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名前:中山涙 (ペンネームの由来
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第25回(2012年)大衆文学研究賞・大衆文化部門を受賞しました!








2009-10-30(Fri)

有吉弘行のケンドーコバヤシ論

| 有吉弘行のケンドーコバヤシ論を含むブックマーク 有吉弘行のケンドーコバヤシ論のブックマークコメント


 ケンドーコバヤシのラジオ番組「テメオコ」の10月21日放送回のゲストとして、有吉弘行が出演していた。

「テメオコ」を聴くのは初めて。タイトルの意味は全然知らなかったんだけど、冒頭でケンコバが「みなさん、手でメオコしてますか?」と言ったのでようやく理解した。ケンコバらしい、良いタイトルだと思う。


 それはともかく、有吉とのトークはかなり濃い内容だったのでメモしておく。


ケンコバやっと来てくれましたね。

有吉:やっとです。

ケンコバえー、ようやく有吉と相まみえる日が来たというのが、僕としても感慨深いんですよ。僕もまだ借りを返してもらってないというか……、

有吉:フッフッフ。いや、僕もね、あのー、一回こういう場が欲しいなと思ってましたし、んー、まあどっちがマウント取るのか、ということですもんね。

 この時点で、ちょっと鳥肌立った。

 冗談めかした言い方だけど、結構ホンネだったんじゃないかと、あとで思い知らされることになる。


 ケンコバは、気負ってる風の有吉を軽くいなして、有吉が再ブレイクするきっかけとなった「アメトーーク」における「おしゃクソ事変」について話し出す。

ケンコバなるほど、いやそれはほんとに、そういう主導権の争いみたいなのはともかく、やっぱ一度ちょっとこの、詫びではないけど、借りを返してほしい……。

有吉:詫びですか?

ケンコバ2008年度に、、、2009年になってたかな? 有吉が、本意なのか不本意なのか、人々をあだ名でぶった切るという。あだ名というか、有吉いわく、(世間の)イメージ。

有吉:はい。

ケンコバ数々、代表作はやっぱり品川を評した「おしゃべりクソ野郎」。おしゃクソ事変ね。

有吉:はい、ありました。

ケンコバま、その日に、実はね、品川が太陽としたら、俺は、月をそっと見つめる月見草だ、みたいな扱いを、実は受けてたわけですよ。

有吉:(笑)いやー、確かにそうですね。

ケンコバひとりひとりで爆笑とってゆく、あの夏川純に堂々と「サバ」というあだ名をつけてね(笑)。

有吉:はい、あのときちょっと神懸かってました。

ケンコバこの神懸かりパワー、すごいなというところで、いよいよドキドキしながら、ちょうど僕が大トリの位置にいたんですよね。その、あだ名をつけていく中。

有吉:そうですね。

ケンコバ全員が全員、爆笑を取っていく中、このケンドーコバヤシにつけられたあだ名がですね、「プロレスひげ野郎」という(笑)。 無観客試合かと思うくらい、急に観客が沸かなくなるという。

有吉:(笑)確かにそうですね。

 あのときの有吉は確かに神懸かっていた。

 品川に対しては、押さえきれない嫉妬と反発心が溢れ出るかたちで「おしゃべりクソ野郎」という言葉が出てしまったのだろう。

 一方、ケンコバに対しては、芸人としてリスペクトしているがゆえに、矛先が鈍ってしまったのだと思う。


 ここから、有吉による「ケンドーコバヤシ論」が幕を開ける。

有吉:いやあれは、ほんとに申し訳なく思ってますね。

ケンコバいや、あれから色々考えたんやけど、やっぱ俺が、よくも悪くもイジられ下手というか……、

有吉:はい、それは確かにありますね(断言)。

ケンコバ(爆笑)そこなん?

有吉:ちょっとまあ、後輩の立場からすれば、やっぱちょっと、イジり甲斐がないというか……、

ケンコバ(爆笑)え、イジりにくいじゃなくて、イジり甲斐がない。

有吉:はい。

ケンコバあー、そっちにキャッシュバックがないみたいな。

 ケンコバを「イジり甲斐がない」と言い切ってしまう有吉の度胸は、やはりすごい。

 もちろん、ケンコバがそのくらい笑って許してくれる度量の持ち主だと見込んでの発言だろう。

 そして、有吉の言葉の意図を即座に理解して、「キャッシュバックがない」という絶妙な言葉に言い換えるケンコバの「芸人力」も相当なものだ。


 有吉の著書「嫌われない毒舌のすすめ」によれば、もともと有吉は、相手が「ツッコミ体質」か「ツッコまれ体質」か見極めた上で接し方を変えるようにしているという。

 土田晃之やデンジャラス安田など「ツッコミ体質」の相手に対しては、イジっても面白くならないし、話も広がらない。なので、あえてイジったりせず、転がしてもらうほうが得。

 上島竜兵のような「ツッコまれ体質」の人は、イジればイジっただけ何かが出てくるので、イジり甲斐がある。

 有吉から見たケンドーコバヤシは、土田や安田と同じ「ツッコミ体質」なのだろう。だから、イジり甲斐がない。


 ……と、言いつつ、ここから有吉は、ケンコバをグイグイとイジり始める。

有吉:そうですね。もしくはその、やっぱ、、、「薄い」んですかね。

ケンコバ(爆笑)

有吉:(笑)意外と薄いっていうのはありますね。

ケンコバ「暴君ケンドーコバヤシ」と呼ばれた男ですよ、僕は。かつて関西では。

有吉:うーん。

ケンコバ「ミスターやりたい放題」と言われてきた、、、

有吉:男なんですけどねえ。

ケンコバ男が、いざ接してみたら「薄かった」と。

有吉:うーん、それがやっぱ、後輩の総意ですね。

ケンコバ(爆笑)

有吉:あの人、意外とキャラねえな、と。

ケンコバ(爆笑)ひどい。蹂躙されてるよ俺、今。

 ケンコバは本当にうれしそう。

 ケンコバというのは、本当にイジられにくい芸人さんで、イジられたとしても、「風俗好き」みたいに本人のキャラクターの範囲内であったり、「実はいい人」みたいにキャラクターがフィクションであることを暴露する形であったりして、一定以上の笑いは生まれないことが多い。

 かつて有吉のように「イジり甲斐がない」「(キャラが)薄い」というようなイジり方をした人は、いなかったんだと思う。

 このカラミって、けっこう画期的で、ダウンタウン松本や千原ジュニアが、初めてイジられキャラの方向に歩み寄った瞬間を思い出した。

 数年後、ケンコバはこの方向でイジられる芸人になるんじゃないかと妄想。


 さらに有吉は追及の手をゆるめない。

有吉:(笑)いやほんとに今日、ラジオも楽しみにしてまして、オープニングも破天荒なオープニングかなと思ったら、結構「グータンヌーボ」的な、、、

ケンコバ誰がグータンヌーボやねん(笑)。五反田の性感で、チンぐり返しされて、ツバ吐きかけられてる話して、どこがグータンヌーボの話や(笑)。

有吉:(笑)いや、やっぱそうなんですね。

ケンコバ青臭い?

有吉:青臭いですし、

ケンコバ(笑)

有吉:うーん、キャラを見つけてほしがってる、、、

ケンコバ(笑)誰か何とかしてくれ、みたいな状態で俺は漂ってる、と。

有吉:感じが、非常にしますね。

 ケンコバの「青臭い」という自己分析。それはつまり、風俗トークでアウトローを気取る、という芸風に対しての自己批判であると同時に、「自分でもそのことはわかってる」というアピールだろう。

 有吉は、それを全部理解した上で「キャラを見つけてほしがってる」という、ギリギリの言葉のチョイスで応えている。

 どちらも、限りなくガチに近いプロレスを仕掛けてる印象。

 ただし、有吉が踏み込みすぎたせいで、ケンコバはちょっと気を悪くしたように思える。


ケンコバああ、そうですか。おかしいなあ。自分では、まあ自分で言うのもアレなんですけど、まあ代わりの利かない(笑)存在かなと思ってたんですけど、、、

有吉:やっぱりね、何人か代わりになる人間も目星ついてますし、

ケンコバ(笑)あ、もし俺がポンと事件か何かで消えたとしても。

有吉:問題なく、この世の中、回ってゆく、、、

ケンコバ誰よ? たとえば誰よ? 俺の代わりになるのは。

有吉:もうそれは、ファミリーと言っても問題ないんでしょうけど、(ハリウッド)ザコシショウであるとか。

ケンコバ(爆笑)確かにそうかもしれない、ザコシショウがいれば問題なしか……!

 ハリウッドザコシショウというのは絶妙なチョイス。

 ケンコバハリウッドザコシショウNSCの同期の出身で、今も仲がいいと知っていなければ出てこない名前だろう。

 もちろん実際は、ケンコバとザコシショウの実力は違いすぎてるわけで、有吉は暗に、ケンコバが芸人としてオンリーワンの存在だと言っていることになる。

 有吉が上手いのはこのあたりで、さんざんガチに近い技を仕掛けておきながら、土壇場でケンコバに対するリスペクトを表明してみせたのだ。ケンコバとしても悪い気はしないだろう。


 有吉が登場してから、ここまで5分くらい。第一線で戦う芸人同士の、実にスリリングなプロレスだったと思う。

 ここから、有吉の「吉本批判(笑)」へとなだれ込んでゆきます。

続きのエントリー:

有吉弘行の「吉本芸人批判」

嫌われない毒舌のすすめ (ベスト新書)

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クイック・ジャパン76 (Vol.76)

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toroneitoronei 2009/10/30 16:30 でも僕からしたら、千原ジュニアって元々いじられキャラなんですよねえ。一時期変な方向に行ってただけで。

lifelife 2009/10/30 20:21 いや、いいエントリーですね。ヒリヒリします。

ほこほこ 2009/10/30 21:58 ○○な話で、人志松本に対してむかついていると言い、噛み付いていると見せかけながら、その実後ろ盾として松本人志を引き合いに出して注目を集めようとする山崎方正ら取り巻きを攻撃するという有吉の間合いの取り方に瞠目したことを重い出しました。ぱっと見攻撃してるように見せかけてその実これ以上の媚態はないという、有吉にしかできない芸当ではないでしょうか。

ratchratch 2009/10/30 22:18 有吉の「薄い」発言で、自分の中にずっとあったケンドーコバヤシへの違和感に答えが出ました。
あの人の台詞って、全体的に借り物臭いんですよ。オタク的なネタが多いせいか、どこかのキャラクターやらレスラーやらの台詞を喋ってる割合が高い。
そういうのないですか?

ちなみにわたしは有吉支持派です。こちらのブログでいつも楽しませていただいてます。

mp80mp80 2009/10/30 22:37 テメオコの由来は違うと思いますよ

ひろひこひろひこ 2009/10/30 23:53 テメオコの由来は
ジョジョの奇妙な冒険に登場する空条承太郎のセリフ
「てめーは俺を怒らせた」から

毎回オープニングで「テメオコ」をもじって
一言ネタをいうのがお決まりです

dsds 2009/10/31 00:03 テメオコ、ジョジョからは表向きというか、第一の理由なんじゃ?
ジョジョからあえてその言葉をチョイスした理由が他にあった方が自然。
特にケンコバなら。

薄いってのは、笑いを意図的にコントロール出来ているという褒め言葉になると思うがね。
本気でロリコン好きって言っててウケルが捕まってしまう奴と、それを迫真で語って同様に笑いをとれるが、当然一線は踏み外さないバランス感覚のある奴の差みたいな。
勿論、何を語るかのセンスがないとウケナイが、コバはそこに関してズ抜けてる。
内容が完全に真実である必要がないから、センスがあればいくらでも笑いがとれる。
芸人として有能ってこった。

dsds 2009/10/31 00:18 あと、イジル側は、少なくともイジラレル側と同等以上の能力がないと駄目だから
ケンコバを他の芸人がいじりにくい、イジレナイのは当然。
素なら松ちゃんかジュニア位しかいない。
ただ、あえてレベル落としたり隙を見せて、そこを意図的にイジラせるってのはできる。
が、普通に芸人としてやってる時のコバを他の芸人がイジるのは難しいだろうなあ。

milmil 2009/10/31 01:40 テメオコは前身番組のキミナグからの流れでジョジョからタイトル取ってるね
自分的にはキミナグの方が好きだったな
アシスタントのアイドルをセクハラパワハラしまくりで

milmil 2009/10/31 01:40 テメオコは前身番組のキミナグからの流れでジョジョからタイトル取ってるね
自分的にはキミナグの方が好きだったな
アシスタントのアイドルをセクハラパワハラしまくりで

gomme3gomme3 2009/10/31 02:46 バッファローはコバの扱いが上手い

araoarao 2009/10/31 05:58 ケンコバなら裏の意味もあって当然!
って人はキミナグにどんな裏の意味を見出すんでしょうかね
ちなみにキミナグは「君が泣くまで殴るのを止めない」ですが

テメオコ第一回から聞いてますけど、
確かに「よくこのタイトル通ったなぁ」とは言ってたり
前述のアイドルに電話口でテメオコと叫ばせて喜んでたりはしますが
普通に「テメーは俺を怒らせた」の略ですよ
裏の意味とやらは、後からついてきたおまけみたいなもんです

mosmos 2009/10/31 19:17
当然、じゃなく、自然、て書いてる。
実際に放送で「みなさん、テメオコしてますか」って言ったり
アイドルに言わせて喜んでる事が、「テメオコ」にした理由だろ。
「てめーは俺を怒らせた」の略から取ってるのは周知だが、それがタイトルを「テメオコ」にする決定的な理由にはならんのは、上の理由で。
とくに、コバが「よくこのタイトル通ったなぁ」って言ってるならなおさら。
読解力がないなー。
勝手に「キミナグ」と話を混同するなよ。

karatedoukaratedou 2009/11/01 15:39 みなさん、コメントありがとうございます。とても勉強になりました。
コメントへの返事は長くなったので、別エントリーとして作成しました。
http://d.hatena.ne.jp/karatedou/20091101#p1
http://d.hatena.ne.jp/karatedou/20091101#p2