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2011-10-08(Sat)

奇跡の番組「マツコ&有吉の怒り新党」

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 半年前に火曜深夜25:30という時間帯でひっそりと始まった「マツコ&有吉の怒り新党」が、先日の10月5日放送分より水曜23:15に移動した。放送時間も30分から60分に拡大している。

 有吉弘行マツコ・デラックスのファンとしては、これほど嬉しいことはない。進行役も以前と同じく、元日テレの女子アナ、夏目三久だ。


 この番組は、三人の絶妙なバランスの上に成り立っている。

 そもそも、この番組が深夜で始まった時の、マツコと有吉のテンションの低さといったらハンパなかった。自分がメインの番組を持っても、嬉しそうにするわけでもなく、二人とも不機嫌というか、疑心暗鬼な表情。見るからに居心地悪そう。


 本来スタッフが意図していたのは、おそらく、視聴者から送られてきたメールの内容についてマツコと有吉の意見が対立して、喧々囂々の罵り合いになったり、二人が一緒になって送り手に毒を吐いたりすることだったろう。

 しかしマツコと有吉は、そういった路線に乗ろうとせず、結託して「そのメールを選んだスタッフ」に対して噛みついてゆく。

 マツコも有吉も、危険に対するアンテナが異様に強い。これまでの前半生で、さんざん地獄を味わってきたぶん、どんな風に立ち振る舞えば危険を回避できるか判断する能力にかけては、他者の追随を許さない。

 二人とも、自分が芸能界で細く長く生き残ることと、自分の冠番組が低視聴率で終わってしまうことを天秤にかけたら、迷わず前者を選ぶだろう。


 世間の好感度や、スタッフの期待値、視聴率などを計算しながら、二人は徐々に、番組を自分の都合のいい方向に誘導していった。

 もちろん、二人の思惑が完全に一致しているわけではない。しかし「消費されてたまるか」という思いと「これは大いなるチャンスでもあり、ピンチでもある」という思いは同じだったろう。

 毒のさじ加減を知り尽くした二人だから、じゃれ合っているだけでも、ハードコアなプロレスに見せることができる。

 二人は、届いたメールなどそっちのけで、どうでもいい雑談に没頭し、お互い牽制し合いながら、時にキレてみせたり、それに同調したり、反発したりした。と同時に、表情や口調の端々から、「これは100%ホンネではないですよ」という意思を示した。


 夏目三久の存在も重要である。一見カワイイだけの存在でありながら、スキャンダルによって日テレを追われた女子アナ。相当傷ついたろうけど、かなりの反骨心も持っている。

 念のため夏目ちゃんのスキャンダルについて書いておくと、コンドームを手にしている写真が週刊誌に掲載されただけ。別にそんなのいいじゃんか、と思うけど、日テレのアナウンス室では、その程度でも生きてゆけなくなるらしい。

 つまり彼女もまた、有吉とマツコ同様、一度死に、第二の人生を送っているのだ。

 なお、番組が深夜帯で始まった当初、有吉とマツコは、さんざん「マツコ・デラックスに対抗してナツメ・ラテックス」などとイジッたにもかかわらず、すべてカットになったとのこと。*1


 そして数ヶ月が過ぎた頃には、「おそく起きた朝は…(現・はやく起きた朝は…)」のような、まったりとした空間が生まれていた。有吉=磯野貴理子、マツコ=松居直美、夏目=森尾由美という関係に近い。

 その結果、深夜帯では珍しく、女性の視聴者層をつかみ取ったのである。


 放送時間が変わって、有吉とマツコは、再び微妙な舵取りをしながら、体勢を整えてゆくのだろう。

 賛否両論ある、「3大○○」のコーナー(1回目は北斗晶の女子プロレスラー時代の名勝負を3つ選ぶという、ものすごくマニアックな内容)も、個人的には「攻めてる」と思う。

「おそく起きた…」や「グータンヌーボ」のように、ぜひ長寿番組になってほしい。これからの展開をゆっくりと見守っていきたい。

*1:ちなみに、有吉は「アリコ・リラックス」。