Hatena::ブログ(Diary)

karimikarimi このページをアンテナに追加 RSSフィード

上遠野浩平先生の「私と悪魔の100の問答」オススメ!

2009-03-31

[]上遠野浩平の本領発揮「残酷号事件」で表現する正義の味方


[rakuten:book:13148748:detail]


上遠野浩平先生の「残酷号事件」を読んだので、徒然な感想。あと、上遠野浩平「正義の味方」論をちょこっと整理。ネタバレがあるので、収納。



感想


すっげー面白い! 私は上遠野浩平マニアなので、冷静で客観的な意見ではないと思いますが、これ、すげー面白いです。後述しますが、上遠野浩平「正義の味方」はとにかくかっこいい。正義の味方―推理―歌、そしてバトルと上遠野浩平度が非常に高い作品だと思います。あと、今回は、いつも以上に残酷度が高いきがします。


それは自分とはほとんど関係のないところで、傲慢な強欲者たちの適当な計算と都合のいい思いこみで決定されたことに従って、善悪の区別無く“じゃあ死んでくれ”と一方的に押し付けられる理不尽にして、その現場にいる者は誰ひとり責任など取らないという不条理――戦争という悪夢だった。


上遠野浩平「残酷号事件」 p131


上のような皮肉たっぷりなところもそうですが、エジン少年を助けるモース爺さんとか、レギューンに殺されるノルシェとか。いや、上遠野さんは、そりゃあもう沢山人を殺しますが、今回は残虐度がいつもより高いと思うんですよ。惨い殺され方をするキャラクタに固有の名前をつけるところや、かっこいい場面やかわいい場面を用意するあたりが、残虐度を増やす原因になっていると思う。


個人的にちょっと残念だったのが、表紙と挿絵が、金子一馬さんからやまさきもへじさんに代わったこと。画風は荒木飛呂彦先生や丸尾末広先生に影響を受けているという金子一馬さんの特徴的な絵は、荒木飛呂彦先生に影響を受けた上遠野浩平さんにピッタリだと思うんですよ。でも、やまさきもへじさんによる「残酷号事件」の表紙と残酷号の絵はかっこいいので、良し。(あとロザンとネーティスのデザインは、独特度は高くないものの普通にカッコイイ)


キャラクタといえば、ネーティスがかわいいんですよ! 禁涙境事件の時はそんなこと思わなかったんですが、あのラストのネーティスがかわいらしいったら無いです。あと、なんといっても、EDです。やっぱり上遠野浩平度が高いEDは良い。珍しくヒースが空気。


上遠野浩平が画く「正義の味方」


・自動タイプ

・怒りタイプ


上遠野さんの「正義の味方」は大きく分けて2タイプに別れると思うんですよ。一つはブギーポップシリーズのブギーポップに代表される、自動的なタイプ。今回の残酷号もこのタイプです。で、もう一つが怒りタイプ。ブギーポップシリーズの霧間凪ロザンがこのタイプです。


で、このどちらのタイプにも共通するのが、「人のため」とか「みんなのため」とか「オレがやらねば誰がやる」なんていうことを思っていないということです。自動的なタイプは、当然のこと。怒りタイプにしても、自分がなにかイライラするからっていう理由で、人を助けます。正義をなす動機を、他人のせいにするということが無いのです。


ナイトウォッチシリーズの主人公達は、大体自分の大切にするものの為に戦っていますが、かれらは、ヒーローだったりヒロインではありますが、正義の味方ではありません。しずるさんもルルドバイパーもエウレーダも伊佐俊一もトモルも、個人的な気持ちで動くキャラクタであり、「正義の味方」ではありません。


上遠野浩平の世界では、「正義の味方」は非常に強力な力を持ちます。ブギーポップ霧間凪は、他のキャラクタに比べて特別な強さがあります。また「残酷号事件」でロザンが特別視されたことのように、また「ジンクスショップへようこそ」と「酸素は鏡に映らない」にあるように怒りタイプの正義属性のある末間和子も特別な何かをもっています。


あと、「残虐号事件」のあとがきの偽善者や善行に対する上遠野浩平さんのコメントは一読の価値ありです。特に上遠野浩平好きには、かなりグットくる話というか、上遠野浩平の世界を理解するうえで非常に役に立つ話だと思います。


まとめ


面白すぎる。テンション上がりまくり。