感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-07-31

[]筑摩書房より批評系シリーズ「双書zero」創刊

筑摩書房から、若手・中堅の書き手による批評系単行本シリーズ、「双書zero」が創刊されます。第一弾は9月26日で、

 阿部真大『ハタチの原点―仕事、恋愛、家族のこれから』

 澁谷知美『平成オトコ塾―悩める男子のための全6章』

 中島岳志『朝日平吾の鬱屈』

の3冊が発売されます。まだ筑摩書房のサイトにも予告は出てないみたいだけど、担当の方が公表してもよいとおっしゃったので、とりあえず情報提供。手元にシリーズのパンフがありますが、宮台真司鷲田清一らの推薦の言葉が載っている。そのほかのラインナップを見ると、

 杉田俊介『非モテの品格』

 斎藤環『キャラクター関係論』

などもあり、面白そうですね。実は私も、宗教学の山折哲雄と対談した本

 山折哲雄・森岡正博『救いとは何か』(仮題)

が出る予定です(大家+中堅ですが)。まだゲラも出てないので先の話ですが、請うご期待。

創刊の辞として、「大人になっても、割り切れない。世の中的にはたぶんこれが正解。けど、もっと違う何かがあるんじゃないか? 考え出したら、キリがない。でも、考えるのをやめたら、その先へは行けない。ほんの数ミリでも前へ進むために。「しょせん、こんなもの」で終わらせないために。」とあります。

若い書き手を筑摩書房が本気でプッシュしようというシリーズなので、ぜひとも成功してほしいですね。主人公は若手、その脇役として中堅・大家が固めるという布置なのではと推測しています。このシリーズの成立時には、私もアイデアを出さしてもらったし、創刊に当たっては何かの形で盛り上げ役もやろうかなと思ってます。hatena界隈からも書き手が出てくるようになるんじゃないかなとも期待します。

[]草食系/肉食系の8パターンと草食系男子の肉声

サイゾーウーマンに、私へのインタビューが掲載されています。

http://www.cyzowoman.com/2009/07/post_762.html

http://www.cyzowoman.com/2009/07/post_763.html(これ、タイトルがミスリーディング)

その中で、『最後の恋は草食系男子が持ってくる』で解説した、草食系/肉食系男子の8つのカテゴリが、簡潔にまとめられています。

「草食系男子・肉食系男子」 8パターン

森岡氏著書『最後の恋は草食系男子が持ってくる』より

1)奥手の草食系男子

女性にどうやって接近したらいいのかわからない。

2)経験豊富な草食系男子

癒やし系で、女性とのやりとりに慣れている。女性に過度の期待を抱いていない。

3)奥手の肉食系男子

経験が少ないので、押しの一手で迫る。内にこもって悶々とする。

4)経験豊富な肉食系男子

女性の気持ちを探りながら、ダメもとで誘惑してみる。次々と口説く。

5)奥手の中身草食系・外側肉食系男子

男らしくなろうと努力している草食系男子。まだ経験不足。

6)経験豊富な中身草食系・外側肉食系男子

心は繊細で草食系なのに、女性を積極的にリードして楽しませることができる。パートナーと長続きする。

7)奥手の中身肉食系・外側草食系男子

肉食系の心を隠すために、草食系の仮面をかぶっている。2人きりになると突然襲ってくることもある。

8)経験豊富な中身肉食系・外側草食系男子

心に野獣性を持つが、女性に繊細に気を配って優しくすることができる。複数の女性との関係を苦にしない。

これは、

・ 草食系 - 肉食系

・ 奥手  - 経験豊富

・ 中身  - 外側

という三つの二項対立を掛け合わせて8つにしたもので、草食系男子・肉食系男子の「理念型」分類としては、けっこう使えるものになっていると思います。

もちろん、現実の男性がこの8象限のいずれかにぴったりと収まるわけはありません。これはウェーバーのいう「理念型・理想型」でありまして、個々の事象は理念型からはズレます。そのズレを計測することによって、個々の事象の特徴が捉えられるというわけです。(ウェブでは、「8つに分類できるわけないじゃん、血液型じゃあるまいし」という意見が多数出ていますが、レッテルと理念型の区別を理解しましょう)。この8象限をツールとして利用することで、いままで定義が混乱していた草食系男子の概念を、わりとすっきりと再整理することができるようになると私は思います。

それぞれの、もっと具体的な説明や、女性がアプローチするときの注意点などは、本の中で書きましたので、ぜひご覧あれ。

この本のいちばんの読みどころは、なんと言っても第2章の、リアル草食系男子4名へのディープインタビューでしょう。ここまで具体的に、彼らの心の中に入り込んで、声をすくい上げたものは、いままでなかったはずです。自分のことを草食系かもと思っている男性が読んだら、かなり共感してしまうのではないでしょうか。

たとえば、田村さん。結婚している。性欲はふつうにある。

森岡 草食系男子は一般に、見た目が女っぽい異性は苦手といわれていますよね。それはなぜでしょうか?

田村 『CanCam』モデルのようなルックスが苦手なのは、相手が女性っぽいと、自分は「男らしいリード」を求められているのではないかというプレッシャーを暗に感じるからなんですね。

・・・

森岡 草食系男子だという自覚はありますか?

田村 男性文化にそもそも違和感があったんです。たとえば飲み会の席で、男ばかりだと、夜が深まるにつれ、定番の猥談が飛び出す。それを僕はうまく乗り切れない。いつも、「何でだろう」と考えていました。

・・・

田村 女性とつきあうというのは、その相手を、肉体関係を含めた恋愛の対象として見ることです。だから、その女性が人間的に尊敬できたり、いい人であればあるほど迷うんです。いままで充分いい関係が作れているのに、あえてセックス込みの関係になる必要はあるのか?と。

蜷川さんの場合。恋愛はいつも受け身。

蜷川 その女性に好意を持つかどうか、ポイントになるのは会話かなあ。話をしていて感じがいいとか。外見はあまり決め手になりませんね。基本的には女性の話を聞くのは好きなので、彼女が話したいことを話してもらえば楽しい

・・・

蜷川 極端な話、法律的には結婚という形を取るにしても、性的な関係はない結婚もあり得ます。結婚する以上は、仲はいいほうがいいと思っています。でも、セックスはどっちでもいいなと。同世代の男性と比べても、性欲も低い気がする。相手もそれでよければ、快適に暮らせるほうが重要です、僕にとっては。

森永さんの場合。年上女性に惹かれる。

森永 好みの女性とつきあいたいというより、まずは友達として親しくなりたいと考えます。

・・・

森永 極論すれば、彼女がすごいキャリア志向なら、僕が仕事を辞めて主夫をしてもいいかなと思うくらいです。

平林さんは独身。子ども好き。

平林 あはは、男なので性欲はふつうにありますけど、セックスのためにつきあうのは嫌ですからね。だから風俗とかもあり得ないですね。・・・・ 僕は風俗に行くくらいなら、おいしいもの食べに行ったりほかのことにお金を使いますね

森岡 ただ、女性が平林さんの言葉を聞くと、風俗行かないのはお金かかるからだと思うんじゃないかな。

平林 無料でも行かないですね。

森岡 たぶん、そこが伝わってないんですよ。

このように4者4様である。が、共通するものは、はっきりとある。対談をしてみて気づいたことは、4人とも女性の女っぽい外見を本気で重視していないということ。会話がポイントであるということ。あと、自分が使った湯飲みはふつうに自分で片付けて洗おうとすること。つきあい状況は、結婚、友人女性と同居、独身などなど。

第2章では、かなりのページを割いて、彼らの生の声を紹介しているので、上記を読んで気になった人は他の部分も読んでみてください。「草食系男子」を茶化して作った他の本とは一線を画しています。

ウェブでは、草食系男子への批判も多数ありますが、彼らなりの生き方や、恋愛の進め方を、「男の当たり前な生き方のひとつ」として認めない人がいるということが、私には不思議です。

というわけで、男女の新しいあり方について、かなり真面目に作った本なので、ぜひよろしく。いまなら書店に並んでいると思います。

最後の恋は草食系男子が持ってくる

最後の恋は草食系男子が持ってくる

2009-07-30

[]移植法改正・参議院andNHKスピーチ全文公開

移植法改正直前の参議院厚生労働委員会スピーチと、改正後のNHK教育テレビ視点論点スピーチの全文を公開しました。内容はダブってますが、それぞれ重点やニュアンスが違います。

まるごと成長し、まるごと死んでいく「自然の権利」

:参議院スピーチandNHK教育テレビ「視点論点」スピーチ

http://www.lifestudies.org/jp/marugoto.htm

私が言いたいこと、言うべきことは、ここに凝縮されています。

[]草食系コメント

風花さんという方が、草食系男子本2冊にコメントをしてくださっている。

http://d.hatena.ne.jp/konekola/20090729

非常に共感的で、うれしいコメントであった。「恋愛学」に女性読者が意外に多いことの理由も分かった気がする。

[]大阪府立大学・新型インフルで全学休講

今週月曜日から、大阪府立大学は学生の新型インフルエンザ感染に対応するために、週末まで全学休講となりました。

新型インフルエンザの感染が学生に広がっているとして、大阪府立大は27日、中百舌鳥キャンパス(堺市中区)での全授業を同日から8月2日まで休講すると発表した。府立大によると、21日に同キャンパスに通う学生から初の感染者が出て以降、計40人の感染が確認された。部活動など課外活動も休止する。

http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/influenza/if90728a.htm?from=tokusyu

府立大の学生のみなさん、体調に気を配って、変調があったら外出しないようにしましょう。府立大で感染が広がっているということは、府内の大学にもかなり広がっているということでしょう。

他大学も、全学休講してるとこがありました。

和歌山大学

http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20090722ddlk30040323000c.html

龍谷大学国際文化学部

http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/090706/dst0907060006000-n1.htm

常葉学園短期大学

http://sankei.jp.msn.com/region/chubu/shizuoka/090728/szk0907280318003-n1.htm

立命館アジア太平洋大

http://mainichi.jp/area/oita/news/20090707ddlk44040555000c.html

いわき明星大

http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20090708ddlk07040191000c.html

茨城大学教育学部

http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20090716ddlk08040118000c.html

etc.

このままでいくと、冬の入試シーズンが非常に心配です。それまでにワクチン間に合えばいいのですが。

[]似顔絵作ってみた

f:id:kanjinai:20090730014052g:image

似顔絵イラストメーカー

http://illustmaker.abi-station.com/

2009-07-28

[]NHK教育・視点論点・脳死の子ども

7月29日(水)22:50 - 23:00 NHK教育テレビ「視点論点」に私が出演し、「脳死の子ども」についてしゃべります。

興味ある方はぜひご覧ください。

追記:

全文を公開しました。

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090730/1248938574

2009-07-25

[]オープンキャンパスで草食系男子について講演

大阪府立大学の受験生向けオープンキャンパスで、草食系男子について講演することになりました。保護者対象とのことなので、保護者の方はぜひおいでください。

<公開講座 8月8日(土)>

○11:00〜12:00(A5棟大講義室)

 ※予約不要

「大阪人発見」

21世紀科学研究機構 橋爪 紳也 教授

大阪市立大学関西大学との三大学連携事業や、大阪検定の取り組みなどを話題に、大阪の魅力と大阪府立大学の将来像を語る。

<公開講座 8月9日(日)>

○11:00〜12:00(A5棟大講義室)

 ※予約不要

「草食系男子の生態について:男らしさと恋愛のはざまで」

人間社会学部 森岡 正博 教授

最近、心優しく、ガツガツしていない「草食系男子」が若者に増えていると言われています。従来の「男らしさ」から逃れているように見える彼らの生態と、恋愛観についてお話したいと思います。

http://www.osakafu-u.ac.jp/admission/event/oc/index.html

[]米国・腎臓売買組織摘発・イスラエルから調達

米国のニュージャージー州で、汚職スキャンダルで市長を含む44人が逮捕されたが、その過程で、国際的な腎臓売買組織があることが明らかになった。

http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2624165/4390694

CNNによれば、おとり捜査で内定を進めていたFBI捜査官に、容疑者のラビが腎臓を調達できると言い、15万ドル(1500万くらい?)を提示。いままでどのくらいの腎臓を調達したかと問われて、10年間のあいだに「きわめてたくさんの数だ」と答えたという。2週間前にも売買したとも答えた。また、腎臓売買は違法だから、そのかわりに上記の手間料をくれと言ったとのこと。

"I'm doing this a long time," the complaint says Rosenbaum told the two agents. He then added: "Let me explain to you one thing. It's illegal to buy or sell organs. ... So you cannot buy it. What you do is, you're giving a compensation for the time."

At their last meeting, on July 13, Rosenbaum said he had been arranging kidney sales for 10 years, the complaint says. Asked how many transplants he had brokered, Rosenbaum is said to have responded, "Quite a lot. ... Quite a lot."

http://edition.cnn.com/2009/CRIME/07/23/nj.corruption.kidney/

これは実は氷山の一角ではないのか? 別件捜査の副産物で出てきたのだから。脳死移植が完全解禁されている米国で、この状況だということを認識すべき。

すべての腎臓ドナーはイスラエルから来た。

All of the donors "come from Israel," Rosenbaum is alleged to have said.

それで、手術はニュージャージー外(のたぶん米国内)で行なわれた。

The surgery was performed at a hospital outside the New Jersey area.

すなわち、腎臓ドナーがイスラエルから米国にやってきて、米国の病院で腎臓の生体移植を行ない、現金を渡したということだろう。いずれにせよこれは一人でできることではない。何らかの組織が米国か、あるいはイスラエルにあるはずだ。

Controlled DCD(ピッツバーグ・プロトコル)や、今回のことのように、米国の移植は疑惑にまみれているということを日本でもきちんと報道するべき。

2009-07-20

[]最後の恋は草食系男子、情報スレ

最後の恋は草食系男子が持ってくる

最後の恋は草食系男子が持ってくる

たぶん本書はまだ発売前だと思うが(23日発売されました)、下野新聞(栃木県の地方紙)のコラム「雷鳴抄」で言及されている。

 「心が優しく、男らしさに縛られず、恋愛にガツガツせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子」。大阪府立大学の森岡正博教授は近著「最後の恋は草食系男子が持ってくる」(マガジンハウス)で、最近増えてきた草食系男子をこう定義した▼ひと昔前なら「男らしくない」と切り捨てられたタイプだが、いまや20、30歳代の男性の30〜60%を占めるとの推計もある▼「若い時は草食系」だった森岡氏は今の草食系男子に「肯定的で共感的な気持ち」で書いたとあとがきに記す。

>続きはこちら http://www.shimotsuke.co.jp/special/raimei/20090720/176687

あまりの早さに驚き。AERAのインタビューも参照しているかも。誰が書いてくれたんだろう??

サイゾー 2009年 08月号 [雑誌]

サイゾー 2009年 08月号 [雑誌]

それと、雑誌「サイゾー」8月号に、私へのインタビューが載ってます。

【side-B】

”草食系男子の応援団長”森岡正博に聞く

ブームの先駆けとなった話題書の『草食系男子の恋愛学』の著書に聞く、昨今の「草食系ブーム」への違和感、そして女子のための「草食系男子の落とし方」。

「落とし方」って・・・。そういう言葉遣いは草食系じゃないのですが・・・編集者殿。

そういえば、報告するのを忘れていましたが、AERA7月6日号で、勝間和代さんと対談してます。

対談

勝間和代の「あの人をまねたい」哲学者・森岡正博

http://www.fujisan.co.jp/magazine/25/b/259900/?ncp=1

7月26日夜にNHKラジオで草食系男子・大特集をやるそうです。

彩菜の草食系男子はお好き?スペシャル

http://www.nhk.or.jp/shibuz/

[]カピバラいい!

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090719-00000024-maip-soci

カピバラが泳いでいる。涼しそう。いいなあ。

2009-07-18

[]草食系男子ネタ

最後の恋は草食系男子が持ってくる

最後の恋は草食系男子が持ってくる

7月23日発売の『最後の恋は草食系男子が持ってくる』の見本が届きました。なかなかきれいな表紙の本で、内容も濃いです。これは実用度、高いんじゃないかな。来週ぜひ書店で手に取ってみてください。男性の方も、第1章の、草食系男子・肉食型男子の8類型の部分は読んでみて損はないと思いますよ。自分のことを草食系男子と思う男性は、第2章の草食系男子インタビューで、「よく言ってくれた!」的な感じになるんじゃないかな。

ところで、ブログで、草食系男子へのアプローチ法についての秀逸なエントリーを見つけました。

http://koibara.jugem.jp/?eid=245

さすがアラフォー女性、男性を見る目が肥えています。

[]『いのちの砂時計』『終末期医療と生命倫理』『余命半年』『がんと闘った科学者の記録』

いのちの砂時計―終末期医療はいま

いのちの砂時計―終末期医療はいま

終末期医療と生命倫理 (生命倫理コロッキウム)

終末期医療と生命倫理 (生命倫理コロッキウム)

がんと闘った科学者の記録

がんと闘った科学者の記録

2009年7月12日日経新聞掲載

 二〇〇六年に、富山県の射水市民病院で、終末期患者の人工呼吸器が取り外されて死亡する事件が発覚した。これは殺人ではないかということで問題となったが、この事件は同時に、水面下で行なわれている数多くの類似のケースを浮かび上がらせることとなった。医師と家族が話し合い、末期で意識もない患者から人工呼吸器をはずす行為は、現場ではしばしば行なわれてきたことなのだ。

 共同通信社社会部『いのちの砂時計 終末期医療はいま』によれば、脳死ではない状態の末期患者から人工呼吸器をはずしたことのある救命救急センターは、アンケートに回答した九五施設のうち、三施設あったという。日本救急医学会による呼吸器取り外しのガイドラインも発表されたが、現場では混乱が続いている。

 この種の問題が国際的にもまったく解決を見ていないことは、飯田亘之・甲斐克則編『終末期医療と生命倫理』に寄稿された専門家たちの分析を読めば一目瞭然である。尊厳死、安楽死をめぐる各国の最新の状況は、混沌の一言に尽きる。同書に収められたフランスの報告書は、生命の尊重と生命を終わらせる措置のあいだには「目が眩みかねないようなディレンマ」があると述べている。延命治療へと突き進んできた現代医療が背負わなければならない代償は、二一世紀に入ってますます大きくなっている。

 ところで、私たちは、人が病院で死んでいくことのリアリティをどこまで知っているのだろうか。そのことを痛烈に問うているのが、大津秀一『余命半年 満ち足りた人生の終わり方』である。私たちが人の死に際について持っているイメージは、テレビや映画のシーンによって作り出されたもの、すなわち、ベッドサイドの家族に最後の別れを告げて、安らかに死に行くというものであるが、それは現実とまったく異なると言うのだ。

 実際には、死が目前に近づいてくると人は体力を失い、しゃべる能力も奪われて、大切な人と言葉でコミュニケーションすることすらできなくなる。そのときに後悔しても遅いから、まだしゃべれるうちに、家族や友人たちとゆっくり時間を取って会話をしておくべきだと大津は強調する。

 この本には、ステロイドの使い方など、末期がんの痛みの治療についての重要な話題が論じられているので、読んでおいて損はない。注目すべきは、大津のような、死のドラマ化に違和感を持つ医師ですら、「この有限の生を生きることの意味は何か」という問いにどこかで立ち会ってしまっている点である(『死ぬときに後悔すること25』)。

 立花隆が編集した、物理学者・戸塚洋二『がんと戦った科学者の記録』を読むと、そのあたりの消息が、さらに胸に染み入ってくる。戸塚は大腸がんを患い、それが転移して二〇〇八年に亡くなった。戸塚はがん闘病記を匿名のブログで公開し、死の直前まで自分で更新していた。そこを抜粋してまとめたのが本書である。

 戸塚は死後の世界を信じない。しかし、自分の命が消滅した後でも世界は何事もなく進んでいくということに気づき、慄然とする。戸塚は自分のがんを見つめながら、キリスト教や仏教の死生観について本を読み、思索をめぐらせていく。だが答えは出ることはなく、ブログは最後の更新を迎える。

 印象的なのは、戸塚が庭の草花の写真をたくさんアップロードしていることだ。咲き誇る花々の写真に、「我が家で芽を出したヘンリーヅタ。生命力を大発散!」、「自分を離れ他の生命力を見つめよ」と書く。最後の日記も、コチョウランについての記述である。

 大地からエネルギーを吸い取って咲き誇る自然の姿に自分を重ねることによって、人は終わりゆくみずからの生命を肯定的に閉じていくことができるのだとしたら、戸塚の求めた答えは、瑞々しい花々の姿をとって、すでに彼に与えられていたということかもしれない。


評者:森岡正博 (http://www.lifestudies.org/jp/)


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◆森岡正博の書評ページ(森岡執筆の書評一覧があります)

http://www.lifestudies.org/jp/shinano01.htm

◆LIFESTUDIES.ORG/JP

http://www.lifestudies.org/jp/

2009-07-13

[]今日は晴天

今日採決がある。マイノリティービューをこれまで持ってきた研究者として、外圧に屈せず言うべきことは言ってきた(外圧はあった)。立法プロセスにも直接関与した。あとは議会制民主主義が決定するだけである。これから研究者として、学術の世界でさらにこの複雑な問題を追究していく。社会的関与が必要なときにはする。前エントリーのコメントでも書いたが、この話題についてはとうぶんこのブログでは触れないことにする。2001年よりずっと公共的な議論してほしいと言い続けてきた。その黙殺のプロセスを私と一緒に見てきた人は、私がいま何を感じているのか分かるであろう。子ども脳死臨調は、私が長期脳死とラザロ兆候について『中央公論』誌に発表した2001年に設置を検討されるべきだった。2001年以降、この問題を新聞・テレビの記者に言い続けてきたが反応はほぼなかった。子ども脳死臨調の設置は、今回の採決のずっと以前に行なわれるべきだった。今回の衆議院、参議院の参考人質疑をちゃんと聞いた人は、いかに混乱のまま採決が迎えられたか、しみじみと分かっただろう。いずれ、言うべきことはまとめて言うことにする。adieu臓器移植法1997-2009。

2009-07-12

[]移植を待つ親は、子が脳死になったら臓器を出すか?

あしたの採決の前に、書いておきます。

もし仮にA案、A’案が通ったとしたら、これまで子どもの移植を訴えてきた親の方々は、つらい状況に追い込まれるのではないでしょうか。

それは、移植を待っているあいだに、不運にも、子どもが脳死になってしまった、あるいは心臓死になってしまったときに、親は脳死・心臓死の子どもから臓器を摘出して移植し差し出すかどうかを問われることになる、ということです。(いまはそういうことは日本では生じません)

このとき、

・ 親には、脳死・心臓死になった子どもから臓器を摘出する法的義務はありません。

これは確かなことです。

問題となるのは、

・ 親は、自分の子どもには臓器をくださいと言っていたのだから、自分の子どもが脳死・心臓死になったときには、自分の子どもから臓器を摘出して差し出す、道義的義務があるのかどうか?

という点です。言い換えれば、

・ 「うちの子どもに臓器をください!」と言っていた親が、自分の子どもが脳死・心臓死になったときに「うちの子どもの臓器はあげませんから」と言ったとしても、それはまったく道義的に問題はない、ということになるのかどうか?

ということです。(心臓死後でも、角膜、腎臓は摘出できます)

この問題を、A案、A’案が通ったら、親は引き受けないといけない状況になります。これはかなりやっかいな問題です。みなさんはどう思いますか?

子どもからの臓器移植というのは、本来こういう種類の問題なのです。物言わぬ1歳の心臓病のレシピエント候補もまた、死ねば(脳死になれば)ドナー候補となるのです。これがA案の切り開いていく世界なのです。

参考エントリー(さらに重要なこと):

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090708/1247014793

2009-07-11

[]そこまでやるか石井みどり参議院議員!

ここまでくるとギャグの領域なのですが、てるてるさん情報をコピペ。まずはお読みください。

7月10日参議院本会議

○石井みどり参議院議員

脳死の議論の際、小児には、長期脳死という問題がたびたび指摘をされています。

脳死状態であっても、髪の毛が伸びる、爪が伸びる、歯が生え変わる、

そして成長を続けていくと言われています。

テレビ等で報道されている、小児の長期脳死事例は、

いわゆる臨床的脳死と診断されているに過ぎず、

臓器移植法において求められる厳格な法的脳死判定に係る検査、

すなわち、無呼吸テストや時間をおいての2回の検査が実施されているわけではありません。

この意味においては、このような状態にある者は法的に死とされているわけではありません。

小児の脳死判定に慎重さが必要であるということは、当然でありますが、

単なる臨床的脳死と法的脳死判定により脳死とされていることは、

区別して議論する必要があるということを、まず指摘させていただきます。

石井みどり:自由民主党津島派所属の参議院議員。日本歯科医師会常務理事、日本歯科医師連盟顧問。http://www.ishii-midori.jp/top-01.html

#このエントリの意味が分からない方、あるいは要点がつかめない方は

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090708/1247014793

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090709/1247098881

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090709/1247151223

の時系列で、いま参議院で起きていることをトレースすると、驚きの事実がおわかりいただけるかと思います。

石井議員がここまでやる理由は、参議院「本会議」に出席している議員のほとんどは、厚生労働委員会には出席してないので、厚生労働委員会で小池議員にダメだしをされたことを知らないのです。だから、こういうふうに再度繰り返すことで、「長期脳死=脳死ではない」という「印象操作」を、(医学の素人の)一般議員たちに向けてしているわけです。確信犯です。もちろん議決は、本会議出席の全議員の投票によりますから、「印象操作」が成功したほうが数の論理で勝つという計算があるのです。このような議員を選んだわれわれ国民の責任は重いですね。

と同時に、「長期脳死」の問題というのは、移植A案推進者にとって、なにがなんでもどんな醜い手を使っても握りつぶしたい急所だということが、今回はっきりと分かりました。(もう遅いかもしれないけど、みなさんもっともっとネットで話題にしてマスコミ等に伝えましょう。マスコミの人は、けっこうブログとか、ホットエントリとかチェックしてますから。お知り合いのアルファブロガーの方々にも、いまリアルタイムで国会でこういうことが起きていると伝えてくれませんでしょうか。議決は13日です)

2009-07-10

[]川喜田二郎さん死去に寄せて

川喜田二郎氏が逝去された。89歳であった。川喜田氏は、京都学派の代表的学者であるとともに、KJ法の提唱者である。学問的スケールは大きすぎて、なかなか全体像はとらえきれない。文化人類学なのだろうが、独自の野外科学を提唱しつつ、アジア的?情報整理学としてのKJ法を打ち立て、その影響力はアカデミズムよりも、企業人のほうに大きかったのではないか。後期には、独自の生命思想を発言するようになった。俗に言う天才であろう。アカデミズムによって評価されなかった点が岡本太郎に似ている。

このブログを見ている方にとっては意外かもしれないが、私は20代の時に川喜田氏と何度も話をしたことがある。あるいきさつで、彼とやりとりすることになり、KJ法もいきなり彼から教わった(そのときにはKJ法とは何か知らなかった)。本人から直接エッセンスを教えられて、一緒にカード作りから、「思い」の読み取りまでやって、短時間で本質的なことを学んだ。ある晩、川喜田さんとふたりで横須賀線の電車に乗って東京に戻っているときに、私はふと思って、「川喜田さんは<伝統体>ということを言うが、それは<伝統身体>と言い変えてもいいのではないか」と尋ねてみた。彼は読んでいた分厚い英語の本をパタンと閉じて、「よくぞ言ってくれました。そのとおりです」と言って、私のほうを向いてにこりと笑った。川喜田さんのことを思い出すときに、いつも浮かぶのは、このときの笑顔である。

私の哲学は、川喜田さんの影響を大きく受けている。このことはいままでほとんど言ってこなかったが、訃報を聞いて、ここに記しておこうと思った。

2009-07-09

[]小池晃議員によって嘘は正された

福島豊衆議院議員によってなされた嘘発言かつ私の参考人発言を黙殺する発言は、9日に小池晃議員(日本共産党:7日に私に突っ込んだ質問をした人)の質問によって正されました。ありがとうございます。

てるてるさんによる追加情報:

http://terutell.at.webry.info/200907/article_2.html

からコピペ

*追加

2009/07/09の午前中の参議院での質疑より

○小池晃参議院議員の質問

提出者は、小児の長期脳死例について、おととい、富岡議員がお話しになりましたが、無呼吸テストや、時間をおいての二回の検査が実施されているわけではございません、と答弁されましたが、厚生科学研究の小児の脳死判定基準についての研究班の報告で、無呼吸テストを含む脳死判定を2回以上おこなって、脳死と判定された20例のうち、7例は心停止が30日以降にみられていますし、そのうちの4例は100日以降経過して、心停止に至った、と報告されていますので、先日の答弁は事実と異なるのではありませんか。


○福島豊衆議院議員の回答

先日の答弁につきましては、少し補足をさせていただきますと、現在、報道関係、さまざまなメディアで長期脳死例ということで、伝えられているところがあります。

そうしたことをどう考えるのか、そのように考えておられる国民の方もおられる。

こうした報道で報告されている長期脳死例とは、二回の脳死判定を必ずしも受けたものではないけれども、長期脳死とういうことで報道されていることもある。

そういったことについて触れさせていただいた、ということだと思います。

もちろん、委員が御指摘ありましたように、厚生労働省の研究班の報告書におきまして、7例の長期脳死症例、これは2回の脳死判定がおこなわれていまして、定義は明確になっていますが、一方で定義が明確でなくて、長期脳死例と報道されている事例もある、ということについて、指摘をさせていただいたのです。


○小池晃

おとといの答弁では、報道の例で、という頭はついていないんですよ。

一般的にお答えになっているんで、それは事実と違うんですよ、ということです。

今は、事実をお認めになりました。

要するに、無呼吸テストもきちっとおこなったうえでの、小児の長期脳死例は存在すると、いうことでよろしいですね。


○福島豊

同報告書では心停止まで30日以上等のものを、長期脳死症例としていますけれども、心停止までの期間が30日から90日のものが3例、100日以上のものが4例、あったと、承知をいたしております。


○小池晃

提案者としては、正確な事実を伝えていただきたい。

それが共通の理解の前提となると思います。

前の富岡勉議員の発言と続けて読むと、彼らの発言が、無知によるものではなく、確信犯によるものであることが分かる。だって聞かれたら論文データ知ってるしね。恥を知れ。

>>こちらに驚きの続きがあります

[]これが「政治」の醜さでしょう@参議院

7月7日午前に行なわれた、私の参議院での発言

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090708/1247014793

で、「無呼吸テストを2回厳密に行なったのち長期脳死になった複数のケース」を論文を引用して紹介し、「長期脳死は脳死でない」説を学問的に完全否定したのですが、同じ日の午後に行なわれた、議員間の法案説明で、それを公然と黙殺するやりとりが行なわれました。

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○石井みどり参議院議員

たびたび問題になっております、小児には、長期脳死という問題が指摘されております。

脳死状態であっても、髪の毛が伸びる、爪が伸びる、歯が生え変わる、そして成長を続けていくと、いわれています。

私はこのような状態は脳死ではなくて、重症の脳障害ではないかというふうに思っておりますが、

どうも正確なところが、無呼吸テストをしたうえでも、多少、体重の増加があったとか、

そういう例も一例あるようには、聞いておりますが、

種々言われていることは、メディアを見てましても、非常に混同されて報道されているような気が致します。

正確な御説明を御願いいたします。


○富岡勉衆議院議員

委員の御指摘のとおりだと思います。すなわち、小児について、

脳死状態であっても、髪や爪が伸び、また、歯が生え変わる、そして成長を続けていくという、

いわゆる長期脳死の事例が報告されていることは、わたし自身も承知しております。

しかしながら、これらの事例はいわゆる臨床的脳死と診断されているに過ぎず、

臓器移植法において求められる厳格な法的脳死判定に係る検査、すなわち、

無呼吸テストや、時間をおいての二回の検査が実施されているわけではございません。

こういうった意味におきまして、このような状態にあるものは、法的に死とされているわけではございません。

小児の脳死判定に慎重さが必要であることはもちろんのことでありますが、

単なる臨床的脳死と法的脳死判定により、脳死とされていることは、区別して議論する必要があると思います。

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午前中の参考人質疑は、いったい何だったのですか?

これがA案をごり押ししようとしている議員たちの醜さでなくて、何? 石井みどり参議院議員、富岡勉衆議院議員、君たちは何を聞いていたの? こんな嘘っぱちのやりとりで本会議になだれ込んで、投票となるのですね?

ポイントがつかめない方は、ぜひ私の発言

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090708/1247014793

と比較してください。

>>こちらに続きがあります

2009-07-08

[]長期脳死、本人の意思表示@参議院での発言

てるてるさんが、参議院厚生労働委員会7月7日の私の発言をまとめてくださいました。以下に貼り付けます。(細部の確認はネット中継をご覧ください)

参議院中継を実際にご覧になる方はおそらく少ないでしょうし、新聞などのメディアもほぼ報道しません。残るルートは、ネットだけです。コピペ自由です。

森岡正博

わたしは、衆議院提出B案の原案となった、いわゆる森岡杉本案の提唱者のひとりでございます。

内容としましては、おとなについては現行法のまま、

こどもについては、こどもにも意見表明の機会を与える、という案であります。

参議院におきましては、個人的には、E案に親近感を抱いております。

きょうはおもにA案に対して疑問点を述べさせていただきます。

まず第一点でありますが、これは親族優先提供であります。

A案の親族優先提供の条項は、削除すべきであると思います。

たとえば英国では、提供先の指定はガイドラインで禁止されております。

昨日もそうでしたが、ぬで島さん、あるいは、町野先生も、

削除ということをおっしゃっておりました。

私も削除です。

ですので、この点に関しては、議論の余地なく、削除、ではないかと私は思っております。

二番目は、本人の意思表示について、であります。

A案は、本人の書面による意思表示がなくても、脳死判定、移植ができる、としていますが、

これは国民のコンセンサスになっていない、と私は思っています。

2004年の内閣府調査、そして、2008年の内閣府調査、ともに、

本人の意思表示に賛成する回答が50%を越えております。

本人の意思表示が必要、ということについては、過半数の国民が現行法を支持している、と私は考えております。

新聞調査によっては、社によって意見が違います。

読売新聞は19.2%ですが、毎日新聞は52%。

ですので、政府の調査を見る限り、本人の意思表示の前提をはずすことに関しては、

国民のコンセンサスはない、といわざるをえない、と私は思っています。


三番目、長期脳死について、でございます。

こどもは長期脳死になりやすい、とされています。

長期脳死とは、脳死状態で30日以上、心臓が動き続けるケースでございます。

その間に、脳死のこどもは成長し、身長が伸び、歯がはえかわり、顔つきが変わる、と言われています。

A案は、このようなこどもを死体と断じるものであります。

日本移植学会理事長の寺岡氏は、7月2日の厚生労働委員会において、次のような発言をされておりました。

〔最近、繰り返し報道されている、いわゆる長期脳死につきましては、法的脳死判定の基準、

あるいは、小児脳死判定基準を完全に満たしている事例は存在せず、脳死とはいえません。

すなわち、無呼吸テストが実施されておらず、またその他の判定基準も一部しか満たしていないのが事実です。〕

これをお聞きになって皆さんは、長期脳死は、無呼吸テストをおこなっていないし、

法的脳死判定をしていないので、厳密には脳死ではない、と思われたのではないでしょうか。

ところが、昨日の、谷沢先生、島崎先生の御発言では、無呼吸テストをした長期脳死がある、と言われておりました。

事実は、どうなのでしょうか。

昨日も、丸川議員から、その点について最後に御質問があったと存じます。

それについて、私が、代わって、お答えしたいと思います。

2000年に、日本医師会雑誌に発表された、旧厚生省研究班の論文

「小児における脳死判定基準」というものがあります。

これは日本の小児脳死判定基準を定めた、決定版の論文でございます。

寺岡さんが発言で引用されていたものであります。

論文には次のように明記されています。

まず、

脳死とされる、6歳未満のこどもについて、

厳密に、無呼吸テストを2回以上実施して、

無呼吸が確認されたケースが、20例あった。

これは、小児脳死判定基準を厳密に満たしております。

そして、その20例のうちの、

7例、

が長期脳死になっています。

すなわち、無呼吸テストをおこなった、6歳未満の脳死のこどものうち、なんと、35%が長期脳死になっています。

さらに驚くべきことに、そのうちの4例、すなわち、20%が、100日以上、心臓が動き続けております。

これが、論文で発表されている事実です。

無呼吸テストを厳密に実施した脳死判定で、

脳死のこどもの3割以上が長期脳死になっており、

2割は100日以上、心臓が動いている。

我々は、まず、この厳粛たる事実を、胸にきざまなくてはなりません。

どうして、このような重大な事実が、国民に広く知らされてこなかったのでしょうか。

この論文は、日本で最も権威のある、脳外科の医師である、竹内一夫先生のグループによって執筆されたものでございます。

この論文の注に引用されている論文の一つが、

日本救急医学会雑誌2000年のもので、

「300日以上脳死状態が持続した幼児の一例」

というものであります。

これは兵庫医科大学のケースであります。

このケースでは、生後11ヶ月の男児が、脳死になったのち、

厚生省研究班の小児脳死判定基準を、2回の無呼吸テストを含め、厳密に満たしております。

その状態で、326日間、約1年弱、心臓が動き続けております。

論文には、2回の無呼吸テストを含む神経学的評価をおこない、基準を満たしていることを確認した、と明記されておりますし、

医学的には、本例は早期から脳死状態にあったことはまちがいない、と明記されています。

小児脳死判定基準を厳密に満たし、2回の無呼吸テストをおこない、脳死と判定されたうえで、

326日間、心臓が動き続けた、長期脳死の例が、はっきりとあるのです。

それだけではありません。

この間、身長が、74cmから82cmまで伸びています。

成長しているのです。

また、90日頃から、手足を動かし始め、いちじるしいときには、あたかも踊るように見えた。

いわゆるラザロ徴候というものですが、

手足の動きは、心停止まで続いております。

再度確認しますが、この兵庫医科大学のケースでは、無呼吸テストは、24時間あけて、2回、おこなわれています。

ここにもマスメディアの皆さんがおられますが、脳死についての正しい情報を是非とも国民に知らせてください。

心臓が100日以上動き続け、成長し、身長も伸びる脳死のこどもが、死体である、とする、国民のコンセンサスはありません。

また、長期脳死になるかならないかを見分ける、医学的な基準も発見されていません。

たとえ、親の同意があったとしても、長期脳死の可能性のある脳死のこどもを死体と断じ、

その身体から心臓や臓器を取り出すことは、危険すぎます。

これらの点について、こども脳死臨調で、専門的な調査をおこなって、その結論が出るまでは、

脳死状態のこどもからの臓器摘出を許可してはならない、と私は考えます。

(中略)

ドナーカードを持っていない人というのは、持たないことによって、何かの意思表示をしていると思うのです。

そのうちの多くの人々は、迷っているのです。

この、迷っていることを尊重すべきだと、私は思います。

我々には、脳死が人の死かどうか、臓器を摘出すべきかどうかについて、迷う自由があります。

この迷う自由を人々から奪ってはなりません。

迷う自由を保障するもの、それこそが、本人の意思表示の原則であります。

すなわち、迷っている間はいつまでも待っていてあげる。

もし決心がついたら申し出てください。

これが、本人の意思表示の原則なのです。これが現行法の基本的な精神となっております。

A案、すなわち、拒否する人が拒否の意思表示をすればよい、というA案では、

この、迷う自由、悩む自由というものが守られません。

なぜなら、あれこれ迷っていたら、迷っているうちに脳死になってしまい、

家族がもし承諾してしまえば、臓器をとられてしまうからです。

迷っていたら、臓器をとられてしまいます。

これが、わたくしがA案に反対する、大きな理由の、一つです。

最後に、脳死の議論で忘れ去られがちになるのは、脳死になった、小さなこどもたちです。

彼らは、生まれてきて、事故や、病気で脳死になり、そして、

ひょっとしたら、何もわからぬまま、臓器までとられてしまうのです。

あまりにもふびんではないでしょうか。

ここから、私の個人的な見解、といいましょうか、思想、哲学になるのですが、

こどもたちには、自分の身体の全体性を保ったまま、

外部からの臓器摘出などの侵襲を受けないまま、

まるごと成長し、そしてまるごと死んで行く、

自然の権利というものがあるのではないでしょうか。

そして、その自然の権利がキャンセルされるのは、

本人がその権利を放棄する事を意思表示したときだけではないでしょうか。

私はこのように思います。

そして、現行法の本人の意思表示の原則というものは、

このような考え方が具現化されたものではないかというのが、

私の解釈、考え方であります。

外国では、脳死のこどもからの移植が可能だというふうに、すぐに外国のことを我々は気にします。

しかし、日本は、実は、世界で最も、脳死について、国民的な議論をした国です。

その結果成立したのが、本人の意思表示の原則という、日本ルールなのです。

我々は、この日本ルールにもっと誇りを持とうではありませんか。

もちろん、移植法全体としては、昨日、ぬで島さんが指摘したような改善点は、当然あります。

しかしながら、本人の意思表示の原則というものは、世界に誇れるものだと思います。

わたしからは以上です。

参議院インターネット中継・7月7日

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/result_consider.php?page=3&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s=2009-01-05&dt_singi_date_e=2009-07-08&tx_speaker=&sel_speaker_join=AND&tx_anken=&sel_anken_join=AND&absdate=no&sel_pageline=10&dt_calendarpoint=2009-06-08&abskaigi=8 (7月7日をクリック!)

ビデオライブラリ

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/index.php

てるてる日記

http://terutell.at.webry.info/200907/article_1.html

この後、私は疲れ果て、ずたぼろになりました。ビデオライブラリでは質疑応答も見られます。

>>こちらに驚きの続きがあります

2009-07-03

[]参議院厚生労働委員会・参考人として呼ばれました

7月7日午前10:00より、参議院厚生労働委員会の移植法改正についての審議の参考人に呼ばれました。4人の参考人で、2時間の質疑となる予定です。泥沼の状況の中、非力ながら発言してきます。

2009-07-02

[]『最後の恋は草食系男子が持ってくる!』という本を出します

最後の恋は草食系男子が持ってくる! Amazon.co.jp

7月23日に、女性読者向けの「草食系男子」本を出しますました。前著の「草食系男子の恋愛学」を読んだ女性読者たちから、「草食系男子と恋愛するにはどうすればいいのかを解説した、女性向けの本を出してほしい」という数多くの要望をいただいていましたが、それに応える本をようやく刊行することができました。イラストは、おかざき真理さんです。

本書の内容は、

1 いま混乱している「草食系男子」の再定義・決定版・・・草食系・肉食系を8種類の理念型で説明します。

2 リアル草食系男子4名へのディープインタビュー・・・類書がなしえなかった、リアルな20代〜30代草食系男子の恋愛観、結婚観、人生観を、直接聴き取りました。いろんなタイプの草食系男子がいることがわかります。

3 この一年間、女性たちから投げかけられた48の具体的な質問に対して、必死で答えます。なかなか面白いですよ。

ネット上では、「草食系男子」というのは女性目線で、男性にレッテルを貼ってバカにする言葉という見解も多くありましたが、本書では、元・草食系男子である私が、草食系男子に対して共感的・肯定的な立場から、草食系男子との恋愛を解説し応援しています。草食系男子本は多いけれど、このようなスタンスは本書だけでしょう。

というわけで、以下に、「はじめに」の部分を貼り付けておきます。

最後の恋は草食系男子が持ってくる!

森岡正博

はじめに

 草食系男子とは、心が優しく、男らしさに縛られておらず、恋愛にがつがつせず、傷ついたり傷つけたりすることが苦手な男子のことです。

 社会の変化によって、草食系男子が生きやすい環境がおとずれました。その結果として、とくに若い世代では、身のまわりに草食系男子が少なくとも一人はいるという状況になってきました。好きになってしまった相手が草食系男子だった、という女性の声もよく聞かれます。

 ところが、これまでの女性向けの恋愛本には、草食系男子にどうやってアプローチしていけばいいのか、ほとんど書かれていませんでした。積極的にボディタッチをしたら、逃げられてしまったという失敗談も聞かれます。女性たちからは、「草食系男子と恋愛するにはどうすればいいのかを教えてほしい」という声があがっています。私は二〇〇八年に、若い男性向けの本、『草食系男子の恋愛学』(メディアファクトリー)を出版しました。そのときに学んだことをいかして、これから、草食系男子と恋愛するための方法について述べていきたいと思います。

 草食系男子との恋愛とは、どのようなものなのでしょうか。

 まず、草食系男子は心が優しくて、繊細で、言葉を通じたコミュニケーションを好みますから、対等でゆっくりとした恋愛を楽しむことができます。二人のあいだで行き違いが生まれたとしても、それについて話し合うことで、お互いの気持ちを確認し合い、仲直りして進んでいくことができます。ドラマチックな展開は少ないかもしれませんが、しみじみとした日常のなかで、二人でいることの幸せを再確認するような恋愛になるでしょう。癒し系の恋愛がベースとなります。

 草食系男子は、次から次へと女性に声をかけたいとか、たくさんの女性とセックスしたいという情熱を、ほとんど持っていません。そのかわりに、好きな女性とともにいる幸せな状況が、ずっと続いていってほしいと願っています。風俗や買春などにもたいした興味を持ちません。むしろそういうことには嫌悪感を持っていたりします。多くの女性にとって、このような男性は貴重な存在ではないでしょうか。

 そのかわりに、草食系男子は、女性に対して積極的に迫ってきてくれたりはしません。女性がただ待っているだけでは、恋愛が始まらないのです。かと言って、女性のほうから積極的に迫りすぎると、彼らは逃げてしまいます。では、どうしたらいいのかということですが、その方法を本書では述べていきたいと思うのです。

 第一章では、そもそも草食系男子とはどのような男子か、彼らはいったい何を考えているのかについて解説します。草食系男子と、その対極にある肉食系男子を、八種類に分類して、その心の中を見ていきます。これを読むことで、読者の草食系男子像はガラっと変わることでしょう。

 そのあとで、草食系男子にアプローチする方法について解説します。女性たちから寄せられた疑問に具体的に答えながら、草食系男子とうまく恋愛を進めていく方法を考えます。また、草食系男子がほんとうに増えてきているのかどうかについても調べます。

 第二章では、実際の草食系男子に私がインタビューして、彼らの生の声を紹介します。本人たちは、どういうことを考えていて、恋愛に何を望んでいるのか、その真実が明らかになるでしょう。四名の草食系男子の貴重な声を、ぜひ聴いてみてください。

 第三章では、積み残した話題について、Q&Aの形で答えていきます。女性たちから寄せられた具体的な質問に対して、できるかぎり詳しくアドバイスをします。。

深澤さんの本の文庫化、牛窪さんの2冊目の本なども刊行され、これで、草食系男子本はだいたい一段落なんでしょうか。

というわけで、ぜひ書店で手に取ってみてください。きっと女性向けエッセイ棚に並ぶのかな。

追記:

さらに内容紹介をしました。

「草食系/肉食系の8パターンと草食系男子の肉声」

http://d.hatena.ne.jp/kanjinai/20090731/1249022442

マガジンハウスのページから、他のページサンプルも読めます。

http://magazineworld.jp/books/1999/

連動企画として、雑誌『Grazia』『AERA』『サイゾー』(それぞれ7月中のいつか)にて、私へのインタビュー・対談が掲載されます。

関連書籍

草食系男子の恋愛学

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草食系男子の取扱説明書(トリセツ)

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草食男子世代―平成男子図鑑 (光文社知恵の森文庫)

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