感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2012-02-13

[]「プラグマティズムと哲学の実践」シュスターマン

ユダヤ系米国人の哲学者が、ヴィトゲンシュタイン、フーコー、デューイらを「生命の哲学」として読んでいくという野心作。英語の副タイトルにはThe Philosophical Lifeとあり、私のいう「生命の哲学」と同じものを指向していると言ってよいだろう。著者は、アカデミズムによる知のゲームと化している現代哲学ではなくて、実際に哲学者によって生きられる哲学実践というものの復権を訴えているように思える。ここにも見られるように、ヴィトゲンシュタインを、生命の哲学者として見ていくというのが今後の潮流となるだろう。著者によるまえがきでは、東アジアと日本の哲学にも触れており、この路線での東西の哲学の対話というのはこれから有意義であると思う。たまたま書店で手に取ったものであるが、まださほど話題ににもなっていないようなので、このエントリーを書いてみた。ただ定価は高いかもしれない。

[]「ブッダ 真理のことば 100分de名著」

『ブッダ 真理のことば』 2011年9月 (100分 de 名著)

『ブッダ 真理のことば』 2011年9月 (100分 de 名著)

佐々木閑氏による「ダンマパダ」の解説書で、昨年のNHKテレビテキスト。これは非常によくできた入門書で、とてもお薦めです。日本仏教は北方系(北伝)なので、ブッダ本人の教説がオリジナルに近い形では一般に広まっていない。そろそろそれを正す必要があるのではないだろうか。

ブッダの真理のことば・感興のことば (岩波文庫)

ブッダの真理のことば・感興のことば (岩波文庫)

原著は中村元のこの本が定番。

[]カント「純粋理性批判」熊野純彦

純粋理性批判

純粋理性批判

学部院時代の同級であった熊野純彦による、『純粋理性批判』の新訳。全1巻箱入りで自信に満ちた作りの本である。本のどこを見ても、訳者による解説やあとがきというものがない。まさにカントの著書の翻訳そのものを差し出された感じである。訳者による余分なものがないという点で、逆に訳者の自信のほどがうかがわれる。訳文は、パラパラっと見た限りでは、読みやすくクリアーであるような印象を受ける。この本の翻訳としては、理想社全集版、岩波全集版、平凡社原版、以文社宇都宮版、光文社中山版などが選択肢かと思うが、それにもう1冊増えたことになる。日本人はほんとうにカント好きである。