名前:中山涙 (由来=ペンネームが決まりました!)
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近著「浅草芸人 〜エノケン、ロッパ、欽ちゃん、たけし、浅草演芸150年史〜」(マイナビ新書)
2009-11-03(Tue)
有吉弘行の「吉本芸人批判」
お笑い |
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有吉弘行は、以前から直接的・間接的に、吉本興業に所属する芸人に対して批判的な言動を繰り返してきた。
「お笑い学校でシステムだけ学んだようなやつら」「松本さんの名前を利用して気を引こうとしているやつら」という具合である。
もちろんガチで批判したら、ただの自殺行為になってしまう。有吉は、笑いというベールに包みつつ、「世間がイメージしているであろうこと」を、戦略として口にしていただけのことである(たぶん)。
しかし、先日ケンドーコバヤシのラジオ番組にゲスト出演した有吉は、吉本芸人への思いを、いつも以上に踏み込んで発言していた。
前回のエントリーに引き続き、そのあたりの「危険」なトークを書き起こしてみたい。
(最初に謝っとくと、無駄に長いです。あと、もし俺の解説がウザかったら読み飛ばしてください)
なお、前回のエントリーはこちら↓です。
参考:
その直前まで有吉にさんざん蹂躙(笑)されていたケンコバは、続いて有吉を持ち上げにかかる。
有吉:そうですね、
ケンコバ:代えの利かない、
有吉:今そうかもしんないですね、ほんっとに。
ケンコバ:(笑)
有吉:ただ一人の存在、
ケンコバ:孤高(笑)。
有吉:孤高の(笑)天才とまでは言いませんけど。
ケンコバ:天才とまでは言わなくとも、孤高ではあると。
二人:(笑)
トークの出口を探しつつ、じゃれ合ってる2匹の魔獣。
ちなみに「孤高の天才」は、田村潔司のキャッチフレーズ。二人とも「孤高の」っていう時は必ずゲラゲラ笑ってる。田村に対して抱いてるイメージもだいたい同じなのだろう。息が合う二人。
ケンコバ:いやしかしね、この有吉弘行という男を含め、やっぱりね、太田プロという凄みをね、この2年ほど見せつけられた。
土田(晃之)さん、劇団ひとり、有吉という、この闘魂三銃士が本当にやっぱ凄いじゃないですか。
有吉:(笑)そうですね。ほんとに、それぞれが孤高という感じで。
ケンコバ:(笑)「俺たちは、それぞれが孤高」。
有吉:そんな感じが今してますね。ほんっとにあの、
ケンコバ:やっぱ吉本興業の面々を見ると、「てめえらたむろってんじゃねえぞ」みたいなことは、孤高のメンバーたちの、、、
有吉:やっぱそれは、生ぬるいなって感じはね、受けます、どうしても。
ケンコバ:ハハハハハッ(爆笑)。
ケンコバは太田プロの三人を賞賛しつつ、有吉から「吉本批判」を引き出そうとしている。まあ以前から、有吉がそのようなことを口にしていたからだろう。
そのケンコバの期待に100%応じてゆく有吉のサービス精神はさすが。そして「生ぬるい」という言葉は、視聴者にしてみれば、まさしく的を射てると思う。
ケンコバ:どこが生ぬるいのよ、俺らの?
有吉:いや、やっぱりねえ、楽屋とかでもそうですしね、現場でもね、ニコニコしながらやってますよ。楽しそうに。
ケンコバ:確かにわれわれは楽しそうに、仕事は楽しいのが一番みたいな感覚がありますね。
有吉:やっぱ僕ら、そういう意味では、対吉本のスキマを狙っていかなきゃいけない、
ケンコバ:はい。
有吉:吉本さんの顔色もうかがいつつ、いつも現場で、、、
ケンコバ:(笑)あるていど顔色、、、吉本っていうのは顔色をうかがっていかなアカンとこなの?
有吉:やっぱりそうでしょうね、やっぱり色々と、恐ろしい話も聞きますしね。
ケンコバ:(笑)恐ろしい話聞く。
有吉:聞きますね、やっぱそこそこ力持った先輩がいらっしゃる。
ケンコバ:ワハハハハッ(爆笑)いらっしゃるねえ。妙に力を持った先輩が、やっぱ数組、おられますねえ。
「楽しげな現場」を批判したあと、「紳助の東京03恫喝事件」を、暗にネタにする有吉。それを喜ぶケンコバ。
関係ないけど、紳助は近い将来、本人の意図とは別に、横山やすしみたいにネタ化していくのかもしれない、と、ふと思った。
有吉:その辺への気の配り方っていえば、ハンパないでしょうね、僕らからしてみれば。
ケンコバ:なるほどなるほど。
有吉:だから、ほんとにその、毎回毎回が命がけというか、そういう感じはしてますね。1回も、、、まあケンコバさんみたいに、レクリエーション気分で仕事したことはないですね。
ケンコバ:(爆笑)いや確かに、レクリエーション気分で仕事してるかもしれない、俺。
有吉:(笑)
ケンコバ:俺は確かに、そういうふしがあるかもしれん。こっから這い上がってやるみたいな、一度もないかもしれない。
有吉:うーん、ないかもしれないですね。そういう意味では、ちょっと「いいな」と思ってますしね。
またもやケンコバを蹂躙(に見せかけたヨイショ)w
ケンコバ:さっきから、いきなりの吉本批判を食らわされるとは、、、
有吉:(笑)吉本、、、まあそうですね、吉本批判と取ってもらっても、まあ問題ないですよ。
ケンコバ:(笑)
ケンコバは大袈裟に「吉本批判」という単語を使い、有吉も一瞬絶句しつつ、それに乗っかる。
ここからケンコバはトークの交通整理をしつつ、有吉をさらに危険な領域へと導いてゆく。
ケンコバ:まず生ぬるい。
有吉:生ぬるいでしょうね。
ケンコバ:レクリエーション気分で仕事しやがって、と。
有吉:はい。
ケンコバ:戦場ということがわかってないのか、お前らは、と。
有吉:わかってないんじゃないですか。
「現場は戦場だ」という名言を残した、さんまさんの後輩でありながら、そのへんの意識が薄いんじゃないかという、
ケンコバ:戦場意識が薄い。
有吉:ええ、意外とありますね。
さんまの名前を出してしまえば、どんなに吉本批判をしたとしても叩かれずに済むのは目に見えているわけで、有吉の保身能力の高さを改めて思い知らされる。
まあおそらく、ずっと昔から、有吉の脳裏には、さんまの名言がよぎっていたのだと思う。
もしかしたら竜兵会の飲み会で、そのあたりを引き合いに出して、吉本芸人の悪口を言っていたこともあったかもしれない。
それを察知したのかどうか、「戦場」というキーワードを有吉の目の前にすっと差し出したケンコバも凄い。さとりのお化けのようだ。パネラーとしてではなく、普通のMCとしての才能もハンパなく持ってるんだなーと思った。
ここからケンコバは「戦場」についてのトークを掘り下げてゆく。
ケンコバ:確かに、武器も持たずに、フツーに始まってフツーに終わることもあります、われわれ。
有吉:ええ、ええ、、、
ケンコバ:武器持たないのが正解なんかな、みたいな気分で行っちゃう時もあります。
有吉:そうでしょうね。ケンコバさんでも、ほんとに「空気」の時、よくありますもんね。
ケンコバ:あります。大物であればあるほど、空気になった方がいいのかな、みたいなね、、、
有吉:(笑)
ケンコバが「武器持たない」と言ったのは、「現場で空気になる」っていう意味じゃないと思うけど、有吉はそちらにトークを誘導し、ケンコバもそれに乗っかる。どちらも、ギリギリのラインまで近づく遊びをしてる印象。
有吉:そのへんの大変さはわかるんですけどね、まあでもメリットの方が多いなっていう風に思いますしね。
ケンコバ:メリット。
有吉:うーん。やっぱあの、打ち上げが楽しそうですよね。
ケンコバ:いや、打ち上げ楽しいよ。
有吉:ですよね。僕らやっぱ、打ち上げが苦痛なんですよね。やっぱり吉本メンバーに囲まれてしまうと。
ケンコバ:何でよ? 確かに1回、、、何やったろ、「アメトーーク」かな? 打ち上げで出川さんが来て、泥酔したあげく吉本批判を繰り広げて(笑)。
「あんなもん、吉本が主催してんだろ? あんな大会、吉本の主催なんだからさ、こっちちょっと有利にしてくれよ!」
みたいな、何かわけのわからん批判を繰り広げて、異様な空気になったことありますけどね。
有吉:(笑)ま、あれは戦士じゃなくてテロリストですからね。
ケンコバ:(爆笑)
有吉:あれもなかなか恐ろしい男ですからね。
有吉:(笑)ええ、そういうところがありますけどね。
出川とばっちり。
有吉も、かばう気はさらさらなしで、「テロリスト」という絶妙な表現で出川を評したあと、打ち上げトークに話を戻してゆく。
有吉:やっぱ、そういうのが苦痛なんですよね。
ケンコバ:苦痛!?
有吉:苦痛ですね、打ち上げなんかはやっぱり。
ケンコバ:なんで? 普通にみんなで打ち上げ行ったらええやん。
有吉:うーん、吉本特有の、、、何ですかね、打ち上げなのにコントやりたがる感じとか、
ケンコバ:いや、それはそうですよ。だいたい、メガネかけてる人のメガネが、無事に打ち上げを終えることなんかないですよ。だいたい、ご飯盛られたりしてね。
有吉:そうですよね。あのへんが、血気盛んな20代前半の若手ならいいんですけども、まあ30代なかば、40くらいの大人たちが、
ケンコバ:まあ40前ですけどね、
有吉:メガネにご飯を盛ってキャッキャ言ってる姿は、僕らにとっては苦痛でしかないです。
ケンコバ:(爆笑)面白くもクソもねえと。ハハハハッ(笑)、あんまりやないか! そんな風に思ってたんか、俺らがキャッキャ言ってんのを?
客観的には、すげえ危険なことを話してる風なんだけど、有吉としてはじゅうぶん勝算があって話してるんだと思う。実際、このくだりは、すぐにでも「○○な話」で使えそう。
有吉:いやいや、でもね、僕思うんですけど、一応「竜兵会」っていう、、、
ケンコバ:そう。一大組織でしょう、竜兵会といえば。
有吉:いまや。そうなんですよねえ。
ケンコバ:売れっ子だらけの。
有吉:そういう風になっちゃいましたね、いつの間にか。
ケンコバ:いつの間にか。売れないっ子だらけだった、あの竜兵会が。
有吉:そうなんですよ、奇跡の、ノッチまで売れるっていう。
ケンコバ:(笑)
有吉:まあ、偉そうなことは言えないんですよね、そういう意味では。
まあ一緒なんですよね。どっかの傘の下に入りたがってるという意味では。
ケンコバ:(笑)いや別に俺ら、傘の下に入りたくて打ち上げしてるわけじゃないよ。
普通に収録終わって、あ、せっかくだから飲みに行こうという打ち上げですよ。
有吉:うーん、そこにアレはないですか? こう、ゴマするというか、その、ご機嫌をうかがうという。
ケンコバ:それは、、、品川とかに関してはあるやろうけど(笑)、
有吉:(爆笑)なるほど。
ケンコバ:絶対にMCの横座るし。
有吉:ええ、ええ。
有吉は自分もしょせん同じ穴のムジナだと、しおらしい姿を見せて、ノッチが売れたのは奇跡だと毒を吐いたあと、「どっかの傘の下に入りたがってるという意味では一緒なんですよね」と、ケンコバに同意を求める。
一方、ケンコバは有吉の罠には乗らず、品川の名前を出して有吉を喜ばせる(どうでもいいけど品川って、本人の意図とは別に、すごいキャラクターになってると思う)。
このあたりのやりとり、有吉もケンコバも本質的な部分への批判をしてるわけじゃなくて、キャラクターで遊んでるだけなんだけど、総合格闘技で間接の取り合いしてるみたいで、スリリングであることは間違いない。
ケンコバ:そればっかりじゃないよ。普通に酒を楽しみたいみたいな。
有吉:ていう感じですか。
ケンコバ:でも確かに有吉はそういうとこに来てくれない、、、俺が言うのもおかしいけどね。
有吉:はい。
ケンコバ:けっこう来る人も多いやないですか、吉本じゃない、東京の芸人、、、たとえばアンガールズとか、普通に参加するわけですよ。
有吉:僕はねえ、やっぱり、うーん、戦っていたいんですかねえ。
ケンコバ:なるほど。
有吉:やっぱり、そういうものと。
ケンコバ:「そういうもの」というのは、吉本興業っていう?(笑)
有吉:悪しき習慣というか。
ケンコバ:(笑)なんで仕事したら飲みに行かなきゃいけねえんだ、って。一緒に。
有吉:うーん、そうですね。
ケンコバ:(爆笑)
有吉:まあ、飲みに来るから引き上げてやろう、なんていうことがちょっと耳に入りますとやっぱり、そこも不満に思いますし、、、
ケンコバ:……中にはそういうことがあるのかな?
有吉:ひょっとすればあるかもしんない、と。
ケンコバ:飲みに行きたいから引き上げてやろう、みたいな。
飲み会で可愛がってる後輩をテレビに引き上げる、という傾向は、確かに吉本芸人によく見られるところ。
そこに実力が伴っていれば問題ないんだろうけど、現実にはそうでないことも多い。それを有吉が不満に感じているのは、まぎれもなくガチだと思う。
有吉:そういう意味では、僕、唯一の希望の光、ほんっと一筋の蜘蛛の糸だと思ってんのは、やっぱコバヤシさんなんですよね。
ケンコバ:あ、俺?
有吉:ええ。
ケンコバ:どういうところが。
有吉:やっぱりその、何て言うんですかねえ、、、どこなんですかねえ、なんか空気感なんですけど、、、
ケンコバ:確かにね、吉本本隊にはいないからね、俺。
有吉:あ、なるほどねえ。
ケンコバ:うん。本隊ではないのよ。今けっこうテレビに出てる吉本タレントの中で、同じ世代ぐらいで、唯一の大阪(吉本)所属ですしね、僕は。
有吉:そうか。なるほどそうなんですね。
ケンコバ:大阪吉本所属なんです。
有吉:あのー、コバヤシさんに関しては、楽屋であんまりはしゃがないっていうところが、、、
ケンコバ:だろ? ハッハッハッハ(爆笑)
露骨に媚びを売り始める有吉。ただ、ウソは一つも言っていないと思う。
ケンコバが大阪吉本所属というのは初めて知った。
「本隊ではない」というのはプロレスファン特有の表現で、いかにもケンコバらしいんだけど、自ら望んでそういう境遇に身を置いてるような気がしないでもない。まあ、見た目どおりの、そういう性分なんでしょうね。外様の立場になりたがるという。
一方、有吉はそういう吉本の社内事情には興味を示さずに、「楽屋ではしゃがない」という部分を持ち上げる。
ケンコバは、それはもちろん自覚的にやってたことだろうから、指摘されれば嬉しいだろうと思う。
有吉:そこにはすごく、
ケンコバ:シンパシーを感じてくれてる?
有吉:シンパシー感じて。
ケンコバ:(笑)確かに楽屋ではね、フツーに座ってるだけですからね。タバコ何本吸うねんいうくらい吸ってるだけです。
有吉:そのへんでやっぱり、吉本とのホットラインがあるとしたら、そこ、コバヤシさんぐらいかなとは思ってました、確かに。
ケンコバ:なるほど。……何が面白いんだと、
有吉:はい。
ケンコバ:本番前のミニコント。
有吉:はい。全くその通りです。
ケンコバ:いや、でも中には、あれが本番に生かされるなんてことも。俺なんかミニコント参加してないのに、横で見てたから何となくノリわかってるから入っていけるみたいな、そういう利点もあるわけです。
有吉は、日和ったりボケを挟んだりすることなく「本番前のミニコント」を全否定し、ケンコバは弁護側に回ってみせる。
有吉:なるほど。あーーーー、どうかなあ、、、、、面白いっすかぁ?
ケンコバ:(笑)
有吉:面白くはないですよね、やっぱこれ、ちょっと。
ケンコバ:(笑)面白くはない?
有吉:面白くはないでしょ。
ケンコバ:……いやいや、そんなことないよ。
有吉:面白いっすか?
ケンコバ:まあ、あんま面白くはない、かな。
二人:(爆笑)
ケンコバ:ああ、そんな風な目で、
有吉:そうですね。悪意があるかないかって言ったら、ありますね。
「主観的に好きになれない笑いを全否定する」という行為は、古い芸人さんに見られる特徴で、かつての横山やすしや、若い頃のビートたけしなんかもそうだったんだけど、笑いが多様化してきた現在、ほとんどの芸人さんは丸くなって、どんな笑いに対しても悪口を言わなくなった。特に吉本芸人は、数が多いこともあり、下手な発言をすればどこに飛び火するかわからないので、他人の芸の悪口を言わないようにしているのだろう。
関東では、その文化(?)が、かろうじて残ってるんだと思う。たとえば、妄想混じってるけど、出川哲朗と上島竜兵の飲み会の席の会話なんか、悪口だらけで一切オープンにできないだろう。
有吉が、公共の電波に乗せて、吉本の内輪ノリを全否定してみせるのは、そういった関東の芸人文化の延長みたいな感じで、確かに痛快な一面もあるんだけど、誰も彼もがこれをやり出すと、テレビのバラエティ番組など成立しなくなってしまう気がする。危険な技だ。
たぶん有吉の場合は、ただ単に嫌いだというだけじゃなくて、一つは、最初の方にも書いたけど世間の「反吉本」の空気を代弁していて、もう一つは、かき回し役として期待されている自分のキャラ通りの言動をしているだけと思う。
ミニコントの内容にまでは触れずに「面白いっすかぁ?」という、漠然とした、しかし身もフタもない問いをぶつけるのが、上手いといえば上手い。
それに対して「あんま面白くはない、かな?」と正直に答えてしまったケンコバは、ちょっと罠に引っかかった感じがする。
とりあえず、書き起こしはここで終わりにしときます。
このあと、ケンコバいわく「悪意の淵から生まれてきた忌み子」こと、有吉が引き起こした「某女優号泣事件」の顛末が語られたりとか、ムーディ勝山が有吉に影響されて、笑えない悪口を言い出すようになって、有吉もそんなムーディが可愛く思えてしまう話とか、聞き所は満載なんですが、まあ省略します。
しかしまあ、ふたりとも、いい芸人さんですね。
今回書き起こして初めて気づいたけど、ケンコバは、ツッコミがものすごく親切で丁寧。独特のいい声で、たっぷり間を取って、相手のボケをもう一度反復してから、さらに面白いワードを乗っけて返すという、くりぃむ上田や、ブラマヨ小杉のような技も持ってる。ただし、いざとなれば自分でゴールに入れる気マンマンのところがケンコバらしい。
機会さえ与えられれば、ゴールデンタイムのテレビ番組の司会も、たやすくやり遂げるだろうと思う。それが芸人として最良のゴールとは思わないけど。
有吉は、とにかく相手の要求が何であるかを察する能力に長けていて、常にその斜め上の答えを用意するクレバーさを持ってる。
有吉は、発言の中に本人の私情というか、嫉妬がちらほらと垣間見えて、そういった人間くささが魅力の一つなんだけど、有吉レベルの芸人さんだと、無意識で発言してることはほとんどなくて、どこまで踏み込めばシャレにならなくなるか、ということは常に考えているはずで、目の前にいるMCの顔色だけじゃなく、その場にいない大物芸人や、吉本興業やテレビ局のお偉方のことも、実はどこかで気にしているはず。
その裏には品川ばりの戦略があるんだろうし、あえて虎の尾を踏みに行くことで得られる「対価」のことも計算に入ってるんだと思う。
ところで、ここまでほぼ一字一句書き起こしていったのは、一流の芸人ふたりによる丁々発止のやりとりを、秒単位で記録してみかったからです。冨樫義博の「HUNTER×HUNTER」の、一流のハンター同士のバトルみたいな感じで。
うまく再現できたかと言えば、まあ微妙なんですが。たぶんもうやらないです。
でもこの放送、最初に聴いたときは、「げ、吉本批判してる! 有吉、すげえことやってんなあ!」と、かなり興奮を味わったんですが、もう一度聴きながら文字に起こしてみると、当然ながら、両者ともかなり節度を持って仕掛けてるのがわかりました(……そういう意味では、タイトルは釣りです。すみません)。
とは言っても、有吉がかなり危険な部分まで踏み込んだのは事実だと思います。吉本芸人同士の、馴れ合いに近いカラミと比べたら、確実に刺激的な内容でした。
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きっかけはどの時期なんでしょうか。
たけしが悪口を言わなくなったのは、年齢を重ねて丸くなったということもあるでしょうし、1997年に映画で賞を獲って、完全に「上がり」のポジションに身を置いたことが大きいのだと思います。
今回の本筋と離れてしまいますが、自分もそう思います。
例えば、ネタ葉書コーナーで、パロディネタの場合、その元ネタを漏らさず教えてくれるのはケンコバだけじゃないかなと思います。
知ってるよってことも多く、もたついて感じてしまうときもありますが、お客?全体のことを考えたら重要なことなのかもしれませんね。
伊集院が、トークのとき「池田」って言うと、いちげんさんは分からないから、絶対「ディレクターの池田」「構成の渡辺」って話すと言っていたことに通じることなんでしょうか。
今回書き起こした部分の中でも、「大阪所属」って言ったあと、わざわざ「大阪吉本所属」と言い直したりとか、驚くほど律儀です。真面目な性分なんでしょうね。
そういえば、いち早く有吉の黒い部分をTVで面白く見せたのは
今田、東野の二人だったような記憶があります。
ケンコバは今田耕司のもつ天才的なトークの構成力と
東野幸治のもつ「はぐれもの」の心をあわせ持つ芸人かも知れない。
有吉の大胆な発言にも動じないケンコバの懐のでかさを垣間見ました。