感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-11-28

[]応用哲学会シンポジウム

そういえば、こういうのに出ることになりました。

応用哲学会第一回年次研究大会開催のおしらせ

第一回年次研究大会のシンポジウムの内容の大枠が以下のように決定しました。

2009年4月26日(日)

京都大学文学部新館第三講義室

公開シンポジウム 「これが応用哲学だ!」

パネリスト  伊勢田哲治(京都大学)

       茂木健一郎(ソニーコンピュータサイエンス研究所)

       森岡正博(大阪府立大学

司会     戸田山和久(名古屋大学

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jacap/index.html

応用哲学会は、今年できた真新しい学会です。ここにはコミットしていこうかなと思ってます。問題それ自体を考える哲学の試みが、そろそろ日本でも根付かないといけない。輸入哲学一辺倒はもう終わりにしましょう。

[]近況など

約半月強の怒濤のような日々がとりあえず過ぎて、なんかようやく一息という感じです。もちろんまだ入試やら研究会やら論文審査やらいろいろあるけど、それはまあ通常の忙しさの範囲内。ということで、遅れ遅れになっていた来年刊行の本のゲラ直しをそろそろやらないといけないです。

今週、マレーシアの映画監督の方と心斎橋でお会いして、長く話をしました。なかなか面白そうなドキュメンタリー作家で、いまの企画について意見交換して、私も協力することになりそうです。その方は、ゆっくりと英語を組み立ててしゃべってくれるので、コミュニケーションはとてもスムーズでした。それに比べて私のブロークンな英語は超貧弱だと思い、反省しきりです。日本語でも私はあまりしゃべるのは得意じゃないからなあ。

そういえば、心斎橋ホテル日航は、1F喫茶店が喫煙、2F喫茶店が禁煙というふうに完全分離されていました。これは快挙。これで仕事に使えるようになった。その前に行った梅田ヒルトンホテルは、1F喫茶店が場所分煙で、煙が流れてきてほとんど意味なかったのに比べると、すばらしいこと。ほんとうはなるべく早く飲食店完全禁煙法・条例を作るべき。NY、ホノルル、ヨーロッパなどはもうそうなっているし、日本は遅れてるね、ほんとに。

2008-11-24

[]札幌

北海道大学で開催された応用倫理国際会議に、昨年に引き続いて参加してきました。今年は、Andrew Lightを招いてミニシンポジウムEnvironmental Pragmatismを企画し、約3時間のシンポを行なって、その司会をやってきました。けっこう刺激的で面白かったと思う。環境プラグマティズムというのは、ライトが提唱しているプラグマティックな方法論のことで、理念的な対立にこだわるのではなくというか、そこをスルーして、とにかく環境危機回避のために一緒にやれるところはやっていこうということを方法論とし、価値については多元主義に立つというもの。米国の環境倫理学を知っているものに取ってみれば、こういうことが提唱される背景は分かるのだが、日本ではどうなのだろうということを思った。と同時に、イントロでも私はしゃべったが、日本の場合は水俣病(など)の市民運動こそが環境プラグマティズムの原形としてとらえられるのではないかという気がした。水俣から見た環境プラグマティズムという企画は、機会があったら、むしろ米国でやったら面白いと思った。

札幌はいいところですね。北大周辺の人々は、雪が降っても傘をささない。女性も頭に雪をのっけたまま歩いてる。たしか米国東海岸の人もそういう感じだったなあ。家に入ったとたんに蒸発するから。乾燥地帯はけっこう好きかも。

2008-11-17

[]ソマリア・公開処刑

現在発売中のTIME誌に、ソマリアについてのレポートが載っている。Alex Perry "The Suffering of Somalia"。そのなかに、公開処刑された13歳少女についての文章がある。

Al-Shabaab (Arabic for Youth) now controls much of the south of the country, in the manner of the Taliban: on Oct.27, 1,000 spectators gathered at a sports stadium in the port of Kismayo to watch al-Shabaab stone to death a 13-year-old girl, Aisha Ibrahim Duhulow. Amnisty International says al-Shabaab arrested her and convicted her of adultery after she complained she had been gang-raped. (p.37 TIME EU version, November 24, 2008.)

Reuters通信は処刑の状況を以下のように報じている。

The 23-year-old woman was placed in a hole up to her neck for the execution late on Monday in front of hundreds of people in a square of the southern port of Kismayu, which the Islamist insurgents captured in August.

Stones were hurled at her head, and she was brought out of the hole three times to see if she had died.

When a relative and others surged forward, guards opened fire, killing a child, the witnesses said.

http://uk.reuters.com/article/worldNews/idUKTRE49R34D20081028

上記の記事で23歳となっているが、AP通信によるとこれは13歳の誤りだとのこと。

Initial local media reports said Duhulow was 23, but her father told Amnesty International she was 13. Some of the Somali journalists who first reported the killing later told Amnesty International that they had reported she was 23 based upon her physical appearance.

http://www.msnbc.msn.com/id/27484976/#storyContinued

TIME誌は、記事全体を次のように結んでいる。

Perhaps only in Somalia could the prospect of more war be a sign of hope. (p.37)

この最後の文章を肯定して良いのかどうか、私には分からない。

2008-11-02

[]ハンス・ヨーナス『生命の哲学』ついに刊行

ドイツの哲学者、ハンス・ヨーナス(ヨナスとも表記される)の主著、『生命の哲学』が刊行されました。

ヨーナスは、環境倫理学の領域では、『責任という原理』が有名。「将来世代への責任」論を展開して、環境倫理の哲学の立役者のひとり。そのヨーナスの哲学的生命論をあますところなく書いたのが、この『生命の哲学』という本。もっとも、原題は「有機体と自由」で、この日本語訳は直訳ではない。だが、私たちが大阪府立大学を中心に開始した「生命の哲学」プロジェクトの最初の翻訳の成果として、このタイトルは象徴的なものになったと思う。翻訳者は、大阪府立大学の同僚である細見和之と、大学院生の吉本陵である。今後、生命の哲学を研究するうえでの、必須文献になることは間違いない。(生命の哲学プロジェクトについては、論文「生命の哲学の構築に向けて(1)」を参照のこと。問い合わせ先はこちら)。

私はヨーナスには、生命倫理の領域でこれまで接触してきた。拙論「生延長(life extension)の哲学と生命倫理学」では、ヨーナスの哲学にかなり傾倒して書いた。近い将来、ヨーナスの生命倫理関連論文集が翻訳されたら、ヨーナスの、環境倫理学、生命倫理学、生命の哲学の3本柱の主著がそろうことになる。ハンス・ヨーナスは、日本ではまだ著名な哲学者とは言えないが、これからしだいに大きな存在になっていくことは間違いないと私は考えている。

ヨーナスは、ハイデガーにも学んだが、ユダヤ人ということもあって亡命し、晩年は米国で過ごした。ハンナ・アーレントとは互いに親友である。ヨーナスの環境倫理学に関する最近の研究書としては、品川哲彦の『正義と境を接するもの』がある。

正義と境を接するもの: 責任という原理とケアの倫理

正義と境を接するもの: 責任という原理とケアの倫理

ヨーナスの「責任という原理」と、ノディングスらのケアの倫理を考究した意欲作である。

ということで、「生命の哲学」プロジェクトを進めるうえでの必須文献が翻訳されたことを喜びたいと思う。