感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-06-22

[]子どもが「長期脳死」にならないことを判定する脳死基準が必要だろう

朝日新聞が、小児科学会の検討委員会設置について報じている。

 脳死判定基準のほか、脳死状態にならないための小児救急医療態勢の整備、家族のケアのあり方などを議論する。人工呼吸器を着けて在宅療養している重症障害児は脳死とは異なるが、脳死と混同されやすく、こうした子どもたちが適切な医療を受ける権利についても話し合う。衆院で可決された臓器移植法改正A案に盛り込まれている親族への優先的提供の是非も議論する予定。 (太字森岡)

http://www.asahi.com/special/zokiishoku/TKY200906210155.html

上記の太字の部分は、問題発言ではないか。日本では現行法の縛りがあるから、「法的脳死判定(無呼吸テスト含む)」をされた小児は存在しない。(法的脳死判定外で無呼吸テストを実施された小児はいるが)。上を読むと、いま「長期脳死」と言って話題になっている小児は、「ほんとうは脳死ではない」と揶揄しているように読める。これは問題である。もう一度言うが、日本では、法的な次元での「本当の」(臨床的ではない)脳死判定を、15歳未満に行なうことはできない。だから、日本には、15歳未満の「本当の」「法的脳死判定された」脳死の子どもは存在していない。ややこしい話だが、重要ポイントなので押さえておいてほしい。

いずれにせよ、小児の法的脳死判定を日本で実施するのなら、「この判定基準を厳密に満たしたら、通常の集中治療ケア下で、将来ぜったいに長期脳死にはならない」ということが前向きに確証できる「非長期脳死判定基準」あるいは「短期脳死判定基準」を作成すべきである。子ども脳死臨調では、ここに議論を集中させなくてはならない。虐待脳死だけを議論して、終わり、ということにしてはならない。(前向きとは、疫学などでいう前向き研究のようなこと。もっと良いタームがあったら教えてください)

[]移植法改正A案提出者に望むこと

一学者がいまさら言っても声は届かないだろうが、B案の原案(森岡杉本案)の共同提案者のひとりとして以下のことを、参議院でA案を提出する方々に強く要望する。

(1)「子どもの脳死」に関する臨時調査会を作り、その答申があるまでは15歳未満からの臓器摘出を行なわないことを、附則に明記するか、あるいはガイドラインに記すこと。(幼い子どもの長期脳死の実態解明と、それへの対応指針は、いかなる案が可決されようとも、脳死移植実施以前に公的に議論しておく必要がある)

(2)A案では、脳死判定および臓器移植を本人の意思で拒むことができると明記されている。脳死移植拒否の公的な書式をガイドライン等で明記すること。そのときに、その書式が法的に有効になるためのハードルを高く設定しないこと。(拒否の書類には、親族のハンコが4つ必要で、半年前に役所に出しておかないといけなくて、さらに委員会の審査がある、とかいうような設定にしないこと)

(3)脳死移植拒否が法的に認められる年齢を明確にすること。(おそらく15歳になるだろうが、だとしたらこうなるのですか。14歳(中学2年生)が、「私は自分の信条で脳死は人の死と思えないから脳死移植を拒否します」と書類に書いていたとしても、移植コーディネーターが、脳死になったその子の親に、「はい、この子は14歳ですね、ですからこの脳死移植拒否の書類は法的に無効ですね」と言うのか。本人が「イヤだ!」と言っているのに、「そんなこと言われても知りません!」と答えるのか。年齢を下げるならどこまで下げるのか。)

(4)親族への優先提供条項を削除すること。(親族への優先提供は、ちっとも「人類愛」ではない。臓器移植は人類愛に基づいた崇高な医療ではなかったのか。世界を見渡しても、このような条項は存在しない。欧米のスタンダードに合わせることをあれほど主張していたのだから、この点についても欧米のスタンダードに合わせるべき。ちなみに、A案の原案を作成した町野教授も、親族への優先提供には反対している)

この4点を修正して参議院に提出するか、あるいは審議の過程で修正していただきたい。

* *

以上。コピペ配布自由。これは森岡の個人的要望であって森岡杉本案の共同提案者の杉本氏にご迷惑をかけるものではありません。(ちなみに森岡杉本案をベースにしたB案にも、親族への優先提供条項が付加されている。私はB案の親族優先提供条項にも反対している)。

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