せんだい歴史の窓

(目次から)
・米どころへのみちのり
(「六十二万石」の真相.)
・人と生きる動物たち
 (消えた動物たち.)
・史跡が語るくらし                         
・城を歩く(・仙台城・北目城・若林城白石城・岩切城・松森城)
政宗を読み直す(伝承と史実.)
仙台城下事件帳(正体は蘭方医.)
・城下町の面影(屋敷林の恩恵.)
・名産物(銘菓の系譜.)
・藩政をめぐって
 (伊達騒動の事実.)
・古刹を訪ねて (大年寺の
 盛衰.)

・古道を歩く(忘れられた宿
 場町.)

・正月の風景(「大酒」の国!.)


“史的仙台ノート”
3.11大震災を超えた仙台発の好著として紹介したせんだいノート歴史編ともいえる菅野正道氏の『せんだい歴史の窓』が発刊された(河北新報出版センター)。
 教科書にはない仙台の近世を中心とした興味深い記事が満載。それらしい嘘をやわらかく指摘する文は歴史に興味のある人にはたまらないし、(とても読みやすいので)「歴史嫌い」の方にも今年一番のお勧め(840円とお値段も安い)。
それもそのはず、筆者の菅野氏は、大学時代、日本中世史を専攻するかたわら発掘調査、そして、現在は仙台市史編纂室長(仙台市博物館)という理想的な経歴。
河北新報連載時から評判であったが、さらに10本の新稿が加わっている。
ほんの一例、
仙台味噌の話

(仙台市文化財課「文化財せんだい」no.90 H20)
今日の朝食は味噌おにぎりだったが、菅野氏の好物でもあり、「第八部 名産物」の「味噌をつける 江戸の住民まず評価」の項には、江戸「品川屋敷は「仙台味噌屋敷」の異名が付けられる」ほど仙台味噌は江戸の人たちに評判だったという。そして、東京で食べられた仙台味噌は、東京で作られたものであり、その評判の結果、交通の発達する明治中期からようやく仙台から味噌が県外に運ばれたとのこと。
さらに「伊達政宗が「御塩噌蔵」を造ったのが日本最初の味噌工場」というのは、仙台味噌の伝統に「味噌を付けるような」誤りで「御塩噌蔵」は政宗期に遡らないとう痛快な筆致。
仙台味噌 - Wikipedia
「仙台味噌(せんだいみそ)は、仙台藩初代藩主伊達政宗仙台城下に設置した御塩噌蔵(おえんそぐら)と呼ばれる味噌醸造所で作らせた味噌にならって製造されている味噌のこと。米麹と大豆でつくられており、辛口の赤味噌である。風味高く、そのまま食べる事もできるため「なめみそ」とも呼ばれる。」
東京都味噌工業協同組合 八木合名会社仙台味噌醸造所
(「明治維新になり、伊達藩では味噌蔵と質屋(当時の金融機関で銀行と質屋の中間の性格を持つものだったらしい)を経営していたが、仙台から遠藤敬止(後の七十七銀行頭取)、佐藤三之助、八木久兵衛等5名を呼び、払い下げた。(中略)八木は味噌蔵を引き継ぎ、明治35年7月法人組織とし合名会社を設立」)
民俗文化財仙台味噌

 そして、仙台藩政宗から庶民に至るまで仙台は「大酒の国」だったようで、政宗が飲み友達の柳生宗矩から紹介してもらった奈良の又右衛門に本丸直下で酒を造らせたことが述べられる。
発掘された造酒屋敷跡(仙台市教育委員会文化財課HP)
もう一つ
町屋の風景

(本書にでてくる旧丸木商店 仙台市景観重要建造物)
同感したのは、「第七部 城下町の面影」の「町屋の風景」の一節。
「「伊達文化」を標榜する一方で、その「文化」を支え、人々の営みの支えとなってきた建物や歴史的景観は壊滅してしまった。古いものを大事にしない一方で、安易に「伊達」を連発する風潮がある」
http://www.city.sendai.jp/toshi/keikan/kenzoubutsu/kenzoubutsu.html
3.11大震災で東北太平洋岸の歴史遺産は大きな被害を受け、歴史的建造物は徹底的に失われました。
http://www.miyagi-shiryounet.org/03/news/2011/2011news.html
かろうじて残った歴史的建造物には、きちんと耐震補強した上で、民官協働で、大いに震災復興・再生に役立てていくべきです。
Please sign! 署名依頼:荒巻配水所の保存要望について: まち遺産ネット仙台
仙台歴史遺産 - 因縁果子
 
http://www.kahoku-ss.co.jp/rekishimado.html
・目次全文
東北文庫:河北選書 せんだい歴史の窓
◎さらに調べたい事は『仙台市史』や仙台市教育委員会文化財課刊行本で
http://www.city.sendai.jp/kyouiku/museum/shop/kankou/kankou05.html
http://www.city.sendai.jp/manabu/bunkazai/shiryo/1307.html

そして、ぜひ、震災で甚大な被害を受けた仙台領の歴史的遺産を踏まえた続編を期待したいところ。
http://flat.kahoku.co.jp/u/yukan_kahoku/6envgaHx0zjMZtsId37N/
また、河北選書のシリーズとしては、仙台平野の膨大な発掘調査の成果を生かした原始から中世を中心としたビジュアルな本の刊行が期待されます。

(仙台市文化財パンフレット第55集)

       ex井内石の旅

なお、青森のこの分野の本では、関根達人さんの‚ ‚¨‚à‚è—ðŽjƒ‚ƒmŒê‚èがお勧めです。

◎お気に入り曲─今も聞いています

My Song

My Song

ジャズはそれほどでは、ないのですがキース・ジャレットは氣にいってます。
  彼の声が聞こえています