感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-05-30

[]フッサール・起源への哲学2

フッサール 起源への哲学 (講談社選書メチエ)

フッサール 起源への哲学 (講談社選書メチエ)

フッサール最後の境地「生き生きした現在」は、記号的観点から見るときに、「不在」であるということになると斎藤さんは言う。

これは「充満し・充溢する空」としての「時」(すなわち第一の意味での「生き生きした現在」)の次元の発見を経由した後の視点から見れば、こうした「空」としてのある種の「力」(趨勢)を中核に担う<現象すること>の全体(すなわち「世界」)が現に与えられているにもかかわらず、それがどこで・どのように与えられているのかを示すことができない、という自体にほかならない。(284頁)

だから、世界の「起源」というものは、ないことになる。

「生き生きした現在」あるいは「生世界」とも形容されるこの「空」(すなわち「超越論的主観性」)は、みずからの限界を画する「死」をもたない「無限なるもの」(「限定(界)なきもの」という意味での)なのである。

 フッサールは次のように述べている。

「超越論的な原初的生は無から生成することもできなければ、無へと移行することもできない。それは不死なるものである。というのも、死ということがそれにとってはいかなる意味ももたないからである」(Ms.KIII,6)。(285−286頁)

フッサールのこの言葉は、フッサールの試行を思うとき、けっこう胸に響くものがある。後期ハイデガーはこれをどう聞くのだろうか。斎藤さんの本書の思索は、フッサールか斎藤か不分明なものになっている。と同時に、「無の場所」を言っていた西田を彷彿させる気もする。

私自身は、生の湧出(「生き生きした現在」が指し示すもの)の「終わり」はあり得ると思う。湧出の「後」、湧出の「前」、湧出の「背後」はないとしても、湧出の停止としての「終わり」はあり得る。その点で、フッサール@斎藤とは袂を分かつことになるかもしれない。

2009-05-29

[]シンポジウム「死生学の可能性」

下記のようなシンポジウムに出ます。

シンポジウム

「死生学の可能性」

【日時】 2009年6月14日(日)14時〜17時30分

【場所】 本郷キャンパス法文2号館文学部1番大教室

【基調報告】

島薗進(東京大 宗教学)

【パネリスト】

金森修(東京大 哲学・科学思想)

最相葉月(ノンフィクション作家)

森岡正博(大阪府立大 生命学)

高橋都(東京大 医学・健康科学)

【司会】

竹内整一(東京大 倫理学)

【主催】

東京大学大学院人文社会系研究科・文学部

グローバルCOE「死生学の展開と組織化」

応用倫理教育プログラム

【問合せ】

グローバルCOE「死生学の展開と組織化」研究室

電話:03-5841-3736

FAX:03-5841-0259

※恐れ入りますが、電話でのお申し込みは受け付けておりません。

当日は、先着順に御入場いただけます。座席数:200席程度。(同時中継150席をご用意いたします)

http://www.l.u-tokyo.ac.jp/shiseigaku/ja/yotei/s090614.htm

生命の哲学プロジェクトの話でもしてこようかな。来週中に要旨を書かねばなりません。

2009-05-26

[]フッサールの現象学

フッサール 起源への哲学 (講談社選書メチエ)

フッサール 起源への哲学 (講談社選書メチエ)

斎藤慶典さんのこの本は、フッサールの考えていたことを理解する上で、なかなか役に立つ。だけでなく、斎藤さん自身の問題意識が織り交ぜられていて、単なる哲学解説書の枠を脱していると思う。斎藤さんは「現象する」ことへの根本的興味から現象学に接近していったようだが、その視点からのフッサール読解は読ませるものがある。

フッサールの解説書と思って読み始めたが、それを裏切る内容で、とてもよかった。みなさんにもお薦めしたい。あらためてフッサールは偉いなあと思ったし、今後の波及力もまだまだすごいものを秘めているなあ。

2009-05-20

[]草食系男子本

こういう本が出るようです。

草食系ビジネスマンのためのストレスフリー仕事術

草食系ビジネスマンのためのストレスフリー仕事術

うわさの草食系男子

うわさの草食系男子

書店がにぎやかになりそうですね。

2009-05-19

[]性犯罪者被害者氏名の通知

キリンさんのブログで、裁判員制度では性犯罪被害者の氏名が、裁判員候補者に開示される仕組みになっていることが紹介されています。これはびっくり。これをストップさせるための署名が本日まで行なわれているようですので、みなさんもぜひ注意喚起を。

21日より、裁判員制度が実施されます。その中で、性犯罪被害者の氏名が、裁判員候補には通知されることがわかりました。

http://d.hatena.ne.jp/font-da/20090517/1242572366

立場を超えて、賛同できるのでは。

[]「生命観を問いなおす」

生命観を問いなおす―エコロジーから脳死まで (ちくま新書)

生命観を問いなおす―エコロジーから脳死まで (ちくま新書)

1994年(15年前)に書いた『生命観を問いなおす』(ちくま新書)が、1500部増刷になるとのことです。ロングセラーとして読み継がれているのですね。本屋さんに行っても、置いてくれているところはあまりないのに、どういう経路で買ってくれているのだろう。この本は、もう内容が古くなっていて、データや社会情勢は過去のものだし、思想的にも私の古い考え方が書かれているので、個人的にはもう過去の本なのですが、それでも本としての生命は生き続けているみたいです。私の書いた本のなかで、いちばん多く読まれている本だったりします。いまだに大学入試・高校入試に出題されている。

2009-05-17

[]生命倫理会議@脳死臓器移植

すでにご存じの方も多いかと思いますが、衆議院に移植法改正の第4案であるD案が提出されました。脳死の子どもの事前の意思を聞かずに、親の承諾だけで臓器摘出しようという案です。この案で5月中に国会採決される可能性が出てきました。その拙速を避け、長期脳死などの実体解明と情報提供と脳死移植の枠組みの再考をするという目的で、小松美彦さんらが中心となって生命倫理会議というものが設立され、記者会見を行ないました。その模様を、生命倫理会議のブログで見ることができます。

http://seimeirinrikaigi.blogspot.com/

私も、拙速を避けることは必要と判断し、賛同者に名前を連ねました。賛同者一覧を見ると、この業界に詳しい人ならちょっとびっくりするような名前が集っていることがわかるでしょう。私自身、ちょっと驚きました。国会採決までもうほとんど時間が残されていないように思われます。何かの抑止力になってほしいと思います。学者は議員ではないから、法案提出することもできないし、投票することもできません。背景で力を尽くすしかないのです。

2009-05-14

[]herbivorous boys @ Japan Times

Japan Timesが、日本の草食系男子現象について記事を書いて世界に配信しています。内容としては牛窪さんと森岡へのインタビューが中心になってます。私の発言は、こんな感じで始まってます。

At the root of all these changes in the male species is the fact that men in Japan have been freed from pressures to "be manly," argues Masahiro Morioka, professor of philosophy at Osaka Prefecture University and author of "Soshokukei Danshi no Ren-ai Gaku (The How-to Guide to Relationships for Soshokukei Boys)," published in July 2008.

He attributes the soshokukei trend to the postwar peace Japan has enjoyed for the last six decades.

"The most 'manly' men, I think, are soldiers on the battlefields," Morioka said. "But the pressures for men to act manly have gradually faded over the last six decades. As a result, the (per capita) rate of murders committed by men in their 20s in Japan is now the lowest in the world. ........

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fl20090510x1.html

『草食系男子の恋愛学』は、The How-to Guide to Relationships for Soshokukei Boysって訳すんですね。なるほど。relationships だけで「恋愛」というニュアンスがあるんですね(辞書にも載ってました)。

ちなみにこの日の記事には、変貌する日本男性・女性についてのものがたくさん並んでました。たとえば

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fl20090510x7.html

http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/fl20090510x3.html

とか。

2009-05-08

[]草食系男子@発言小町

発言小町の「草食系男子はなぜ草食?」トピックスは、なかなか面白いです。

http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2009/0421/235849.htm?o=0&p=0

いろんな論点が渦巻いていて、現代のジェンダーを映す鏡になっている。

2009-05-03

[]ウィメンズ・アクション・ネットワーク

様々な女性たちをつなぐことを目指す「ウィメンズ・アクション・ネットワーク」というウェブサイトが立ち上がるようです。

http://wan.or.jp/

まだ準備中らしいですが、登録を受け付けているとのこと。趣旨の中に、「従来、女性問題、ジェンダー問題に拒否的あるいは無関心であった様々な層にも働きかけ、女性運動が蓄積してきた貴重な情報を届ける可能性を開くこと」というのがあり、もしほんとにこれができるとすれば、それは貴重な試みだろうなと思いました。

男性であろう私はなかなか距離感を取りづらい話題ではありますが、大事な試みと考え、紹介したいと思います。

[]Self mutilation band Dir En Grey

2008年ドイツの学会に参加したときに、日本のポップカルチャーについての講演があって、そのときに大学生がわんさか集まってきたことがあった。パンクっぽい男女もかなりいたが、そのなかの一人のTシャツの背中にDIR EN GREYと書いてあってこれはなんだろうと思ったのだった。その後、帰国してから調べてみたら日本のバンドだったのですね。海外ではもっとも有名な日本人バンドらしい。Youtubeにたくさんの動画があがっている。そのなかで、これは強烈かもしれない。(ドイツでのライブ)

http://www.youtube.com/watch?v=_o7KnRZnkwM&feature=related

(あえて埋め込みません。血がダメな人は見ないこと こちらも参照

http://www.youtube.com/watch?v=ABvx3YBlUgI&feature=related

(続き)

なんでここまで自傷するのかと思うが、たしかに音楽性は非常に高いと感じる。続きのほうがノリがいい。どことなくNirvanaを思い出した。50歳になっても歌い続けててほしい。

そういえばキヨシローが58歳の若さで亡くなりました。ライブ行きたいと思っていたのにショックです。RCサクセションは元祖ビジュアル系でした。

http://www.youtube.com/watch?v=yqOJu059y1k

合掌。

[]中島義道「時間論」

時間論 (ちくま学芸文庫)

時間論 (ちくま学芸文庫)

訳あって、中島さんの時間論をきちんと読んだ。これはなかなかの名著である。前にも書いたが、日本の哲学書は過去の哲学者の説を吟味することだけで終わる解説書がほとんどだが、この本で中島さんは自分のオリジナルセオリーを提唱している。それは、過去がひとつ前のいまとして切り出されることと相即に、そのひとつ後のいまが成立するというセオリーで、要するに、過去の成立が論理的(超越論的)前提となって現在が成立するということでもある。そういう視座から、ベルクソンの現在主義が批判され、大森荘蔵が批判されていく。

この本のセオリーは検討に値するだろう。(あとがきに私の名前がでているのもご愛敬)

あと、カント哲学のことがよく分かる。やっぱり中島さんはカント学者の素地が大きいのかな。それと大森さんか。時間のことと、カントのことがよく分かる本でしょう。カントの偉大さがほの見えてちょっと怖かった。でも負けないぞ。

2002年の書き下ろしということだが、最近の本で、過去中心主義はやめるというようなことを書いてあったのが不気味だ。このセオリーを否定するのだろうか?

中島さんの本は、一般には哲学エッセイのほうが読まれているが、実はこの本のような哲学書のほうがもっと評価されるべきであると思う。

2009-05-01

[]草食系ネタ

Yahoo!トップに、「肉食女vs草食男」診断というのがあったから、適当にやってみたら、一発で「草食度100%」が出てしまった。

f:id:kanjinai:20090501221411g:image

うーん。

しかし『草食系男子の恋愛学』の表紙絵の浅野いにおさんのイラストは、すごいインパクトだったですね。ほぼあのイラストで草食系男子のイメージができあがってしまったようなものかも。

草食系男子の恋愛学

草食系男子の恋愛学