時に、まったく同じ英語版が、民間の出版社からも刊行されている。

 無料で手に入るのなら、本のほうは売れないだろうと思われるかもしれないが、私は英語版をダウンロードしたあとで、英語のペーパーバックも購入した。大事な本だから、書籍のかたちで持っておきたいと思ったのである。〇五年に出た日本語訳も入手した。ネット時代になっても、良い本は売れていくのである。

 さて、この本は、生命テクノロジーがどんどん進んでいっても、必ずしも人間は幸福にはならないと訴える。そんな内容のレポートが米国大統領に提出されたのだから、生命倫理の世界に大きな衝撃を与えた。

 それまでの米国では、研究の自由を最大限に認めて、できるかぎり自由な生命科学研究を推進するべきだという考え方が主流であった。ところが、このレポートは、人間を改造することよりも、人間に与えられたものを大切に使い切っていくことのほうが、よっぽど人間的なのだと主張して、生命科学研究に水を差したのである。

 この主張の裏側には、米国のキリスト教保守派のイデオロギーがある。興味深いのは、その翻訳が、日本では左翼系の老舗出版社から出ているということだ。このねじれはたいへん面白い。米国の学会で私がこのことをしゃべったときには、会場から驚きの声が上がった。

 話を戻せば、ドイツでもまた、重鎮哲学者のハーバーマスが、『人間の将来とバイオエシックス』(法政大学出版局)を刊行して、生命テクノロジーに対する批判を行なっている。それらの技術は、一見、人間に寄与するように見えて、実は人間から、道徳的世界の基盤となるものを奪うような性質をもったものかもしれないと言うのである。

 二一世紀に入って、生命倫理の哲学は、たいへん活況を呈しはじめている。日本でも、加藤秀一『<個>からはじめる生命論』(NHKブックス)のような好著が、昨年出版された。

 生命テクノロジーは、人間に明るい未来を開くものなのか、それともその先にあるのは悪夢なのか。いま生命の哲学が面白くなってきている。


評者:森岡正博 (http://www.lifestudies.org/jp/)



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2008-03-17

[]ヘリゲル・日本の弓術と西洋の誤解と創造(半歩遅れの読書術・2)

日本の弓術 (岩波文庫)

日本の弓術 (岩波文庫)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

2008年3月9日日経新聞掲載

 私が学生だったころ、大学の哲学・倫理学の授業には、さほど面白いものはなかった。ただひとつ、当時、哲学者の湯浅泰雄先生が非常勤講師で来られていて、その授業は目から鱗が落ちるようであった。

 湯浅先生は、中国医学の「気」の考え方を紹介し、それが日本武術の身体の鍛錬の仕方にどのような影響を与えたのかについて講義をされたのであった。武術家のビデオを観ながら、身体論の可能性を議論したのは忘れられない。そのときに湯浅先生が示されたのが、オイゲン・ヘリゲルの『日本の弓術』(岩波文庫)という本である。

 文庫版で七〇頁足らずの文章であるが、一読して、あまりの面白さに興奮した。どうして外国人が日本武術の本質をこんなにクリアーに掴めるのだろうと、若き日の私は驚いたのだった。

 ヘリゲルはドイツの哲学者である。大正一三年に、東北帝国大学で西洋哲学を教えるために来日し、そのかたわら、弓術の師範である阿波研造に師事した。最初は的に矢を当てることに苦心していたが、やがて、弓の道の本質は「禅」であると気付くようになる。

 すなわち、弓を引く構えをしたときに、射手は自分の意識を水面下に沈める準備が整う。そして弓を引き絞るにつれて、意識はだんだんと無に近づき、「その後の一切は意識の彼方で行なわれる」。そして、矢が放たれたその瞬間に、射手は、「不意に、我に復(かえ)る」。そのとき、見慣れた風景がふたたび目の前に広がってくる。

 そこには、もはや、私が矢を的に当てるということは起きていない。矢を当てようとする私も消えているし、狙われていたはずの的もまた消えている。射る者も射られる的も消え失せた世界のなかで、矢が的に当たるという出来事が生起する。これが弓道の本質だとヘリゲルは言うのである。

 もちろん、これはドイツ人の哲学者による、誤解を含んだ一方的な解釈であって、この本はその点から批判されている。しかしながら、そのような自信満々の「誤解」によって、結果的に、ヘリゲルは、「禅」というものの、もっとも現代的な解釈の仕方を創造し得たとも言えるのである。

 似たようなことは、名著の誉れ高い新渡戸稲造の『武士道』(岩波文庫)においても見られるだろう。西洋の教養で武士道の本質を切り取ったこの本は、観念的誤解に満ちていると批判されるが、しかしそれによってしか現代人の魂に届かなかった何ものかが、たしかにこの本には存在しているとしか言いようがないのである。


評者:森岡正博 (http://www.lifestudies.org/jp/)



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◆LIFESTUDIES.ORG/JP

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2008-03-11

[]ウィトゲンシュタイン・哲学者の苦悶と向き合う(半歩遅れの読書術・1)

論理哲学論考 (岩波文庫)

論理哲学論考 (岩波文庫)

2008年3月2日日経新聞掲載

 本との出会いという言い方があるが、哲学書には、まさに「出会う」という感触がぴったりだ。哲学とは、私が存在しているのはなぜかとか、生きること死ぬことに意味があるのかといった問いを深めていくことだから、どうしても自分に合う合わないということがある。

 私が、自分にとってもっとも大切な哲学者であるウィトゲンシュタインに出会ったのも、そういう仕方であった。大学に入ったばかりのころに、図書館の哲学の棚で、法政大学出版局から出ていた『論理哲学論考』を、ふと手に取ったのだった。(現在は、岩波文庫版『論理哲学論考』が入手しやすい。以下の引用もこれによった)。

 まず目に飛び込んできたのは、訳者による情熱的な伝記だった。その迫力に押されて、ページを戻りながら本文を読んだ。

 「独我論の言わんとするところはまったく正しい。ただ、それは語られえず、示されているのである」。「神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである」。「語り得ぬものについては、沈黙せねばならない」。これらの言葉は、稲妻のように私のハートを打ち抜いた。私はこの本を借り出して、繰り返し読んだ。それは若き日の私のバイブルとなったのである。

 この傲慢な哲学者は、この本の序文で、自分の思想が真理であることは決定的であり、問題は本書によって最終的に解決されたと記している。ウィトゲンシュタインは、私というものの謎、言語によって何が語られ何が語られないのかという謎を、論理学を使うことによって解明できたと宣言したのだった。ウィトゲンシュタイン二十九歳のときである。

 だが、話はそこで終わらない。その後、彼がどのような苦悶を重ねたかについては、『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記』(講談社)を読めばわかる。これは、彼が四〇代終わりに書いた日記を採録したものである。そこにあるのは、あの若き日のウィトゲンシュタインではない。

 彼は日記の中で、自分がいかに生きればよいのか、いかに死ねばよいのかを叫んでいる。「生きるとは表面で見えているよりずっと真剣なものだということである。生きるとは恐ろしいほど真剣なことなのだ」。「お前の人生が最後に絶望へと切迫せぬように生きなければならない」。「お前がよく死ねる、そのように生きよ!」彼は六二歳で生を閉じた。

 ひとつの問いが解決したそのあとに、本物の問いが満を持して現われる。哲学者はそれと格闘しつつ生を終えるのである。


評者:森岡正博 (http://www.lifestudies.org/jp/)



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2008-03-09

[]捕鯨問題とWikipedia

必要があって捕鯨問題をネットで調べたら、Wikipediaの該当項目が、非常によく書かれていて感心した。捕鯨問題であるから、編集合戦が行なわれて無茶苦茶になっているだろうと思っていたが、そうでもなく、両派古参によるうまいバランスが取れているようだ。Wikipediaのひとつの可能性を感じた次第である。(Nekosukiさんこんにちわおひさでした)。

2008-03-07

[]宮地尚子『環状島:トラウマの地政学』

環状島=トラウマの地政学

環状島=トラウマの地政学

2008年3月2日熊本日々新聞掲載

 阪神淡路大震災のような大惨事を経験して、心に大きな傷を負った人は、あの時間、あの場所で起きたことについて、自分の言葉で何ひとつ語れなくなることがある。また、繰り返されるDVや虐待を受けた人は、そのとき自分に何が起きたのかについて、他人に対して説明できないだけでなく、自分に対してもそれを言語化できないことがある。

 本書の著者の宮地さんは、この点に注目して、トラウマをかかえた人と、その人を取り囲む人間関係を説明する、新たなモデルを提案した。それが「環状島」である。

 環状島というのは、大海の真ん中にぽつんと浮かんだ離れ小島なのであるが、その中心部がへこんで大きな湖になっているのである。つまり、中心部に「内海」があり、それを取り囲むようにして「尾根」の山々がそびえており、その「尾根」を外側に超えると、その先には浜辺があって、広々とした外海が広がっている。

 この島の中心部になぜ内海が形成されたのかというと、DVや虐待などの出来事が起きたとき、この島の頭上で、ちょうど原爆のようなすさまじい爆発が起きたからである。その爆発によって、被害者の心にはトラウマという名の空洞が形成され、そこに水が流れ込んで内海を作り上げたのである。

 内海は、トラウマの起点となる凄惨な出来事が生じたグラウンド・ゼロであり、そこで何が起きたのか、そこに何があるのかを、当事者は整然と言葉でしゃべることはできない。内海は、言葉を失った死の世界である。

 普通の考え方では、「当事者に何が起きたのかは、当事者がいちばんよく知っているし、いちばんよく語ることができる」とされる。ところが、トラウマを負った人間では、そうはならない。その人間の中心部には、言葉が失われた「内海」が広がっており、そこで起きたことを、他人にも自分にも整然と説明できないのである。

 中心部でトラウマを受けた人間が、なんとか環状島の内海から陸地に上がって、尾根の山々に向かって内側から登れるようになると、そこではじめて、苦しみながらも自分の言葉を発することができるようになる。だから、被害者への支援とは、まずは死屍累々たる内海から、陸地の尾根に向かう内斜面へと、被害者を引き上げてくる作業であると言える。

 島の外に目を向けてみよう。そこには果てしなく広がる外海がある。外海にいる人々は、トラウマで生じたこの島の存在について、まったく無関心である。あるいは意図的に見ないようにしている。

 その外海から、この島に上陸して、環状島の尾根に向かって外側から登ってこようとする人間がいる。彼らは、トラウマに苦しむ人を援助しようとする支援者である。

 環状島の尾根に内側から登っていこうとする当事者と、外側から登ってきて支援しようとする支援者とのあいだには、トラウマからの回復を目指した連帯がむすばれるのであるが、しかしながら、尾根の外側にいる支援者はいつでもそこから逃げることができるという意味ではよそ者にすぎないわけだから、尾根の内側からなかなか抜け出せない当事者と、真に結びつくこともできない。

 高い山々の頂上には、たえず強い風が吹きすさんでいるものであるが、それと同じように、当事者と支援者が出会う尾根の上もまた、社会からの強烈な外圧が吹き荒れる場所であり、当事者と支援者のあいだの軋轢が表面化する場所でもある。

 だから、もし支援する運動の内部で軋轢や内輪もめが生じたとしても、それは「環状島」という島それ自体の性質によるのであり、けっして誰も悪くないし、軋轢はむしろあって当然なのだと宮地さんは言う。

 このように、「環状島」というモデルを使って考えることにで、トラウマからの回復と、当事者への支援について、様々な問題点がすっきりと整理できるようになる。まだ荒削りであるが、これからの精神医学と現代思想に大きな影響を与えるかもしれないアイデアがほとばしっている。今後の展開が非常に楽しみな著作である。


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2008-03-03

[]仏教系無宗派のための、家庭でできる「法事法要」

家庭でできる法事法要

家庭でできる法事法要

橋爪大三郎さんが監修した、僧侶を呼ばずにおこなう、超シンプル法事のやりかたの本である。法事の基本は、身近な人々が故人をしのぶことなのだから、親しい僧侶がいない場合は、別に僧侶を呼ぶ必要もないわけで、むかしお釈迦様が説いたような世界観にのっとって、家庭で故人をしのび、生と死をあじわう機会にするのがよいという趣旨である。そのときには、仏教の宗派など関係ないから、「仏教系無宗派」ということでいいではないかと主張する。

この本は、その家庭法要のやり方を、実際にどうやるのかを丁寧に提案する実用書だ。橋爪さんらしい明晰な仏教理解と、その現代的な解釈は、教えられることが多い。初期の名作『仏教の言説戦略』以来のお得意分野ですしね。

橋爪さんの最近の著作の中では、出色のように思われる。(しかし、「がんばれ仏教」という章タイトルは、同僚の上田紀行さんからの影響か?)

2008-03-02

[]グローバリゼーション再読

訳あって、グローバリゼーションについて頭の中を整理するために、読書中。そもそも経済学は私の弱点なので、この方面も少しずつ強化していかないといけない。下記の2冊は、反・ネオリベ・グローバリゼーションの立場から書かれた概説書で、そのスタンスさえ理解していれば、分かりやすい見取り図を与えてくれると思う。

グローバリズム (21世紀の若者たちへ)

グローバリズム (21世紀の若者たちへ)

国籍を内在させながらグローバルに利益を求めて運動する多国籍企業によって、資本が瞬時に移動し、規制緩和によるある種の富の流入をある地域にもたらしながら、当該地域システムを破壊し、圧倒的な格差社会をもたらすことになった元凶だということか。その運動を支える動因が何かということが、哲学者としてはいちばん気になる。

しかし、スティグリッツの本など読むたびに、IMFとは実際のところ何なのだろうという疑問が浮かぶ。IMF側からの申し開きをしている本は何を読めばいいのだろうか。

Globalization and Its Discontents

Globalization and Its Discontents

この本は英語で途中まで読んでいた。実体験に基づく話はなかなか迫力ある。

これが近著の邦訳だが、グローバリゼーションの趨勢そのものは不可避だとしつつ、「見えざる手」を信奉するネオリベ・グローバリゼーションは否定する。規制緩和による結果的被害を回避できそうな東アジアと、IMFの言うとおりに従った(従わされた)結果地獄に堕ちたラテンアメリカ、アフリカを、はっきりと区別している。そして、グローバリゼーションをまともなものにするためにも、二重基準を都合良く使い分ける米国に対して、きびしい批判を行なっている。

この本の日本語版への序文で、米国のサブプライムローン危機の可能性について言及しているところは、いまとなってはさすがという感じがする。