感じない男ブログ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2008-02-22

[]大戦間期ポーランドの平和構想

『現代文明学研究』に、新論文、仲津由希子「殺めるなかれ、盗むなかれ、貪るなかれ:大戦間期ポーランドの平和構想」が掲載されました。中世から現代のポーランド史を振り返りながら、国際連盟の「戦争禁止宣言」につながるような、独自の平和運動への貢献が、なぜポーランドから出てきたのかについて、自然法との関係に着目しながら大胆な仮説を提出する意欲論文です。

 当時のポーランドには、自然法的国際法秩序感覚が残存していた。その世界観は、≪人を殺してはならない、貪ってはならない、人から盗んではならない≫のと同じように≪国を殺してはならない、貪ってはならない、盗んではならない≫という哲学によって支えられていた。人が生きる条件である国を奪うことは、その人間の自立と自由をも奪う。ポーランド人は1795年に祖国を失い、その後、約120年ものあいだ、他国支配下にあった。この歴史的実体験を通じて、ポーランド人は、Włodkowicが萌芽的に示した発想を、さらに確固とした規範意識として感得していった。そして大戦間期、ポーランド人はこの規範意識を法源としてふたつの軍縮運動を誕生させた。人と国家の略奪を許さないためには、いかなる具体的抑止政策が必要か。度々、正戦を経験したポーランド人は、人間の認識能力や利他精神が有限であることに自覚的であった。戦争の大義や倫理について、どんなに熟考を重ねたところで、正戦は、誰かにとっては必ずや倫理的に正当化されえないものとなりえる。それゆえ、論理・理由の如何を問わず、とにかく戦争というものを全面的に禁止せよと主張した。

あえて史学の枠組みを超えることで、他領域にインパクトを与えるものになったと思います。ぜひご覧ください。

現代文明学研究』は投稿型・査読付きのウェブジャーナルで、CiNiiデータベースにも論文タイトルが採録されており、キーワード検索できます。日本でもほとんどない完全投稿型でウェブベースの学術誌です。10周年を迎えましたが、今度とも有意義な論文を発信していきますので、ぜひお見知りおきを。