名前:中山涙 (由来=ペンネームが決まりました!)
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近著「浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜」(マイナビ新書)
2009-08-26(Wed)
水道橋博士が語る、友野英俊と桜庭一樹との出逢い。
お笑い |
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過去のエントリー:
タスカプレミアム様経由で、TBSラジオ「小島慶子 キラ☆キラ」のポッドキャスティングを聴いた。ゲストは水道橋博士で、内容は、桜庭一樹と結婚した友野英俊について。
とにかく想像以上に凄い話だったので、記録のために書き起こしてみました。
まずは博士と友野の出会いから。
博士:友野英俊っていっても、まだ知らない方が多いと思うんですが、えー、38歳になるのかな? 吉本のピンの芸人さんで、まあ売れてはないんですよ。
でも、僕はよく知ってる人なんですね。というのが、この友野くんっていうのは、デビューが16歳か17歳ぐらいの時なんですけど、大阪から、家出同然で東京へ来て、ラママコント大会っていう、新人コント大会っていうのがあるんですけど、そこのライブハウスで、初めて彼が、、、コーラスラインっていう新人が出られるコーナーがあるんですけど、そこに出てたんです。
で、体重、、、彼今でも50キロないと思うんですけど、もうヒョロヒョロなんです。で、16、7じゃないですか。それで、わ、この子、捨て犬みたいな子だな、とか思いながら、話しかけて。
で、なんか浅草キッドのことも知ってたんです、当時。
それで、「実はたけしさんの弟子になりたいんですけど」とか聞いたんで、
「あ、そうなの? どっから来たの?」
「大阪なんです」
「今日どこに泊まるの?」
「泊まるあてはないんです」
もうほんと、捨て子同然じゃないですか。いや、それは可哀想だな、ということで、飯を食わせて、その日、玉袋筋太郎の部屋に泊めたんです。
で、そのまま大阪へ帰して、また、もっと計画立ててから出てきなさいよ、っていうような話をして。
だから僕らとしては鮮烈なイメージありますよね。初ステージを見てるわけだし、その日、泊めてあげた人だから。
そして、「放送室」でも語られた、ダウンタウン浜田との奇跡の遭遇。
博士:で、その後、東京へ出てくるみたいな話があって、で、なんかとにかく、本格的に東京へ出てくる準備をしてたんですって。
そしたら、部屋もだいたい決めたところで、いざ東京へ出てくるって時に、最終の新幹線に乗ろうとして、乗り遅れたんですって。
それで、もう「ああ、どうしよう」って、新大阪の駅で頭を抱えている時に、たまたまその横に来た、、、公衆電話のとこにいたんですって。そしたら横に来たのが、ダウンタウンの浜田さん。
小島:すごく運のいい人ですねえ。
博士:すごいでしょ。で、「君どうしたんや」、まあ、お笑いの追っかけだから、知ってたんですって、少しは。
小島:ああ、よく見る顔だなあと。
博士:で、「いや、実は芸人になろうと思って、今日これから東京に行こうと思うんですが、最終だったので、、、」って言って。
浜田さんは浜田さんで、最後の便で大阪に帰ってきたところだったんですね。
「だけどお前、そんな歳で東京行ったってしょうがないだろう、ツテも何もないんやろ」って、
「そこでラジオやってるから、もしツテがなかったら、俺んとこに来い」って言って連絡先を教えてもらったんです。
小島:まあ、なんて運のいい人でしょう!
博士:すごいでしょ。で、そっから、東京へ来てから、ダウンタウンの一門というか、傘下、弟分みたいにして。
そして、桜庭一樹とのなれそめ。
博士:それでも鳴かず飛ばずだったんです。そこから20年、時間が経ってるわけですから。
で、友野くんまだやってるのかなー、ぐらいの認識だったのが、今年の5月に、桜庭一樹の結婚式をおこなうと、吉本興業で。相手が友野英俊だっていうのを発表されて、「えー、まさか」と思いつつ、、、
昨日ですね、「あらびき団」の収録に、僕ちょっと、ある理由で行ったんです。そしたらそこに、友野くんが偶然いたんです。それで僕の部屋に来て、
「どうも、友野です」って。もう十数年ぶりですよ。「ご無沙汰してます」って、
「ご無沙汰も何も、お前なに!? どうしちゃったわけ!?」
小島:あのやせっぽちの家出少年が。
博士:「なぜ桜庭一樹なの?」と。
小島:直木賞作家のねえ、旦那さんになったって。
博士:「どういうことなの?」と。
これも、一年前にたまたま新宿で、朝から遊ぼうと思ってたんですよ。そしたらたまたま桜庭一樹のサイン会が開かれてて、そのサイン会に並んだんです。
小島:えー、並んだんだ。
博士:並んで。それで「吉本の芸人やってます」ってことを言って、そのあと手紙のやりとりを何度かして、サイン会にもまた行って。まだ(付き合うという)認識はなかったんですって。
で、友野くんって絵が上手だから、絵を描いて、今度その絵を贈ろうと思って、新宿の「世界堂」あるじゃないですか。
小島:画材屋さん。
博士:あそこのとこで、額縁を買いに行ったんです。買いに行ったその交差点で、桜庭一樹に出逢ったんです。
小島:(興奮した声で)運命! 運命よ!
博士:すごくないですか?
小島:うわ、ドラマだわ、もう。
博士:それで「あなたの絵を今持ってるんです。この額縁を買うために、今行こうとしてたところです」って。
小島:そんなこと言われたら、女性はイッパツで「この人、運命の人だ」と思っちゃいますね。
博士:で、結婚に至る。わずか1年ですよ。
小島:うわ、すっごいなー、なんか。人脈わらしべ長者みたいな人ですね。すごいな、この人、友野さん。
博士:物語を引き込むというか、自分には何もないけれど、何かこう都会らしい、何かに巻き込まれていくようなストーリーを感じさせる、、、
小島:うわ、すっごい、、、これから楽しみですねー。
博士:そうですね、これから僕が取材したいと思いますけど。
まあ「私の男2」で、友野くんの話が書かれるのではないでしょうか、というようなお話です。
こうしてみると、友野は運を呼び込むためのアクションを、かなり自分から起こしていることがわかる。ダウンタウンの追っかけをしてなかったら浜田に声をかけてもらったりしなかったわけだし、桜庭一樹の絵を描こうとしなかったら、画材屋のそばで本人と逢うこともなかったわけだし。
とはいっても、やはり尋常じゃない強運の持ち主であることには変わりない。すごい人生だなーとあらためて思った次第。
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濃密な師弟関係を描いた名作エッセイ。立川談春「赤めだか」
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今さらながら立川談春のベストセラー「赤めだか」を読んだ。
エピソードとかセリフのチョイスが尋常じゃなく巧い。師匠の談志を筆頭に、前座仲間の談秋、談々、関西、志らく、それに志の輔、文字助らの兄弟子たちや、高田文夫や築地魚河岸の寿司屋の大将など、立川一門を支える多くの人々が、そこにいるかのように浮かび上がってくる。
特に、談志のエピソードや発言は、すべて読みごたえ抜群。
「あのな坊や。お前は狸を演じようとして芝居をしている。それは間違っていない。正しい考え方なんだ。だが君はメロディで語ることができていない。不完全なんだ。それで動き、仕草で演じようとすると、わかりやすく云えば芝居をしようとすると、俺が見ると、見るに堪えないものができあがってしまう。型ができていない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。どうだ、わかるか? 難しすぎるか。結論を云えば型をつくるには稽古しかないんだ。狸という根多程度でメロディが崩れるということは稽古不足だ。語りと仕草が不自然でなく一致するように稽古しろ。いいか、俺はお前を否定しているわけではない。進歩は認めてやる。進歩しているからこそ、チェックするポイントが増えるんだ。もう一度、覚えなおしてこい」
談春自身も書いているけれど、談志は、最良の教育者であり、名コーチであったと思う。
高田文夫の登場シーンもカッコいい。前座時代、志らくとの二人会の楽屋にて。
「うすら寒い楽屋だなァ。広すぎるぞこの楽屋。どうせ客なんかいねェんだろ。いっそのことここでやれ!」
「(略)こっちの兄ちゃんは? 談春? フーン、しっかりやってくれよ、頼むよホント。お前等何席ずつやるの、二席ずつ? 災難だなァ。何が悲しくて前座の落語を四席も聴かなきゃならないんだ。俺そんなに悪いこと何かしたか」
当然緊張をほどいてあげようとする、高田文夫流の優しさなのだろう。
そして会が終わると、再び楽屋に飛び込んでくる。
「いよッ、揃いも揃った名人芸、感涙にむせんじゃったよこの野郎。そっちの兄ちゃん、談春だっけ、お前、噺上手ェなァ。前座であれだけやれりゃあ立派なもんだ。それから志らく。お前とりあえず落ち着いてしゃべれ」
計算ずくなんだろうけど、この落差がすごい。
ミクロなレベルだと、新しい登場人物を紹介するのに、「この人はこういう人」というエピソードを数行で説明するのが巧い。タイプはまったく違うが、千原ジュニアのトークや文章を思い出す。
ラストに柳家小さんと談志のエピソードを持ってくる構成も見事。小さんの談志への想い、談志の小さんへの想いが、談志・談春の師弟関係に重なって読める。
ほんとに今さらですが、いい本でした。おすすめです。



