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上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2008-10-05

[][]ストライクウィッチーズVSリリカルなのは 「エイラの奮闘と反撃ののろし」


前回の

ストライクウィッチーズVSリリカルなのは 「赤い悪魔の襲来」

の続きです。

ストライクウィッチーズリリカルなのはクロスオーバー同人SSです。

(ショートかどうか分からないからSSでは無いのかも)


反応が無かったら、掲載しないでおこうと思っていたのですが、

qrgさん、すくみうさん、ソラクロさんあたりが反応してくれたので、

書いてみましたー。


ストパンとなのはを分かって、この小説を読んでくれるような、

ニッチな人がどれだけいるんだろうなぁ。


ストライクウィッチーズVSリリカルなのは 「エイラの奮闘と反撃ののろし」


作:046


 海上。

「ん?」

 魔力が集まる方向に向かって飛んでいたヴィータは、前方の中空に何かがいることを確認した。

 弱い魔力反応も感じる。魔導師だ。

 ヴィータはスピードを落とさずに、中空の人物に近づいていく。

 先ほどの戦闘によって、その圧倒的な戦力差を自覚したヴィータの行動は、大胆なものになっていた。とは言っても、そもそもベルカの騎士に、回りくどい策を練るという選択肢は存在しないのだが。

 距離が迫るにつれて、相手の外形を認識していく。

 先ほど逃がした集団にはいなかった人物だ。新手である。

 青い服に白い髪、青い目に白い肌、そして白いタイツを履いた少女。両の足には、やはり先ほどの魔導師達と同様に、デバイスを着用している。

 そして、手には――、何も武器を持っていなかった。

 彼我の距離が、およそヴィータの全速で十秒ほどで埋まる間合い。

「おい!」

 と向かい合う少女が呼びかける。

 しかし、ヴィータは「シュワルベフリーゲン」の媒体球を召還した。

 問答無用。

 ヴィータには、相手との対話などする気は無かった。あの白い魔導師と戦った時と同じだ。打ち倒し、リンカーコアを収集する。ヴィータはその事にしか興味が無かった。はやてのために……。

「くそ!」

 目の前の少女がそう毒づくの同時に、ヴィータは少女に向けて、「シュワルベフリーゲン」を四発撃ち放った。

 ヴィータの意識に制御された四つの光る球が、目の前の青い服の少女に高速に接近していく。

 ほぼ直線に向かっていった二発は、余裕で避けられる。だが、これはヴィータの思惑通りだ。

 そもそもヴィータは、弾道の誘導は得意ではない。一度に複数個の弾道誘導では著しく精度が悪くなる。そもそも誘導弾攻撃の「シュワルベフリーゲン」は、接近戦に持ち込むための牽制が主たる役割である。バリア貫通・着弾時炸裂という付加効果も、やはり攻撃のベリエーションを広げるためであり、決定打は狙っていない。

 しかし、足が異常に早い、今回のような相手の場合では、「シュワルベフリーゲン」が重要な役割を果たす。まず、先に誘導の施していない直線的な攻撃で、相手の存在空間を絞る。そして、一発の誘導弾を回避予測位置に先回りさせる。

「う」

 敵の少女は、二発の攻撃を避けた先に、すかさず向かってきた誘導弾も、紙一重でかわした。

(そう、あの移動速度なら、たぶん紙一重でかわせるんだ。でも!)

 紙一重で攻撃を避けている最中、その後ろ側の死角から、最後の一発の誘導弾が少女を襲う。

 そしてヴィータは前方に進み、全速で少女との間合いを詰める。

 少女が後方に下がれば、後ろから迫る誘導弾の餌食。

 もし後ろからの誘導弾を、避けても、前方のヴィータの近接攻撃。

 空間を絞る直線的な二発。

 回避位置にやる不意の一発。

 死角から襲う本命の一発。

 そして、ヴィータの近接攻撃。

 これがヴィータの一対一に置いての、スタンダードな戦法だった。

 半ば勝利を確信していたヴィータは、少女の顔を見て――、異変を感じた。少女は、何故か目を閉じていた。

 目を閉じた少女は、三発目の誘導弾を避けると、後方へ急加速した。そして、後方から迫る誘導弾を――、またもや避ける。

 避ける動作を確認したヴィータは、その回避した位置に光球を誘導するが、それすらも少女は紙一重で避けた。

「くそ。でも」

 ヴィータは、回避行動により離脱速度が緩んだ相手になんとか追いつき、

「テートリヒ・シュラーク」

 ハンマーフォルムのグラーフアイゼンの打撃を打ち込んだ。

 しかし、この攻撃も、白い髪の少女は、両足を器用に動かして回転して、まるで木の葉の用に軽やかに、攻撃を避ける。

「てや! この!」

 ヴィータは連続して打撃を繰り出すが、そのどれもが相手を捕らえる事が出来ない。

 三発の振り下ろされる攻撃を避けた少女は、その持ち前の速度を利用して、ヴィータとの距離を取ることに成功した。

「てめぇ、ちょこまかと」

 ヴィータはシグナムとは違い、戦いを楽しむ気性は持ち合わせていない。戦いなど、やらなきゃいけないからやるだけだ。そんなヴィータは、この敵に対して、若干――イライラしてきた。

「グラーフアイゼン、ラケーテンフォルム」

「ヤヴォール! ラケーテンフォルム!」

 ヴィータはグラーフアイゼンの形を変えた。

「ラケーテン!」

 グラーファイゼンはカートリッジを、ガシコン、と加え込む。

「ハンマぁぁぁぁーーー!」

 増幅した魔力によって加速したヴィータは、自身の持つ最大の速力を持って相手に向かっていった。

 相手は未だに、目をつぶったままだった。

 加速したヴィータは、敵の離脱速度を若干上回り、相手に迫っていく。

 そして、敵の寸前で回転して、グラーファイゼンを相手に叩き込む――はずだった。

「てや」

 相手は、またしも両足のデバイスを急に動かし、前髪が触れるか触れないかというところで、下方に移動し、攻撃を避ける。

(しまった!)

 ヴィータは下方に回りこまれた敵が、攻撃の隙を突き攻撃してくると思い、攻撃動作を中止し、全方位防御魔法である「パンツァーヒンダネス」を展開した。

 しかし――、敵は攻撃せずに、またもや急速旋回して、間合いを取る。

「てめぇ!」

 ここで、ヴィータは、この少女が未だに一度も攻撃をしてこないことに気が付いた。いや、それどころか、シールドすら張っていない。

 ヴィータの全力の攻撃をかわすのみ。ヴィータを嘲笑うかのように、華麗に回避するのみ。

「なめてんのかーー!!」

 格下と思っていた、この世界の魔導師のこのような態度に、ヴィータはキレた。


   *


 エイラの身体は、冷や汗で全身がびしょ濡れだった。

 赤い少女が鉄のような球を槌で打ち、赤い攻撃がエイラに迫る。それを間一髪で避ける。近寄る赤い少女との距離を出来るだけ稼ぐように避ける。

 槌が大きく振りかぶられる。

 避ける。

 真紅の光る球がいくつも襲いかかる。

 避ける避ける避ける。

 エイラは赤い少女の攻撃をひたすら避け続ける。

サーニャ

 エイラは心の中で呟く。

 その行為は、下が灼熱の崖を綱渡りしているような物だった。生と死が常に交差する、そんな戦闘。

 赤い少女の攻撃は、鋭いの一言に尽きた。あまりにも容赦が無い。

 基地に帰還してきた仲間たちから、シールドが役に立たないぐらいの凄まじい攻撃力であるという話は聞いていた。でも、サーニャアンテナと敵の発言から、命まではとらないらしいと高をくくっていた。だが、目の前の攻撃は、どう考えても命を奪う迫力を伴っていた。

 エイラの先読みの能力では、もし一手でも誤った行動をとると、自分が死ぬビジョンしか見えなかった。

 いや、正確にいうなら、エイラの能力は、未来が見えるというわけではない。もしそうならば、例えば、二秒先の未来を二秒見ていたら使い物にならない。コンマ数秒で命のやりとりをする空戦では、じっさいに像を見て行動していたら遅い。近い未来を見るというのは、説明がめんどくさいエイラの方便である。

 エイラの能力の実態は、エイラが未来に起こる出来事を感覚的に把握できるといったものだ。行動が起こす結果を、なんとなく把握できるという、実に曖昧なものだ。

 そんなエイラの未来感覚が、エイラに教えるのだ。ほとんどどんな行動をしても、待ち受ける未来が、粘り気のある影であると。そのドス黒い闇の中に、一筋の細い細い光が見える。エイラはなんとか、その今にも消えそうな細い光の糸を手繰るようにして、赤い少女の攻撃を回避している。

 その緊張感は、ネウロイとの戦闘の比では無かった。

 圧倒的な相手の攻撃を避け続けるエイラの集中力は、超人の域に達しているといっても過言では無かった。

 その紙一重の回避行動は、傍から見ているものがあれば、まるで演舞でもしていかのうな、そんな美しさがあった。

サーニャ

 この集中力の持続は、基地から飛び立つときのサーニャとの約束が大きな要因であった。


 時間を稼ぐために、仲間の中で(というか、全ウィッチの中で)回避能力が一番高いエイラが基地を飛び立つ時の事である。

「エイラ……」

 サーニャは、エイラの服の一部を引っ張りながら、泣きそうな顔をしていた。

サーニャ、そんな顔するな」

 エイラはサーニャの頬を撫でる。

「私は絶対やられたりしない」

「でも」

 サーニャは、己の広範囲感知能力によって、先ほどの奇襲の概要を掴んでいた。なので、敵の凄まじさを知っていた。

 エイラの服の裾を強く握る。

「や、約束」

「ん?」

「約束、して。絶対帰ってくるって」

「ああ! 約束する。私は絶対にやられずに、サーニャの元に帰ってくる」

 エイラが力強くそういうと、サーニャはやっと手を解いた。そして――、エイラの頬に軽くキスをした。

「おまじない」

 サーニャは顔を赤らめてそう言った。

 エイラの顔もトマトのように真っ赤になる。


 そして、俄然やる気が出たエイラは、今に至るまで赤い少女の猛攻を避け続けていた。回避の邪魔になると思い、武器を置いてきたのは正解だった。攻撃する余裕なんて無い。

 それはおろか、視覚による情報すら邪魔だった。エイラは、固有能力である未来予知感覚だけを頼りに、数段格上の敵の攻撃を避け続ける。

 しかし、当然、その消耗も激しいものであった。短距離走のスピードでマラソンは走りきれない。精神も体力も、そろそろ限界に達しつつあった。

(まだか。まだ準備は)

 エイラが、そう考えたとき、耳の通信機から、待望の通信が入る。

「エイラおつかれ! 準備が出来た!」

 シャーリーの元気な声が耳元から聞こえる。

 エイラは、待ちに待った通信に、口元に笑みを浮かべる。

 そして、赤い少女の攻撃の隙を見て、服のポケットから用意していたものを取り出す。

 それは、ごく一般的な兵器。

 魔力をこめる必要が無いほど単純な兵器。

 それの起動スイッチを押して、赤い少女と自分の間に放った。

 その兵器は、あたり一面の空間を強い光で照らした。

 閃光弾。

 眩い光は、赤い少女の目を奪う。目を閉じているエイラには、何も影響が無い。

 これが、ウィッチーズの反撃ののろしだった。



さて、今回もリアクションがあったらいいなぁ。