感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-07-30

[]「手招くフリーク」

手招くフリーク―文化と表現の障害学

手招くフリーク―文化と表現の障害学

倉本智明さん編著の、マージナルな位置にあると思われている人々やそれに関する観念についての論考を集めた本。著者たちの多くは1970年代生まれの若手研究者たちであり、現在形の新鮮な問題意識のありかを知ることができる。障害学とカルスタがゆるやかに結合したような領域なのだろうか。アルビノについての2本の論考は興味深かった。障害学、倫理学、社会学のあいだの緊張関係を認識しているかぎりにおいて、これらの試みは着実な意味を持っていくことだろう。

[]「救児の人々」赤ちゃんをどこまで助ければいいかという問い

救児の人々 ~ 医療にどこまで求めますか (ロハスメディカル叢書 1)

救児の人々 ~ 医療にどこまで求めますか (ロハスメディカル叢書 1)

熊田梨恵さんによる、高度新生児医療の狭間に落ち込んだ人々へのインタビュー本。ここに捉えられた言葉は貴重なのかもしれない。下記の言葉は31歳シングルマザーの母親のもの。早産で生まれた子は生まれつき脳に障害があり、母親と意思疎通することすらできない。母親はキャリアを絶たれ24時間介護をしている。

「もしこの子がいなければ」と考えないことがない、と言ったら嘘になると思いますよ。子供が助からない方がよかったのかもしれないと、言ってはいけないとは分かってますけど、やっぱり思うことはあるんです。でも、そんなことを言えば、自分は地獄に堕ちると思うし、何よりも生まれてきてくれたこの子に申し訳がなさ過ぎますよ。「子供は神様からの授かりもの」という言葉を聞くたびに、そう思えない自分が嫌いになります。私が思うのは、「産んでしまって、ごめんなさい」なんです。こういう気持ちをどうすればいいのか、本当に分からなくて、助けてほしいですよ。(p.36-37)

あ、これも自分勝手なのかもしれないですね。救われたいんです。救いようがないから。あの子がこれからどうなるかも分からないし、私も仕事辞めてしまった。親だってこれから歳をとります。先が全然見えないです。 ・・・ インターネットとかにある障害のお子さんのお母さんの育児日記とか、吐き気がします。ごめんなさい、変なこと言って。自分にという意味でね。別にいいんです、とても素晴らしいし素敵です。受け容れて、前向きになって笑顔の写真とか・・・。でも私には絶対できないって。もう前向きになんてなってやるもんか、みたいな。(p.46-47)

あの子の幸せは、この子が自分でどう感じているかだけど、分からないじゃないですか。話せないし、表情もよく分からないし。せめて話してくれたらなって。聞きたい。翔太に「生まれてきてよかった? 今どう思ってるの? 何感じてるの?」って。それから、もし答えてくれるなら、「私のこと好き?」って聞いてみたいなあ(苦笑)。お母さんのこと好き? おばあちゃんのこと好き?って。・・・(p.374)

インタビュー詳細は同書で。熊田さんはこの母親に、「まだ翔太君が生まれなかった時に戻りたいと、思われることはありますか」とも問うている。

2010-07-22

[]論文販売する学生たち

論文販売サイト、ハッピーキャンパスで、自分の大学時代のレポート、卒業論文「中絶と女性の権利」、バーミンガム大学への留学願書、富士通その他へのエントリーシート等々を販売している「有名国立大生」がいます。卒論はどうも本物の卒論みたいですね。(私の本への言及あり)

http://www.happycampus.co.jp/docs/957001582434@hc10/

新たに創作した文書を売るのは自由だと思うが、本物の卒論というのは、一緒に文章を推敲したり資料探しした指導教員たちとの共同作業という側面もあるわけだから、そういう人々への許可なしに売っているとしたら道義的問題は発生するのではないかとも思う。

いずれにしても卒論指導等への意欲を削がせる話ではありますな。しかしこんなに個人情報漏らして大丈夫なのか? 

2010-07-18

[]奈良の仏像たち

三井記念美術館で公開されている「奈良の古寺と仏像」展に行ってきた。

http://butsuzo.exhn.jp/

しぶい展覧会なので世間の注目は集めてないのかもしれないが、とても良い展覧会だった。奈良の古寺を現場でめぐるというのは、それぞれの場所が離れていることもあって、なかなか難しい。それらの寺の仏像たちを一同のもとに見れるのだから、よい企画だと思った。実際、最後の陳列室に並べてある重文・国宝の仏像たちは、どれも異様に個性的で、世界の至宝だと思う。小さめの仏具もまた奇妙で面白い。おすすめである。

2010-07-15

[]府立大院生による研究ブログ

府立大大学院の主に思想系院生による研究ブログが開始されているようです。

「府大池のほとり」

http://fudai-jinka-insei.blogspot.com/

かつて私の大学院時代の指導教員は「教師がいなくても学生は育つ!」と言い放って私を放し飼いにしていました。が、それと同じ言葉を吐きたくなった私はかつての彼と同じ年齢に達したということだろう。

2010-07-12

[]日経新聞・プロムナード

先週から、日経新聞全国版火曜日夕刊の「プロムナード」欄でエッセイの連載を開始しました。12月まで続きます。ご関心のある方は見てみてください。

2010-07-04

[]改定臓器移植法施行を問う

公開シンポジウム:「改定臓器移植法」施行を問う

   主催:生命倫理会議

7月17日、「改定臓器移植法」が施行されます。私たち生命倫理会議は、生命倫理の教育・研究に携わる大学教員からなる組織で、国会におけるこの法改定をめぐる意見聴取・審議が行われていた昨年初夏、批判的な立場から3回の声明文発表と記者会見を行いました。また、本年5月、『いのちの選択――今、考えたい脳死・臓器移植』(岩波ブックレット)を出版し、さらに法改定と脳死・臓器移植そのものの問題性を世に問うてきました。

 しかし、いよいよ施行の時です。そこで、下記のような催事をもち、あらためて多くの皆さんと広く深く考えたいと思います。ご参加を心待ちにいたしております。

 日時:7月11日(日)13時半開場、14時〜17時

 場所:専修大学神田校舎7号館731教室

     http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/campus_info/kanda_campus/index.html

     第一部:講演「法施行をめぐる現在」

       川見 公子(臓器移植法を問い直す市民ネットワーク)

       永瀬 哲也(バクバクの会・脳死に近い状態と診断された子どもの父親 )

     第二部:シンポジウム「「いのち」はどこへ向かっているのか――改定臓器移植法と日本社会――」

      シンポジスト

       高草木 光一(生命倫理会議・慶応義塾大学)

       堀 一人(大阪府立槻の木高校社会科)

       光石 忠敬(弁護士)

       山口 洋 (医師・順天堂大学〔循環器内科〕)

      司会

       田中 智彦(生命倫理会議・東京医科歯科大学

      総合司会

       慎 蒼健(生命倫理会議・東京理科大学)

[]ewoman臓器移植家族の同意だけでいいか

ewomanでぬで島次郎さんが、臓器移植家族同意だけでいいかという意見聴取をしています。タイムリーな企画ですね。

http://www.ewoman.co.jp/report_db/id/3023/dow/1

2010-07-02

[]人間の能力増強のためには男女産み分けで女の子を産むべきである

ということになるがどうする?という論文がAJOBに掲載されたようです。

http://www.informaworld.com/smpp/58638359-44577984/content~db=all~content=a923305121~frm=titlelink

Robert Sparrow, "Should Human Beings Have Sex? Sexual Dimorphism and Human Enhancement", The American Journal of Bioethics, Volume 10, Issue 7 July 2010 , pages 3 - 12

the most efficient way to do this is to use sex selection technology to ensure that only girl children are born. There are significant restrictions on the opportunities available to men, around gestation, childbirth, and breast-feeding, which will be extremely difficult to overcome via social or technological mechanisms for the foreseeable future. Women also have longer life expectancies than men. Girl babies therefore have a significantly more “open” future than boy babies.

人間の能力増強のためには、産み分け技術で女の子だけが生まれるようにするのがよい。なぜなら妊娠、子育て、母乳などの点で女性のほうが上回っているし、女性のほうが男性より寿命が長い。だから女の子の赤ちゃんのほうが、男の子の赤ちゃんよりももっともっとオープンな未来に開かれている、と。

アブストラクトしか読めないので、論文でどういう議論をしているのかは取り寄せないと分かりません。うちでは定期購読してないので。

しかし、これまでのフェミニスト系の論理だと、「男たちは人間の能力を増強するためなら男女産み分けで男の子を産むべきであると言うことだろう(ひどい女性蔑視主義!)」というふうになるわけですが、そうなってないところに新鮮さがありますね。ちなみに著者はこの方です。

http://www.arts.monash.edu/bioethics/staff/rsparrow.php

東大の国際集会でも発表されていました。

[]男子家事

いま発売中の雑誌『クロワッサン』7月10日号が、「家事嫌いの練習帳」という特集を組んでいるが、その中で、「男子家事」の対談を、漫画家の石坂啓さんとやりました。マガジンハウス社の瀟洒なスタジオで対談をしたのですが、壁床天井一面真っ白で、普段はここでモデルさんの撮影とかしてるっていう感じでした。風呂場やカウンターのセットまであったし。

アマゾンに出たらリンクしておきます。

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